2017年は「副業元年」などと言われ、名ばかり「副業OK企業」の実態、社長から呼び出しに同僚からの嫉妬も

名ばかり「副業OK企業」の実態 社長から呼び出しに同僚からの嫉妬も

 2017年は「副業元年」などと言われ、働き方改革の流れの中で、政府が企業に「副業容認」を訴える時代。副業を認める会社は確実に増えているが、「制度があっても使えない」のは今回も同様のようだ。

 栃木県在住の女性(36)は、ミシンを置くテーブルのわずかなスペースでつっぷして、朝を迎える日が珍しくない。

 IT関連会社に勤める傍ら洋服作りを副業にして5年。都内のデパートで年数回、作った洋服を販売するまでになった。年商100万円。充実した日々を送る一方で限界も感じている。

 朝7時に家を出て、帰宅は夜10時を過ぎることもザラだ。朝5時に家を出たり、帰宅が日付をまたいだりすることもある。必然的に洋服を作るのは「超早朝」か「超深夜」になるが、気合に体力がついていかないのが現実だ。いつの間にか眠ってしまい、休日に大車輪で副業に取り組む。その結果、また疲れが蓄積されるという悪循環。

 それでも、体力的な疲れは根性でなんとかカバーできる。つらいのは、周囲からの風当たりの強さだ。

 数年前、社長室に呼ばれた。副業のことが耳に入ったようで、「洋服作りはすごい才能だ」と切り出された。だが、「私が若い時には副業なんて考えられなかった」「本業に支障が出る」「クライアントに迷惑がかかる」と続き、最後には「本業に専念してほしい」。

「視野が広く海外にも精通している社長だったので、想像もしていない言葉でした」(女性)

 女性が勤めるこのIT企業も「副業OK」を謳(うた)う。相互によい影響が出ると考えているからこそ、副業を許しているんじゃないの、と複雑な気持ちになった。その場では「今後は本業に専念します」と伝えたが、いまももちろん、洋服作りを続けている。

 しかし、以前は社内でも堂々と配っていたデパート出店のDMを、信頼の置けるわずかな人に「内緒ね」と言いながらしか渡せなくなった。洋服の作家仲間にも、本業との両立について相談することはできない。以前、同じような境遇にあった仲間が、「片手間にやれていいわね」とやっかまれていたのを見ていたからだ。

 やれるものなら自分もやりたい。でも、「副業」にできるようなスキルも知識もない。そんな気持ちが、副業に取り組む同僚への嫉妬につながるのか。

 埼玉県の中堅メーカーで事務職に就く男性(35)の副業は、イラストレーター。面接の席でイラストを描いていることを話し、副業前提で採用された。

 彼の会社では東日本大震災以降、万一の時の安全確認のために、県外に出る時は届け出が必要になった。男性は休日、イラストの打ち合わせなどで東京に行くときも律義に届けを出していた。すると聞こえてきたのは、

「彼は東京で好きなことをやっている。本業に余裕があるからだ。みんなの仕事を彼に任せて、俺らは休みを取ろう」

 などの陰口。知らせてくれた同僚は「嫉妬しているだけ」となぐさめてくれたが、社内で副業の話はできなくなった。

 二つの職場の仕事観やモラルの違いに苦しむ人もいる。

 会社経営の傍ら、早朝から昼まで宅配会社の営業所でアルバイトをした経験のある女性(45)は当時、副業先の社員があまりに仕事ができないことに困惑したという。マネジメント能力が低く、サービスレベルの共通認識ができていないため、アルバイトが大半を占める現場はカオス状態。「アルバイトにやらせる仕事なんて、いいかげんな管理で問題なし」という意識が透けて見えた。

「本業」はコピーライターだが、それだけでは食べていけず、時給1200円でコールセンターでも働いているという大阪府在住の女性(41)は、大手企業の元敏腕営業部員。コールセンターの同僚は、顧客とのやりとりがマニュアルと少しでも違う展開になると、はた目にも気の毒なほどアタフタする。そんな彼らを、年若い正社員たちは見せしめのように大声で叱りとばす。

 ふがいない同僚と、正社員たちの居丈高な対応になんとも言えない嫌な気持ちになり、ストレス解消のためのマッサージ通いやリラクセーショングッズ購入費が急増した。これじゃ、本末転倒じゃないか。

 結局、「副業」と言っているうちは、日陰の身だ。

 群馬県在住の女性(34)は、表の顔は会社員、裏の顔はグルメリポートで稼ぐブロガーだ。そのことを知る上司や同僚には、「プライベートはどう? 副業なんてやっていると結婚が遠のくよ」「早く結婚して子どもを産まないと! 副業で忙しくしているうちに適齢期を過ぎるよ」と言われ続け、「副業と結婚は関係ない!」と言い返したくても、結婚を考えていた彼に「自分を一番に考えてくれない。副業のせいで付き合いが悪い。約束しても裏切られそう」と別れを告げられて、言い返せない。

 最近はやりの「複業」は、副業の地位を向上させてくれるのだろうか。(ライター・羽根田真智)

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