iOSの「写真」アプリ(+α)を使って画像に注釈を入れてみる
今回は普段とちょっと毛色が違う話。
写真やスクリーンショットにちょっとメモを入れたいことってあるじゃない。わたしは頻繁にある。「ここがアレだよ」とか「ここで待ち合わせ」とか「今ここにいるよ」って写真に一言入れたいことが。
私は地図のスクリーンショットをよく撮る。地図を単に送るより「ココ!」ってひとこと書いた方がわかりやすいもの。
画像に何かを書き込む手のアプリはいくつも出ているけれど、「いちいちアプリを立ち上げるのが面倒臭い」「手間暇掛けずにささっとやりたい」と思うこともあるだろう。
そこで登場するのが、おなじみのiOS標準の「写真」アプリ。写真やスクリーンショットにいろいろ書き込めるのである。
●写真に「線」を引いてみる
では、やってみよう。
まず、写真アプリで編集したい画像を開いたら、スライダーのアイコンをタップする。これで、画像の編集メニューが開く。
次に、丸で囲まれた縦三点リーダーのアイコンをタップすると、「写真編集App」が表示される。
使ったことがない人もいるだろうから解説すると、これは写真アプリから外部の画像処理アプリを呼び出すための機能なのだ。最初は下のスクリーンショットのようになってるはず。
「マークアップ」と表示されているのは、標準で入っている写真編集App。なぜこれがひっそりこっそり入っているのか。たぶん、機能としてまだ完成度が低いからなんじゃないかなと私は勝手に思っている。「iOS 11」では完成度を上げた姿を見せてくれるんじゃなかろうかとも思っている。秋をお楽しみに(どうなるかは知らないけれど……)。
それはさておき、今回はこのマークアップを使って写真に書き込みをしてみる。
下の写真、何の変哲もない崖から見下ろした風景なのだが、この丁字路がちょっと面白いのである。どこが面白いのか、これからその説明を入れようと思う。
マークアップの画面左下にあるのが「ペン」機能。色と太さを選んで、自由に書き込める。
まずは道路に沿って線を引く。Appleらしいのは、最初は細い線が段々太くなる所。
線を引き終わると、2つの選択肢がアイコン表示される。ちょっと分かりづらいのだが、左側は「画面に出ているまま使う(補正なし)」という選択肢、右側は「キミが引きたかった線はたぶんこうじゃない?(線の自動補正)」という選択肢だ。
右側を選択すると、適当に描いた線が自動補正され、ヒュッとした直線になる。線の両端の青い点をドラッグすると、線を引き延ばせる。線上にある緑の点をドラッグすると、曲線にできる。さらに線を複製することもできる。
適当に線を描いても後で何とかできるのも、ある意味でAppleらしいところだ。
補正といえば、適当に丸を描くときれいな正円にしてくれる機能や、直線の先っぽに三角を書き込むと矢印にしてくれる機能もある。非常に便利である。
自動で補正はしてくれるものの、手書きのテイストが捨てがたいので、今回はそのままにして、線を2本描くことにした。
●次に「文字」を入れてみる、が……
ただ、線だけでは何も伝わらないので、テキスト(文字)を入れることにする。フォントの書体や大きさも指定できる……けれど、書体設定が反映されるのは英数字だけ。がーん。せめて文字の太さくらいは変えたいのに……。
落ち込んでいても仕方ないので、文字を入れる……が、文字の色は選べるものの、写真に文字をかぶせると、ちょっと読みづらいよねえ……。
もっと見やすくする良い手はないものか。
実はあるのである。写真編集Appとしてサードパーティのアプリを呼び出して使えばいいのだ。
●サードパーティーの画像編集アプリを呼び出せるようにする
Evernoteが作った「Skitch」という画像マークアップアプリがある。きちんと使うにはEvernoteのアカウントが必要だし、しかも、開発はもう終了していて、最終バージョンアップは2015年10月である。
だから今から新たにアプリとして新たに使うのは勧めない……が、写真編集Appとして写真アプリから呼び出して使うなら話は別だ。
先ほど純正のマークアップ機能を呼び出した画面のことを思い出してほしい。マークアップの横に「その他」というアイコンがあったはずだ。これは写真アプリから呼び出したいアプリを指定するためのアイコンだったのだ。
ここをタップして出た画面で、インストール済みの好きな画像編集アプリをオンにすれば、写真アプリから呼び出せるようになる。ここではSkitchを使うので、Skitchのスイッチをオンにして「完了」をタップする。
では、Skitchを使ってみる。
下の画像のように、フリーハンドの線や図形を描いたり、文字や矢印を入れて画像に注釈を入れたりできるアプリがSkitchである。
先ほど紹介した純正のマークアップ機能ほど気が利いたことはしてくれないが、実用性は高い。ツールを選び、指でサッと線を引いて色や太さを変えるだけ。選べる色や線の太さは限られているがその分シンプルでよい。
何より文字に縁取りをしてくれるので(縁取りのカラーは文字色によって「白」か「黒」)、写真に文字を重ねても読みやすいのである。フォントは固定だが、文字サイズも変えられる。
編集が終わったら「完了」をタップして写真アプリに戻る。戻ったら右下にあるチェックマークをタップすると、編集した保存される。
で、この写真で何を伝えたかったのかというと……この丁字路、東京都の中野区、渋谷区、新宿区の3区の境界になっているのだ。いや、まあ、それだけなんですけどね。
それの何が楽しいのかと言われると……それが楽しい人たちもいるのです。見えない線がそこにあるという不思議な面白さというか。
これ、地図だともっとわかりやすい。地図アプリのスクリーンショットにSkitchで文字を入れたのがこちら。
ちょっとした説明を書き加えるのに役立つということが分かってもらえたかと思う。
●便利な機能で複合技をキメる
……と、ここまで基本的な使い方を紹介してきたが、マークアップにもSkicthには他にも便利な機能がある。
例えば、マークアップなら画像を部分拡大する「ルーペ」が便利である。写真の一部だけはっきり見せたいときにピッタリだ。
ここでいったん完了をタップし、続けてSkitchを呼び出す。
Skitchの「モザイク」と「矢印」はなかなか使える。モザイクは諸般の事情で公開したくない人の顔が写ってしまったとか、知られてはマズい情報が写っちゃったとか、そういうときに便利だ。
モザイクツールの使い方は簡単。モザイクを掛けたい範囲を四角で指定するだけだ。
ついでに矢印を付けて文字を入れて完成だ。完成したら完了をタップし、チェックマークをタップして保存しよう。
要するに、それぞれの画像処理アプリの得意な機能を組み合わせて使えばも良いのである。あとはシェアしようが何しようが普通の画像として扱える。
●画像編集前に「複製」を作っておくともっと便利
さてさて、こうしてあれこれいじった写真だが、元画像は別途保存されているので、いつでも元に戻せる。しかし、元画像と注釈をつけた画像の両方をいつでも使えるようにしておくともっと便利である。
そこで、マークアップやSkitchでドカっと手を加えたいときは、あらかじめ画像を「複製」しておくことをお勧めする。
そうすれば、元画像と注釈付画像の両方が並ぶので何かと扱いやすい。
写真や画像は「何かを伝えるため」にある。時には写真や画像に対して注釈をいれることでより伝わることがある。そういう時、写真編集Appは力を発揮する。
他にも写真編集Appとして使える画像処理アプリはたくさんある。あれこれ使ってみるべし。