芸人に愛された「信濃そば」50年の歴史に幕
いわゆる「裏なんば」と呼ばれる場所にある「信濃そば」は、創業50年の老舗で吉本の芸人さんたちに愛されてきた店ですが、30日で店じまいとなりました。朝から多くのファンが列を作ったのですが、その列の中には馴染みの顔もありました。
ここ数年、大阪の難波では華やかな表通りだけでなく、裏路地にも注目が集まっていますが、そんな「裏なんば」にひっそりとたたずむ店があります。創業約50年の「信濃そば」です。なんばグランド花月から100メートルほどの場所にあり、吉本の芸人さんたちが劇場の出番の合間に足しげく通った店です。30日で店を閉じるということで、見に行ってみると…開店1時間前にもかかわらず、30人以上の行列ができていました。先頭の人たちは…
「名古屋から来ました」(男性)
「朝6時に来て、もう1回車戻って仮眠して来ました」(女性)
この行列の発端は、吉本新喜劇のあの人でした。
Q.何で知りました?
「新喜劇の青野さんのツイッターです」(男性)
実は、吉本新喜劇でその人情味あふれる演技でお馴染みの青野敏行さんがたびたびツイッターでつぶやいていたのです。
「エライ事です 信濃そばが今月末で閉店します!」(青野敏行さんのツイッターより)
まだかけだしの弟子だったころから40年近く通っているという青野さん本人も、律儀に列に並んでいました。
Q.(店の写真をスマホで撮影する青野さんに)それもツイッター上げるんですか?
「上げます。こないだ大将と写真撮ったんですよ、もうね、涙出そうやわ」(吉本新喜劇 青野敏行さん)
いよいよ開店し、席に着いた青野さん。これで最後となる一杯を噛みしめていました。
「うまかったですね、最後。カレーそばとおにぎり。私の定番でした。ありがとう、信濃そば」(青野敏行さん)
すると、他にも青野さんのツイッターを見てやってきたという吉本芸人が…「ドリルせんのかーい!」の体を張った芸が大人気の吉田裕さんです。吉田さんも信濃そばの暖簾をくぐり続けてきたひとりです。
「楽屋のときにいつも信濃そばの出前取らせてもらって、名物の肉うどんをみんなで食べるみたいなんはありました。その出前先がなくなるのは寂しいですよね」(吉本新喜劇 吉田裕さん)
メニューは多彩でカレーそばにおにぎり、肉うどんなどそれぞれの芸人さんにごひいきの味がありました。そして午後1時半、用意していた麺が全て売り切れ50年の歴史に幕がおりました。
「終了しました、ありがとうございました。吉本の芸人さんにはよう可愛がってもらいました。なんとかいままで食いつないでこられたのは吉本さんのおかげです」(信濃そば 向山正さん・70歳)
Q.なんでやめるんですか?
「やっぱりうちもよそと一緒で、後継ぎがいねえからしゃあない。しばらく休みますわ。もう疲れて、お疲れですね」
洋食店や喫茶店。長く芸人さんを支えてきた店の閉店が続くこのエリア。裏なんばの姿はさびしくも、変わりつつあります。
