福島・廃棄物最終処分場稼働「コメの値段は?」近隣不安、指定廃棄物の最終処分場稼働は全国で初めて

福島・廃棄物最終処分場稼働:「コメの値段は?」近隣不安

 環境省は17日、東京電力福島第1原発事故で発生した福島県内の指定廃棄物(1キロ当たりの放射性セシウム濃度が8000ベクレル超10万ベクレル以下)などを埋め立てる同県富岡町の最終処分場に、廃棄物の搬入を始めた。指定廃棄物の最終処分場稼働は全国で初めて。

 フレコンバッグに包まれた放射性廃棄物を積んだトラックは17日午前、楢葉町北部の田園地帯に設けられた新たな搬入路を通り、最終処分場に到着。1キロ当たり10万ベクレル以下であることを確認した後、露天掘りの埋め立て地に下ろしていった。

 環境省は2013年12月に富岡、楢葉両町に処分場受け入れを要請。福島県や両町から了承を得たが、処分場隣接の両町の4行政区のうち、楢葉町の1行政区とは一部住民の反対で安全協定が未締結になっている。

 一昨年9月の避難指示解除後、帰還し、農業を再開するなどして生活再建に取り組んできた楢葉町の近隣住民には「処分場近くのコメの値段がどうなるか不安」といった懸念も根強い。この日、処分場周辺に反対する住民の姿はなかったが、自宅の裏山に処分場が位置する農家の女性(66)は「(搬入開始は)残念です」と語った。

 焼却灰や下水汚泥、稲わらなどの指定廃棄物は9月末現在、福島、岩手、栃木、千葉など11都県に計20万186トンあり、うち86%(17万2376トン)が福島にある。福島以外で保管量が多い栃木、千葉、茨城、宮城、群馬の5県でも国が処分場を整備して処理を進めることになっている。

 だが、過去に建設に向けた調査候補地が示された栃木と千葉は、地元の反対で調査入りすらできなかった。茨城では、同省は16年2月、1カ所に集約せず現状のまま保管を続ける「分散保管」を容認する方針を示し、地元側と合意。同12月には群馬でも分散保管が決まった。宮城、栃木、千葉では同省と地元自治体の協議が続き、見通しは立っていない。

 同省は、放射性物質の自然減衰によって、濃度が1キロ当たり8000ベクレル以下になった場合、環境相が指定を解除し、市町村などが一般ごみと同様に処理できるルールも新たに設けた。処理費用は国が負担し、1カ所に集約せずとも廃棄物の減量を図る意図がある。東京や神奈川、新潟など残る5都県でも指定解除を申請するなどして、既存施設で処理を進める方針という。

 中川雅治環境相は17日、閣議後記者会見で「安全確保を大前提に、地元住民との信頼の構築に全力で取り組んでいく」と述べた。

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