京セラドームは「悪魔の人工芝」?人工芝が阪神の味方に

京セラドームは“悪魔の人工芝”? 人工芝が阪神の味方に

白熱の勝負に悪戯を加えたのは、本来イレギュラーを生み出さないはずの人工芝だった。8日、京セラドームで行われた阪神対広島の2位と3位の攻防戦。“悪魔の人工芝”は、まずは広島に味方した。3回一死二、三塁から、丸の二塁を襲った打球は、上本が捕球する手前でポーンとはねた。上本は反応したがグラブを弾いた打球はライトへ。記録はエラーだったが、明らかに打球は“イレギュラー”して跳ねた。

気まぐれな京セラドームの人工芝は、今度は阪神にウインクをする。その裏、二死一、二塁から、ゴメスはフルスイング。こげた匂いのするような強烈なゴロが捕球体勢に入ったショート、田中の正面でイレギュラーに弾んで顔面を直撃。そのボールが転々とする間に二者が生還した。記録は二塁打。このイレギュラーの処理ミスが続くマートンの同点タイムリーにまでつながってしまう。口元を血だらけにした田中は、そのまま負傷退場して病院へ直行。骨には異常はなかったが、唇に裂傷を負った。

本来、人工芝とはイレギュラーがないはずではなかったのか?このゲームをテレビ解説していた評論家で阪神DCの掛布雅之氏は、「球場によって人工芝の質が違うので打球が違う。特に京セラドームはボールが跳ねることで有名。球足が速くなるのでイレギュラーのような打球が生まれる。ゴメスが擦るように打球にスピンをかけていたので、なおさら、ああいう打球になったのではないか」と言う。

かつて、名手・井端(巨人)に「人工芝にイレギュラーがあるのか、ないのか」という話を聞いたことがある。彼も、「人工芝も球場によって跳ね方が違う。楽天が本拠地にしているコボスタと、芝を張り替える前の札幌ドームが、特に跳ねやすい人工芝。内野手としては、そういう跳ねる人工芝で守るのが嫌」という話をしていた。

人工芝は、各球場によって、その構造にも若干の違いがある。京セラドームは、3年前から、より天然芝に近いアストロ社製の新型人工芝に張替えられている。約60ミリの芝の根元に、土の代わりに約30ミリ分のゴムチップが敷き詰められていて、柔軟性があり、膝や腰への負担を和らげているが、反面、反発力が高まり、張り替えた年から他球団の野手を悩ませる人工芝として有名だった。井端の証言通り、コボスタの人工芝の反発力も大きい。その反発力の大きさと、芝の長さ、打球の質などが複雑に絡みあって、《大きく弾むイレギュラー》という現象を生み出すことになっている。

天然芝の業者も、より天然芝に近い質感やハイブリッドな性能を持ったものを追求しているからこそ、イレギュラーが生まれるのも、当然のなりゆきかもしれないが、それを味方につけるかどうかが、勝敗を左右するならば、それこそ万全の対策を練っておかねばならない。「人工芝への対応は経験しかないだろう。ノックとゲームの打球はまた違うから。あえて対策を考えるならば、こういう人工芝では、攻めていく守備を心がけるべきだと思う。上本や田中のようにバウンドを待って捕球すると、打球が跳ねる。いつもよりも意識的に足を動かして捕球すること。それは外野の守備でも同じことだ。エルドレッドが後逸したプレーも足が止まっているから、ああいうミスが生まれた」とは、掛布氏の分析。

京セラの人工芝対策が経験の量と比例するならば、フルでスタメン出場をし始めて元年となる上本や、ルーキーで、しかも、オリックスとの交流戦戦は、ほっともっと神戸で戦ったため、今季、京セラドームでの初試合となる広島の田中が、気まぐれに弾む打球に対応できなかったのも、ある意味、起こりうるミスだったのかもしれない。また、7回にゴメスのレフト前をエルドレッドが後逸する凡ミスを犯して阪神のリードが広がったが、それも京セラの気まぐれな人工芝の影響だったとすれば、死のロードを解消するために夏場は、例年、京セラドームで本拠地試合を組み、すでに交流戦も含めて5試合を、ここで戦ってきた阪神は、悪魔の人工芝を見方につけ、《準ホーム》の地の利を生かしたことになる。

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