缶コーヒーの豆の種類や等級を偽装…匿名で告発、食品業界の隠ぺい事情
大企業の不正やミスが次々と発覚している昨今。その隠蔽メカニズムを探るべく、SPA!は匿名の告発者を調査し、実情に迫った。
◆ランクが低いコーヒー豆をこっそりブレンド!!
’00年代半ば頃から絶えることなく世間を騒がせる食品偽装。ひとたび発覚すれば企業の存続も危うくなる事態に陥るため、隠蔽される可能性も高くなる。
「コスト削減のため缶コーヒーに入れる豆の種類や等級を偽装していた」と話すのは、大手メーカーから焙煎を委託される専門会社に勤めていたNさん。
「発注先のメーカーから豆の種類と等級は指定されますが、生豆の状態で見分けるのはほぼ不可能。味もワンランク下のものを混ぜた程度では、違いはわかりません」
Nさんによれば、こういった偽装はほぼ暗黙の了解なのだとか。
「発注時点で無理な金額を提示されるので材料費を削るしかないんです。委託する側も何かあればこちらのせいにできるし、安い値段で頼みたいので、深くは探ってきません。本当に最高級の豆を使っていたら最低でも500円で売らないと元が取れない。それが130円で売られているのはそういう理由です。喫茶店のコーヒーの値段と比べればわかるでしょう」
さらに発注時点で増量材としてチコリの根を入れるよう指示してきた会社もあったという。
「色も味もほとんど変わらないので、チコリでかさ増しして材料費を抑えるんです。名前は出せませんが、一社ではありませんでした」
もうひとつ、食品業界にありがちなトラブルが異物混入だ。これについて、大手食品メーカーで働くTさんは「表沙汰にならずに解決しているトラブルは頻繁に起こっている」と打ち明ける。
「私の働く工場では日本語があまり通じない外国人も多く、製造ラインでミスが起こるのは日常茶飯事。材料の分量を間違えて味が変わってしまうこともあります」
すぐにバレそうなものだが、材料費を削減したせいで「味が落ちた」というクレームが日常的に届いているため、多少の変化ならバレることはほぼないという。
「冷凍食品のハンバーグに玉ネギを入れすぎたことがありましたが、流通ルートに乗せず職員が自宅に持ち帰って隠蔽しました。それを近所に配った人間がいたことで発覚しかけましたが……」
報道されている食品トラブルは、まさしく氷山の一角なのである。