固すぎると有名な「あずきバー」をかき氷にできるマシンが登場!開発には相当の苦労が…
タカラトミーアーツは、「おかしなかき氷 井村屋あずきバー」を2017年6月29日より発売します。
「おかしなかき氷 井村屋あずきバー」は、井村屋から発売されているアイスキャンディー「あずきバー」を削ってかき氷にすることができるという商品です。なお本商品は、身近な食べものを楽しく簡単にアレンジする「おかしなシリーズ」の新商品として登場します。
井村屋の「あずきバー」は固いことで有名で、その固さはSNS上などでもしばしば話題になります。タカラトミーアーツはそんな固いアイスをふわふわのかき氷にしようと試みたものの、その道のりはけわしいものでした。というのも、井村屋へのプレゼンテーションの場で「あずきバー」が固すぎるため本商品の試作機が壊れるといったアクシデントが発生したのです。
結果、6種の試作品を経て“てこの原理”を応用して力をかけずにかき氷が作れるマシンが完成。完成するまでは9か月間の試行錯誤が必要だったとのこと。
■「あずきバー」のかき氷化に成功するまでのあゆみ
【第1号機】強力バネタイプ
「あずきバー」を2本の強力なバネで固定し、プラスチックの刃で削る仕様。「あずきバー」のセットは2人掛かりでなければできないという難点がありました。始めは削れるものの、途中で押し付けるバネの力が足りなくなるため、半分くらいまでしか削ることができず断念。
【第2号機】上ハンドルタイプ
ハンドルと連動したギアが、「あずきバー」を下へ押し込む仕様。刃を固定し「あずきバー」自体を回すか、刃そのものを回して削るか、どちらがうまく削れるか悩んだ末、刃を回すギミックを採用しました。ハンドルが非常に重く、上からハンドルを回すと支柱となっているラックギアがしなるほど力がかかってしまい、井村屋担当者へのプレゼンテーションでもハンドルが折れてしまう事態に。(写真はハンドルが折れてしまっている試作機)その後修理するも「あずきバー」を削る前に試作機が壊れてしまい断念。
【第3号機】サイドハンドルタイプ
ハンドルを横に付け、「あずきバー」の回転に対する力の負荷を軽減した仕様。「あずきバー」が固いために、2号機以上にハンドルが重く、回し進めることができず断念。
【第4号機】頑丈&三枚刃タイプ
一度の回転で「あずきバー」をたくさん削れるように刃を3枚に改良。刃を増やしたことがかえって抵抗になってしまい、ハンドルが重く回すことができず断念。
【第5号機】スティック引き抜きタイプ
「あずきバー」のスティックが削る際の抵抗になっていたため、思い切ってスティックを抜くことを検討。「削るのも難しいのに、スティックを引き抜くなんてもっとハードルが高いのでは?」との声も上がりましたが、スティック引き抜きのための専用パーツの試作製作に取り掛かることに。同時に、スティックを引き抜いた「あずきバー」を削る仕様の試作機を完成。ハンドルのギア比を変えて5種のサンプルを作成し、程よいバランスを検証。ギア比を1:1.76に決定。これでほぼゴールが見えてきました。
【第6号機】完成品!
最終仕様がまとまってきたので、余分な部分を削減し商品自体をコンパクトにしたり、使いやすさを追求してパーツを調整していきます。「あずきバー」の固さに負けて本体が破損しないよう、ハンドル部分にクラッチも内蔵しました。さらに、「あずきバー」を最後の最後まで削れるように押さえのパーツを改良。そして、この試作機にスティックを抜いた「あずきバー」をセットし、1本全て削ることに成功しました!
なお、「おかしなかき氷 井村屋あずきバー」で作ったかき氷はそのまま食べるほか、フルーツと一緒に盛り付けたり、牛乳を注いでシェイクにしたりといったアレンジも可能になっています。
「おかしなかき氷 井村屋あずきバー」は2017年6月29日発売予定。価格は2,800円(税別)です。
≪製品概要≫
・商品名:『おかしなかき氷 井村屋あずきバー』
・希望小売価格:2,800円/税抜
・発売日:2017年6月29日予定
・内容:本体、ぬけるんバー
・本体サイズ:W120mm×H190mm×D75mm
・重さ:本体+ぬけるんバー…195g/本体163g
・対象年齢:15歳以上
・取扱い場所:全国の雑貨店、量販店、インターネット通販ほか
※本商品は「井村屋BOXあずきバー」あずきバー65ml専用商品です。85mlには対応しておりません。
≪井村屋担当者より≫
まさか、タカラトミーアーツ様が本当に機械を完成させるとは思っておりませんでした。あずきバーは固さや、粒部分とあん部分の物性の違いもあるので、ただ単に削ろうとしても大変難しいのです。タカラトミーアーツ様が試作機を何度も何度も作って挑戦する姿に、井村屋もドキドキハラハラいたしました。出来上がったかき氷は、ふわっとやわらかく、まず食感に驚き、その後ふんわりとあずきの味わいが広がって、新しい美味しさでした。いつものあずきバーも美味しいけれど、あずきバーかき氷も格別の美味しさですよ!
≪なぜ「あずきバー」は固いのか≫
「あずきバー」の原材料は「ぜんざい」と同じあずき・砂糖・コーンスターチ・塩・水あめだけで、アイスが柔らかくなる添加物は入っていません。また、食物繊維たっぷりのあずきをぎっしり詰め込んでいるので、空気の泡が少なくなり現在の固さに。わざと固くしたのではなく、おいしさを追求した結果、固くなったのです。
世界一固いアイスを削れ! あの「あずきバー」に挑んだ無謀な玩具メーカー
井村屋の「あずきバー」は、自然なおいしさで年間2億5000万本以上を販売する、まさに国民的なアイスだ。一方で、その固さは有名。一部では“世界一固いアイス”といわれている。そのあずきバーを、あえて“削る”ことに挑戦した無謀な玩具メーカーがあった。
あずきバーは、ぜんざいと同じ材料だけを使い、アイスを柔らかくする添加剤を一切使用していない。しかも食物繊維たっぷりの小豆をぎっしりと詰め込んでおり、空気の泡が少ないためにさらに固くなる。「わざと固くしたわけではなく、おいしさを追求した結果、固くなった」(井村屋)
“固い”よりむしろ“硬い”と書いたほうが適切に思えるほど固いあずきバー。そのあずきバーをあえて削り、ふわふわのかき氷にすることに挑戦したのがタカラトミーアーツだった。同社は市販のお菓子に手を加えて楽しむクッキングトイ「おかしなシリーズ」を展開しており、「おかしなカキ氷 ガリガリ君」などアイスをかき氷にする玩具でも実績がある。しかし、あずきバーの固さは格が違った。
●プレゼンの場で味わった屈辱
プロジェクトがスタートしたのは2016年9月。
安全面やコストなどを考慮しながら、数カ月間の構想の後に試作1号機が完成した。
あずきバーを2本の強力なバネで固定し、プラスチックの刃を動かして削る構造。2人掛かりでないとあずきバーをセットできないという課題もあったが、それ以前の問題もあった。始めはあずきバーを削れるのだが、途中でバネの力が不足し、半分ほどまでしか到達できない。結局、社内検証でもうまく削ることができず、構造から見直しを迫られることになった。
タカラトミーアーツの開発陣は悩む。刃を固定してあずきバーを回すか、あずきバーを固定して刃を回すか。
悩んだ末、後者を選択した。2号機は、上部のハンドルを回すと連動したギアがあずきバーを下へ押し込みながら刃を回すことで削る仕組み。しかしハンドルが重く、回すと支柱になっているラックギアが“しなる”ほど力がかかってしまう。
一度は試作機を井村屋に持ち込むところまでこぎつけた。しかし、なんと井村屋の担当者の目の前で、ハンドルが破損する事態に。その後、修理するもあずきバーを削る前に再び壊れた。
プレゼンの場で味わった屈辱。しかし、ハンドルは折れても心は折れていなかった。
3号機は「サイドハンドルタイプ」と呼ばれるものだ。その名の通り、昔のかき氷器のように側面にハンドルを設け、あずきバーの回転に対する負荷を軽減するはずだったが、2号機以上にハンドルが重くなってしまい、回すことができずに断念。
4号機では刃を増やした。3枚の刃により、一度の回転であずきバーをたくさん削ろうと欲ばった結果、逆に抵抗が増えてしまい失敗。ハンドルが重く、回すことすらできなかった。
●ゴールが見えた!
あずきバーの固さに加え、アイスには付きもののスティックの処理も大きな課題だった。このため開発陣は、思い切ってスティックを抜くことを検討する。「削るのも難しいのに、スティックを引き抜くなんてもっとハードルが高いのでは?」。社内でも疑問の声が上がる。
7種類の試作機を経て、“てこの原理”を利用して力をかけずにスティックを引き抜く試作機が完成した。「ぬけるんバー」と名付けた。
一方、本体の試作5号機はスティックを抜いた状態のあずきバーを前提に試作した。ハンドルのギア比を変えた5種類のサンプルを作成してバランスを検証。ギア比「1:1.76」という数字を導き出す。
ゴールが見えた。
最終的な仕様がまとまり、次のステップとして製品自体をコンパクトにするため余分な部品を削減する作業に入る。試作6号機は、あずきバーの固さに負けないようハンドル部分にクラッチを内蔵。さらにあずきバーを最後まで削るための“押さえ”のパーツも改良した。
再び井村屋をたずねた。
初めて、あずきバーを1本、すべて削ることに成功した。
井村屋の担当者の目の前で。
9カ月間の戦いが決着した瞬間だった。
井村屋の担当者は振り返る。「まさか本当に完成させるとは思っていなかった。あずきバーの場合、その固さに加え、粒部分とあん部分の物性の違いもあり、ただ単に削ろうとしても大変難しい。試作機を何度も何度も作って挑戦する姿にハラハラドキドキしていた」
しかも、完成したかき氷はおいしかった。
「ふわっと柔らかい食感にまず驚き、その後ふんわりとあずきの味わいが広がって、新しいおいしさ。いつものあずきバーも美味しいけれど、あずきバーかき氷も格別の美味しさ」と井村屋も太鼓判を押す。
何度も振り出しに戻ったプロジェクトが完了し、6月29日に「おかしなかき氷 井村屋あずきバー」が全国の雑貨店や量販店で発売される。価格は2800円(税別)。あの「ぬけるんバー」も付属する。
「始めは挑戦状を突きつけた形だったが、井村屋さんの協力のもと、あずきバーの新しい楽しみ方を生み出すことに成功した」とタカラトミーアーツ。「今後は両社でタッグを組み、この新しい美味しさを広めていきたい」
<あずきバー>かき氷器 硬さと格闘 製造秘話
玩具メーカー「タカラトミーアーツ」(東京都葛飾区)は、井村屋(津市)のアイスキャンディー「あずきバー」をかき氷にする新商品「おかしなかき氷 井村屋あずきバー」を6月29日に発売する。希望小売価格は2800円(税抜き)。「世界一硬いアイス」などとたびたびネタにされている硬さのあずきバーを、手軽にふわふわの食感のかき氷に変身させるまでの道のりは険しく、砕け散った試作機は数知れず。完成に至る経緯などを聞いた。
きっかけは昨年9月。商品を開発したタカラトミーアーツのライフ企画課専門課長の和田香織さんは、翌夏に向けた新商品を考えているとき、あずきバーの硬さを話題にしたインターネット上の投稿を見た。「これをかき氷にする機械があったら面白いかも」。同社は6年前、赤城乳業(埼玉県深谷市)の人気アイスキャンディー「ガリガリ君」をかき氷にする商品を発売しており、ノウハウもあった。
翌夏向けの商品の企画を出すには、開発期間を考えるとぎりぎりの時期だった。まずは商品化の交渉。本来は時間がかかる作業だ。和田さんがフェイスブックのメッセンジャーを通じて、SNSを活用したPRに定評がある井村屋に打診すると、その日のうちに電話が来た。「いいですね。でも、難しいと思いますよ」
井村屋側も過去にあずきバーのPRのために活用したレシピとしてかき氷を考えたが、普通の機材では、なかなかうまく削れなかったという。1973年に発売し、現在は年間2億5000万本以上を売り上げているあずきバーは、1本あたり約100粒のあずきをぎっしり詰めるため空気の泡が少なく、乳製品などアイスを軟らかくする成分も入れていない。「ぜんざい」の味を忠実に再現しようとする心意気が、硬さの秘密だった。
おろし金の原理でアイスを削る「ガリガリ君」のときの構造では歯が立たなかった。思いついてから2週間後、上からあずきバーを強力なばねで押さえつけて固定し、プラスチックの刃で削るタイプの試作品1号機が完成。しかし、削れてくるにつれてバネの力が弱まってしまい、失敗。急ピッチで仕上げたこともあり、この時点ではアイスの真ん中に刺さる木の棒も削ってしまう造りだった。
2号機は刃と連動するハンドルを上につけて下に押し込む形にし、井村屋の担当者の前で実演したが、硬さに耐えきれず、ハンドルはぽっきり折れた。3、4号機はハンドルを横につけ、3枚刃にするなど改良したものの、ハンドルは回すことができないほど重かった。試作品は加工しやすいように柔らかいプラスチック素材で作った事情もあるが、「ほとんどまともに動かなかった」と和田さんは振り返る。
◇発想の転換が生んだブレークスルー ふわりとした斬新な食感のかき氷が完成
糸口をつかめないまま、期限が迫る中、思い切って発想を転換した。「アイスのスティック(棒)がついたままでは周りを避けて削らなければならず、削れない原因になっている。最初に取ってしまうことはできないか」。社内から「削るのも難しい硬さなのに、そこから棒だけを引き抜くことはもっと難しいのでは」という声もあがったが、7種類の試作品を経て、てこの原理を利用した専用部品の作製に成功。全面を削れるようになり、スムーズにハンドルが回せるようになった。
最後に残された問題は、業務用冷凍庫などで冷やされていたあずきバーはさらに硬くなり、過度な力でハンドルを回すと商品が壊れてしまう可能性があることだった。これも負荷をかけすぎると空転する「クラッチ」を取り付けた6台目の試作品で解消。季節が秋から冬に変わった昨年末、ようやくめどが立った。
あずきバーは65ミリリットルと85ミリリットルの二つのサイズがあるが、商品は65ミリのみ対応。かき氷は、ふわりとした斬新な食感だ。フルーツを添えたり、牛乳を注いで冷たいシェイクにしたり、これまでのあずきバーとは違った楽しみ方もできるという。和田さんは「完成後、井村屋の方々の前でかき氷を作って食べてもらったとき、あずきバーは井村屋の商品なのに、思わず『おいしいでしょう?』と自慢していました」と笑う。
井村屋の担当者も「試作機を何度も作って挑戦する姿に、どきどきはらはらしていた。まさか本当に機械を完成させるとは思わなかった。いつものあずきバーもおいしいが、かき氷も格別のおいしさ」と太鼓判を押した。
