新海誠監督、ハリウッド版『君の名は。』に「あんまり興味ない」 自身の作品観を力説
俳優の神木隆之介とアニメーション映画監督の新海誠が10日、東京・国立新美術館で行われた展覧会『新海誠展 -「ほしのこえ」から「君の名は。」まで-』プレス向け内覧会に来場。一足先に展示物を見て回ったという神木は「新海監督のすべてが詰まっている展覧会だと思います。入ってすぐに『わぁー』ってなりました」と声を弾ませた。
同展では、新海監督の15年におよぶ軌跡を貴重な制作資料である絵コンテ、設定、作画、美術、映像をはじめ、世界観を体験できる造形物などを通じて紹介。個人制作の『ほしのこえ』から、昨年公開し記録的な大ヒットとなった『君の名は。』までを完全網羅し、新海アニメーションの魅力に迫る。
『君の名は。』は、J.J.エイブラムス氏プロデュースにより米ハリウッドで実写映画化されることが発表。今年に入っても新たな展開を見せているが、新海監督は「よく自分の作ったものを子どもに例えたりしますが、子どもがどうなっていこうが僕はあんまり興味がない」と率直な思いを打ち明けた。
その真意について「ハリウッド版が作られるという発表がありましたけど、どうなるのか楽しみだなということと同時に、もう旅立ってしまったものだから、どういう大人になるかは、彼(作品自体)の問題だという風に思ったりします」と説明。「この展覧会も、そういう風に距離感を持って見ていたんですけど、僕が作ったどうこうというより美術展としてすごくフレッシュだなと感じました」と笑顔を見せていた。
史上初となる国立の美術館での現役アニメ監督による同展は、11日から12月18日まで、企画展示室2Eで開催される。
「君の名は。」ハリウッドで実写映画化!J・J・エイブラムスらがプロデュース
新海誠監督によるオリジナル長編アニメ「君の名は。」をハリウッドで実写映画化する企画が進行中であることが明らかになった。配給の東宝によれば、米パラマウント・ピクチャーズ、J・J・エイブラムスの製作会社バッド・ロボットが実写映画化権を獲得し、現在は東宝、パラマウント・ピクチャーズ、バッド・ロボットの3社が、共同開発を行っている段階だという。
ハリウッド実写版のスタッフは、バッド・ロボットのエイブラムスとリンジー・ウェバーがプロデュースを担当し、「メッセージ」で第89回アカデミー賞脚色賞にノミネートされたエリック・ハイセラーが脚本を執筆する。オリジナルのアニメ版でプロデューサーを務めた川村元気氏も、引き続きプロデューサーとして参加している。
2016年8月に公開された「君の名は。」は、心と体が入れ替わる不思議な夢を通してお互いの存在を知った高校生の男女が、運命に翻ろうされる姿を描いた。国内興行ランキングでは公開から29週連続でトップ10入りを果たし、興行収入250億円を超える歴史的な大ヒットを記録した。
新海監督は、ハリウッドでの実写映画化に対し「『君の名は。』は、日本に暮らす僕たちのローカルな想像力、ドメスティックな技術で組み立てた映画です。そういう作品がハリウッドと交わることで、もしかしたら新しい可能性のようなものを見せてもらえるのかもしれない──そんな期待をしながら、完成を楽しみに待っています」と話している。
一方、川村氏は「これ以上ない、夢のようなチームになりました。J・J・エイブラムスさんが『君の名は。』をハリウッドで実写化したがっていると聞いたときは信じられない気持ちでした。バッド・ロボットで彼と会って話すまで『これは夢だ、きっと夢に違いない』、そう思っていたのですが、どうやらこれは現実のようです」と明かす。そのうえで、「数々の名作を現代的なセンスで生まれ変わらせてきたJ・J・エイブラムスさん。『君の名は。』をハリウッドで実写映画として生まれ変わらせるのにあたりJ・J・エイブラムスさんと彼のチーム以上のクリエーターはいないと思います」と自信をのぞかせる。
さらに、脚本についても「SFとラブストーリーが融合してクライマックスへと突き進む『君の名は。』を、エリックさんならば最高なかたちで表現してくれると確信しています」と語り、「JJさん、エリックさんと共に『君の名は。』のハリウッド版実写映画をプロデュースできることを心より誇りに思います」と意気込みを述べた。
また東宝の島谷能成社長は、「日本が誇る『君の名は。』をハリウッド最高のクリエーターの方々と一緒に実写化する機会を楽しみにしています」とコメントを寄せている。