災害用アプリに感激! オフライン地図で避難所を案内

災害用アプリに感激! オフライン地図で避難所を案内

日本は地震をはじめとする自然災害が多い国で、私たちもいつ避難所を利用することになるか分からない。僕は、東京で東日本大震災を経験したのだが、震源地から400km程度離れているにもかかわらず、交通機関がまひして出先から自宅に帰るのに大変な苦労をした。また、スマートフォンや携帯電話が使えなくなったのも周知の通りだ。

震災からほぼ6年が経過した今年2月末、画期的な災害対策アプリ「ポケットシェルター」が登場したので紹介しよう。今回は開発元に取材に行って話を聞いてきた。

 アプリの機能はかなり充実していてデザインも良く、相当に力を入れて作られたことが分かる。

 「東日本大震災を契機に緊急地震速報と連動するアプリを作れないかと考えました。もともとは貿易関係の仕事をしていたので、まったくの畑違いなのですが、ベンチャーを立ち上げることにしました」とポケットシェルター取締役の藤川博久さん。

 アプリを作ることもできないので、いろいろな会社に声を掛けた結果、ゲームの開発会社が応えてくれたという。昨年の8月に特許を申請して、今年2月にはリリースにこぎ着けているのだから、ベンチャーとして見れば順調なスタートといえるだろう。

 取得した特許は、簡単に言うと「緊急地震速報と連動するアプリ」だそうだ。緊急地震速報が発表されるとアプリが起動し、周辺の避難関連施設を表示してくれる。

オフライン地図機能搭載だから通信回線は不要

 このアプリのすごいところは、地震が起こったときの動きが考え抜かれている点だ。大きな地震が起こったらどうするかを考えてみると……何はともあれ、近くの安全そうな場所に避難する。とりあえずは机の下かもしれないが、揺れが収まったら外に出て、安全な避難場所を探すだろう。

 だが、避難が必要なほどの地震だった場合、スマートフォンや携帯電話の通信回線が使えなくなっている可能性は高い。つまり、揺れが収まってから避難場所を検索しようとしても遅いのだ。

 ポケットシェルターでは、そんな心配はない。緊急地震速報を受信するとアプリが自動的に起動し、GPSの位置情報を元に近くの避難関連施設を表示してくれるからだ(iOS版は通知からタップが必要)。しかも、施設までの道順をナビゲートする機能もある。

 通信回線が使えない場合も想定して、ポケットシェルターはオフライン地図機能を搭載している。もちろん事前に地図データをダウンロードしておく必要があり、容量は関東地方で364MB。できれば、すべての地域の地図データをダウンロードしておきたいところだが、スマートフォン本体のストレージでは厳しいので、今後、増設用のmicro SDカードに保存する機能をリクエストしたい。

地図やナビはGoogleマップより便利

 ポケットシェルターは、ナビゲーション機能を搭載しているので、避難関連施設までの道順も分かる。さらに足跡機能もあり、自分がどう歩いたのかまで分かる。「Googleマップ」などのナビゲーション機能では方角がイマイチ合っていないこともあるので、これはありがたい。また、大きな地震の際には道路が通行できなくなっている、つまり地図と現実がマッチしていない可能性もある。そんなときにも足跡機能が威力を発揮しそうだ。

 地図には避難関連施設だけでなく、公衆トイレ、コンビニ、給水所や耐震構造物など、災害の際に知っておくと役立つスポットも登録されている。余震が続いていたら、近くの耐震構造物に逃げ込んで待機するといったこともできるわけだ。

 耐震構造物のデータは、公共機関から提供されている情報をベースに、避難できそうなビルなどを独自に調査して登録しているとのこと。全国を対象に、人海戦術で調査、登録しているのだから、かなりの手間が掛かっているが、「今後は沿岸部の津波避難ビルの譲歩も充実させたい」(藤川さん)という。

オフライン地図や安否情報は課金制に

 安否情報を伝える機能を備えているのも、ポケットシェルターの画期的な点だ。災害伝言板などの機能は通信回線がないと使えないし、企業などが導入している安否確認サービスでは安否確認メールを出してもなかなか返事がないなど運用が難しい場合があるが、このアプリはひと味違う。地震発生の前後3時間の間に震源地から半径150km以内にいるユーザーの位置情報を検知し、それが地震発生後も一定距離を移動していれば、「無事でいる可能性が大きい」と判断。事前に登録しておいたメールアドレスに通知するのだ。もちろん、これで完璧ということではないのだが、避難中に安否を自動的に確認してくれるのはありがたい。

 とはいえ、非常時にGPS情報をサーバーに送信できるのかという疑問も湧く。その点について藤川さんは「基地局が倒壊すればできません。ただ、基地局が無事でも混雑していてなかなか通信できないという状況であれば、位置情報はメールなどと違って通信量が少ないので、送信できる可能性は大きいと考えています」ということだった。

 なお、システムはアマゾンのウェブサービス(AWS)を利用しており、日本国内の災害でサーバーが影響を受ける心配はまずないだろう。また震源地から半径150km以内という設定が適当かどうかについては、今後いろいろと検討していくとのことだ。僕としては「震度5以上の地域にいた人」といった範囲を対象にしてほしいが、いかがだろう。

 「ポケットシェルター」は、災害時に役立つアプリの筆頭と断言できる。難点を挙げるとすれば、これまで無料だったこれらのサービスがアップデートで一部有料になったことだ。オフライン地図や安否情報を利用するためには、月額300円が必要になった。

 初めてアプリをリリースしたベンチャーなので、ユーザーとして応援したいところだし、課金は仕方ないのかもしれないが、「次のアップデート以降は、課金しないと使えなくなる機能がある」というようなアナウンスが事前になかったのは残念だ。ユーザーは課金には敏感なので、もう少し気を配るとよかったと思う。

 僕としては、家族でそれぞれの安否を共有するためにも、家族全員のスマホに入れておきたいアプリだ。月額300円は、コーヒー1杯分と思えば高くはないものの、家族4人だと1200円……まとめて払う立場としては悩ましい。家族割引などの仕組みが導入されるのを期待したい。

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