日産、新車6万台の登録停止 21車種、軽自動車を除く車両生産で、完成車検査に不備

日産、新車6万台の登録停止 21車種、完成検査で不備

 日産自動車は29日、国内工場での軽自動車を除く車両生産で、完成車検査に不備があったことがわかったと発表した。法令違反の状態で工場から出荷された可能性があり、軽自動車を除く全21車種について、現在の新車在庫6万台の登録を一時停止する。今後再検査を行い、登録手続きを行う。販売が決まっているディーラーの在庫車などは再検査が終わるまで登録できず、納車が遅れる可能性がある。

 不備があったのは、日産の国内の全工場(追浜、栃木、日産自動車九州、日産車体、日産車体九州)での完成検査工程。実際に検査は行われたが、認定された検査員による検査ではなかった。問題は国土交通省の指摘で9月18日に判明し、その後は正規の検査が行われるように改めたという。自動車メーカーは法律上、自社が認定した検査員が完成車検査を行う必要がある。

 いつから検査に不備があったかは不明で、調査中としている。

 現在の新車在庫の6万台以外も、過去の生産車で検査に不備があったのにすでに登録、納車された車も多数あるとみられ、これも再検査する。今後顧客に連絡するという。今回の事態を受け、今後生産を停止することはないとしている。日産は今後、原因を第三者も入ったチームで調べるとしている。

 日産は新型の電気自動車(EV)「リーフ」を10月2日に発売する予定。同車でも、正規の検査に改めた後の生産車は通常通りに納車されるが、検査に不備があった車は再検査となり、納車が遅れる可能性がある。

全工場でずさん検査、日産打撃 法令軽視の批判は必至

 日産自動車で、国内で車両を組み立てる全工場でのずさんな運営が明るみに出た。本来は社内で検査員と認められた従業員が完成車を検査する必要があるが、守られていなかった。新車登録前の6万台の検査がやり直しとなり、ユーザーに渡った100万台規模も対象の可能性がある。法令軽視の批判は免れず、ブランドイメージや業績への悪影響は避けられない。

 自動車メーカーは、工場で車を生産する最終段階で「完成検査」を行う。本来は国が行う検査を、工場で代行しているような形だ。完成検査を受けた証明が、安全に路上を走る車としての「お墨付き」となる。その後、販売店に出荷され、ナンバーを付けてユーザーに引き渡される。こうした仕組みは、道路運送車両法や関連の実施要領などで定められている。

 国が定めた実施要領では、各社が知識や技能を考慮し、自社であらかじめ指名した従業員が検査するよう求めている。しかし日産では、認定されていない「補助検査員」が一部の検査を行っていた。全工場で日産が認めた正規の「完成検査員」は約300人で、補助検査員は約20人。この補助検査員が、完成検査員が行うべき業務を行っていた。

 完成検査員かどうかは、バッジの有無で判別できる。補助検査員は作業に習熟しているが、レベルには個人差があるという。日産の社内調査では、補助検査員が検査をすることが問題だという認識もない従業員もいた。

 安全性が重視される自動車の生産現場で、法令を守る認識が欠けていたことになる。この状態がどれだけ続いていたかについて、日産は「調査中」としており、長期にわたって常態化していた可能性がある。

 問題があったのは、追浜工場(神奈川県)、栃木工場(栃木県)、日産九州(福岡県)、日産車体(神奈川県)、同社傘下のオートワークス京都(京都府)、日産車体九州(福岡県)で、国内の車両組み立ての全6工場だ。9月18日、国土交通省が日産車体湘南工場(神奈川県平塚市)に抜き打ちで立ち入り検査して発覚した。日産はその時点まで事態を把握していなかった。

日産、新車6万台の登録停止 21車種、完成検査で不備

 日産自動車は29日、国内工場での軽自動車を除く車両生産で、完成車検査に不備があったことがわかったと発表した。法令違反の状態で工場から出荷された可能性があり、軽自動車を除く全21車種について、現在の新車在庫6万台の登録を一時停止する。今後再検査を行い、登録手続きを行う。販売が決まっているディーラーの在庫車などは再検査が終わるまで登録できず、納車が遅れる可能性がある。

 不備があったのは、日産の国内の全工場(追浜、栃木、日産自動車九州、日産車体、日産車体九州)での完成検査工程。実際に検査は行われたが、認定された検査員による検査ではなかった。問題は国土交通省の指摘で9月18日に判明し、その後は正規の検査が行われるように改めたという。自動車メーカーは法律上、自社が認定した検査員が完成車検査を行う必要がある。

 いつから検査に不備があったかは不明で、調査中としている。

 現在の新車在庫の6万台以外も、過去の生産車で検査に不備があったのにすでに登録、納車された車も多数あるとみられ、これも再検査する。今後顧客に連絡するという。今回の事態を受け、今後生産を停止することはないとしている。日産は今後、原因を第三者も入ったチームで調べるとしている。

 日産は新型の電気自動車(EV)「リーフ」を10月2日に発売する予定。同車でも、正規の検査に改めた後の生産車は通常通りに納車されるが、検査に不備があった車は再検査となり、納車が遅れる可能性がある。

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無資格検査 日産の社長が「謝罪」をしない理由

国土交通省の立ち入り検査によって、無資格の従業員に「完成検査」をさせていたことが判明した日産自動車が、38車種116万台のリコールの届け出をした。

 完成検査とは、新車を出荷する前に行う最終チェックのことで、道路運送車両法などに基づき各社が認定した「検査員」が実施するということになっているが、日産では資格をもたない補助員による検査が常態化していた。しかも、新聞各社の報道によると、工場では書類上は実際にはやっていない資格者が検査したように偽装するための印鑑を貸し出すなど、組織ぐるみで法令を無視する気マンマンだったふしもあるという。

 なぜこういうルール破りが正常運転になったのかは気になるところだが、個人的にそれよりも注目しているのが、今回の件で日産がみせたかなり斬新な「マスコミ対応」である。

 一言で言うと、「かなり攻めている」のだ。

 筆者は報道対策アドバイザーという仕事柄、これまでいろいろな企業の危機管理広報対応を細かく見てきているが、日産ほどの大企業で、しかも製品の安全や信頼にかかわる不祥事で、こういうスタイルをとるのはかなり珍しい。

 正しい、間違っているという話ではない。まさしくいまいたるところでイジられている「やっちゃえ」や「ぶっちぎれ」というキャッチコピーに象徴されるような感じで、危機管理のセオリー的なものにとらわれず、我が道を突き進んでいるような印象だと申し上げているのだ。

 いったいどういうことかを分かっていただくため、今回の対応のなかでも特に「やっちゃえ」感が強く出ている3つのポイントを順をおってご説明しよう。

●「やっちゃえ」感が強く出ている1つめのポイント

(1)「お詫び」を口にしても頭を深々と下げない

 無資格検査が判明したことを受けて10月2日、横浜本社で西川廣人社長が会見を催した。そこでは無資格者による検査が常態化していたと述べて「お詫びを申し上げる」と陳謝したが、実はこれは世間でいうところの「謝罪会見」ではなかった。

 『西川社長は会見で頭を深々と下げることはなく、「謝罪会見」とは一線を画した』(産経新聞 10月7日)

 一般人の感覚からすると、定められていたルールを破っていたわけだし、116万台という大規模リコールでユーザーに迷惑をかけて、社会の信頼も裏切っているわけだから当然、西川社長が姿を現したのは「謝罪会見」と思うかもしれない。が、日産としては、あれはあくまで「陳謝」であって「謝罪」ではないというわけだ。なぜそんな細かいニュアンスの違いにこだわるのか。その答えは、西川社長がおっしゃった以下の言葉のなかにある。

 「検査そのものは確実に行われており、安心・安全に使っていただける」

 要するに「無資格検査」というのは単なる「手続き」の問題であって、クルマの安全性にはなんの問題もないですよ、というのが日産のスタンスなのだ。企業の危機管理は、すべてこの「スタンス」に基づいて行われる。

 「手続き」に問題があるという点は「陳謝」をする。しかし、検査はバッチリやっていて、安全性に関しては1ミリたりとも揺るがないわけだから、自動車メーカーとして深々と頭を下げる「謝罪」をするような話ではない――。あの会見からは、そのような日産の「スタンス」を読み取ることができる。

 このような組織ぐるみの脱法行為が発覚した場合、普通の企業はとにもかくにも謝罪会見を催して深々と頭を下げることが多いが、日産の場合、謝罪カラーを極力抑えて、「安心・安全」というポジティブなメッセージで「カウンター」を行っている。

 つまり、社長が深々と頭を下げないことで問題を矮小(わいしょう)化させるという「攻め」の姿勢が感じられるのだ。

●「やっちゃえ」感が強く出ている2つめのポイント

(2)「脱法行為」やリコールの説明を社長ひとりで行う

 日産がこの会見を世間に謝罪会見だと受け取られないよう矮小化を目指したのは、ほかのポイントからも明らかだ。

 今回の会見では、西川社長がひとりで資料片手に記者会見会場に入って、ひとりで説明をして、ひとりで記者からの質問に答えている。「だからなに?」と思うかもしれないが、大企業の危機管理において、このようなスタイルで謝罪会見にのぞむことは滅多にない。

 専門的な質問などが飛んできた際に、社長ひとりですべて答えられるわけがない。ワンマン社長が経営している中小企業では「ピン謝罪会見」もあるが、大企業の場合は担当役員や、専門的な質問に答えられる幹部など3~4人が登壇をするのが普通だ。例えば、三菱自動車の燃費不正が発覚した際の記者会見でも社長をはじめ担当役員など3人が登壇した。

 このような危機管理の基本のキを日産ほどの大企業が理解していないわけがない。ということは、考えられるのはひとつ。あの場に西川社長が定例社長会見のようなノリでフラリとひとりで出てきたのは、「わざと」であり、そこには「記者のみなさんは勘違いしないでね、これは断じて謝罪会見ではありませんよ」という強烈なメッセージがあるのだ。

(3)初動は広報部長による謝罪会見

 見てきたポイントからは、「西川社長による謝罪会見」と報道されることを回避することで、無資格検査は「小さな問題」だと印象付けようという日産のイメージ戦略が浮かび上がる。

 「そんなのはお前の妄想だ」という人もいるかもしれないが、そう考えてみると、日本中の広報マンたちが首を傾げたあの不可解な初動対応も説明がつく。

 この問題を日産が初めて明らかにしたのは9月29日午後7時、国土交通省での緊急会見だった。そこで状況を説明して深々と頭を下げたのは、「グローバルコミュ二ケーション本部ジャパンコミュニケーション部長」と「企画・管理部エキスパートリーダー」という肩書きの方。つまり、部長クラスだった。

 これほど大きな不祥事が発覚しているにもかかわらず、部長が謝罪会見をするというケースはあまり聞いたことがない。社長が出ないということはあっても、担当役員などの経営陣が登壇して、広報部長は司会進行を務めることが多い。

●不可解な対応に自動車メディアからも厳しい声

 それは緊急会見なんだからしょうがないんじゃない、と擁護する人もいるだろうが、日産湘南工場で国土交通省の抜き打ち検査が行われて発覚したのは9月18日以降。事態を把握して、役員クラスのスケジュールを抑える時間は十分にあった。にもかかわらず、部長クラスが登壇――。この不可解な対応には自動車メディアからも厳しい声があがった。

 『仮に会長や社長が出席しないまでも、経営責任のある役員クラスが謝罪し、説明するのは当然のことで、販売店や顧客を軽視していると思われても仕方ないだろう』(レスポンス 10月2日)

 おっしゃるとおりだが、筆者は顧客や販売店をバカにしているわけではなく、これも問題の矮小化を目指した日産のしたたかなイメージ戦略ではないかと考えている。

 もし担当役員が緊急会見に登壇して頭を下げて詫びれば、次は西川社長を中心とした謝罪会見を催すしかない。このような流れにもっていかれないため、無資格検査とは、安全性に影響を及ばさない「小さな問題」だということを世の中に印象付けるため、部長の謝罪からスタートしたのではないか。

 そんなの考えすぎだと思うかもしれないが、実は日産という会社はわりとこういう攻めの危機管理対応をやっている。

 それを如実に示すのが、三菱自動車の燃費不正発覚からの日産傘下入りという一連の流れだ。

 筆者はかつて『三菱自動車の日産傘下入りが「シナリオ通り」に見えてしまう3つの理由』という記事のなかで、三菱の不正発覚後、就任したばかりの相川哲郎社長が矢面に立たされ、実際に不正が行われていた期間も含めて長く三菱自動車のかじ取りをしていた益子修会長がなかなかマスコミの前に現れなかった理由を、日産との資本提携を見据えて、「三菱再建の顔」としていくためにネガティブイメージをつけないように温存するための戦略ではないかと指摘した。

 さらに言ってしまうと「益子会長隠し」の背景には、この時点で資本業務提携が水面下で進められていた日産側の「意向」が強く働いた可能性を示唆したのだ。

●攻めの危機管理はうまくいくのか

 実はその可能性を裏付けるようなエピソードが、2017年6月23日の三菱自動車の定時株主総会であった。『レスポンス』(6月24日)によると、株主からは以下のような厳しい言葉が益子会長に投げかけられた。

 「益子さんは10年以上、三菱自動車にいて、燃費不正を招いた張本人である。今こそやめるべきではないのか」

 「益子氏は10年以上社長でありながら、ずっと低空飛行。これだけテレビ、新聞で問題になったのに、なぜ責任を取らないのか。やはり取るべきだ。責任を取るべきだという人に拍手をいただきたい」

 それを擁護したのはカルロス・ゴーン会長だった。「益子氏については結果に基づいて評価してほしい」「結果を出せると信じているから、益子を慰留した」というゴーン会長の言葉からは、日産が益子会長を「三菱再建のキーマン」としてとらえ、世間の批判から守るという強い意志が感じられる。

 だからこそ、不正発覚直後、日本中が注目したあの時期に登壇させなかったのではないか。「深々と頭を下げる」という「汚れ役」を相川社長が一身に引き受けたことで、益子会長の立場を守ったのではないか。

 このような「攻め」の危機管理を行う企業ならば、広報部長の謝罪会見や、お詫びを口にしながらも頭を深々と下げないという対応も説明がつく。

 この局面ではどのポジションの人間が頭を下げておくべきか。何に対して「お詫び」の姿勢を示し、自分たちの正当性をどこまで主張をしておくのか。冒頭で日産の危機管理を「かなり攻めている」と評した理由がご理解いただけたのではないだろうか。

 とにかく社会を裏切ったら真摯(しんし)に謝るべし、という独特の謝罪文化がある日本では、このような外資系企業的な発想の企業防衛はあまりうまくいったためしがない。事実、既に一部のマスコミは、「消費者への重大な背信」なんて感じで、問題の拡大化を始めている。

 やっちゃえNISSAN。あのCMと妙にかぶる攻めの危機管理は果たしてうまくいくのか。注目したい。

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