サンマ漁獲量、最低の恐れ=資源減少で3年連続不漁―水産庁
水産庁は4日、今年8月から12月までのサンマの漁獲量が、過去最低だった前年を下回る見通しになったと発表した。資源量減少により3年連続で不漁となる公算が大きく、今年は流通量のさらなる減少が予想される。新鮮な生サンマは、一層の高値になる恐れがありそうだ。
水産庁は日本沿岸や公海で6~7月に実施した調査で、資源量減少を確認した。調査結果などから、サンマ漁のシーズン前半(10月上旬まで)の漁獲量は前年を上回るものの、同月中旬以降は低調に推移すると見込んでいる。
2016年の日本のサンマ漁獲量は約11.4万トンと、水産庁が統計を取り始めた1977年以降の最低を記録。北海道沖の水温上昇や台風で漁に出られない日が多かったことも影響した。15年も約11.6万トンと、14年(約22.7万トン)に比べ半減した。
不漁については、公海上での台湾や中国の漁船による乱獲が一因との見方がある。水産庁は「国際的に資源管理を強化した方がよい」(漁場資源課)と話している。
どうなるサンマ市場=中国、台湾の乱獲に打つ手なし
「安くておいしい庶民の魚」というサンマのイメージが、何年か後には大きく変わっているかもしれない。台湾や中国の大型船による日本周辺の公海上での乱獲の影響などで、ここ数年の日本のサンマ漁獲量は大幅に減少。政府関係者らは資源枯渇への懸念を強めているが、乱獲を防止する有効な手だては見いだせていない。秋の食卓に欠かせないサンマの価格は今後も高止まりが続くとみられている。
◇協議決裂
「資源がそれほど減ったという認識はない。縛りは受けたくないし、必要もない」-。8カ国・地域が参加して今月半ばに札幌市で開かれた「北太平洋漁業委員会」(NPFC)。中国代表は日本が提案した国・地域別の漁獲枠導入に真っ向から反対、協議は決裂した。韓国とロシアも反対に回り、資源確保の観点から漁獲制限を行うべきだとする日本の主張は受け入れられなかった。
NPFCでは、中国、台湾、韓国の漁船数拡大を一年間禁止することで合意し、漁獲枠も来年の再協議を申し合わせたが、中国などとの意見対立を解消できる見通しは立たない。山本有二農林水産相は25日の記者会見で「公海上のサンマの乱獲に対し、なすすべを持っていない」と語り、2016年の漁獲量が約6万トンと12年の30倍に急拡大した中国の乱獲に歯止めをかけられない現状を嘆いた。
サンマの鮮度を重視する日本が中・小型船を使った排他的経済水域(EEZ)での漁を主流としているのに対し、中国は日本の漁船をはるかにしのぐ規模の大型船が北海道沖などの公海で漁を続け、冷凍したサンマを専用運搬船でまとめて本国に運ぶ組織的な手法を採る。
水産庁などではNPFCで漁獲枠を提案する前から「国民13億人の胃袋を預かる中国を説得するのは難しい」とみられていたが、会合に出席した幹部は「日本が提案しなければ、乱獲が続くだけ。中国をけん制する効果はあった」と強調する。しかし結果的には、中国や台湾が今年も昨年までと同じような乱獲を続けても、日本には打つ手がないのが現実だ。
◇10年前の1.5倍
サンマの国内価格は、年間漁獲量がかつての半分と不漁だった15、16年(いずれも11万トン)に大きく上昇した。漁業情報サービスセンター(東京)によると、東京都と札幌、名古屋、大阪の3市を合わせた16年の平均卸売価格は1キロ当たり551円と、10年前の06年(357円)の1.54倍に上昇。小売価格も16年は主力サイズで平均1匹165円前後まで高騰したとみられる。
同センターの緑川聡流通情報グループリーダーは近年の不漁について、中国などの乱獲に加え水温上昇や海流の変化が影響していると分析。「日本沿岸はサンマが減っており、漁獲量が急回復することは考えにくい」とみる。
また、水産庁の川端淳漁場資源課課長補佐は「流通コストが上昇しており、不漁でなくてもサンマの価格はかつてのような安さになりにくい」と指摘。手頃な価格で安定させるには「外国漁船による乱獲を防ぎ、日本の漁獲量を以前の水準(20万トン程度)に戻すことが必要」と話す。
緑川氏は「シーズン初期の水揚げ状況などから判断すると、今年もサンマの高値が続くのではないか」と予想している。
