どんなモバイルバッテリーが「任天堂スイッチNintendo Swtich」に最適なのか?

どんなモバイルバッテリーが「任天堂スイッチ」に最適なのか?

新世代USB端子「USB-C」(USB Type-C)が、スマホをはじめとしたデジタル機器に普及しつつある。だがUSB-Cでは、モバイルバッテリーなどを使った充電はどう変わるのか? USB-Cを搭載した任天堂の新ゲーム機「Nintendo Swtich」を例にして、詳しく検証した。

2016年から「USB-C」(USB Type-C)端子を搭載したスマホやパソコンが増えてきた。USB-CはUSB端子の最新規格で、裏表がなく小型で高速データ転送に対応。さらに多くの電力を扱えることから、スマホやパソコンを急速充電する手段としても注目されている。

 そこで、この記事では、USB-C端子を使った急速充電規格「USB PD」と「Quick Charge 4.0」の現状を分析。またUSB-C端子を採用した機器の実例として、任天堂の新ゲーム機「Nintendo Swtich」をチェックし、どんな機器で急速充電できるのかを検証した。

●2つの急速充電規格がある

 現在発売されている高性能なAndroidスマホの多くは、クアルコム社の急速充電規格「Quick Charge 3.0(2.0)」に対応している。

 一般的なUSB-C端子やmicroUSB端子のスマホだと、充電時の供給電力は約5Wから10Wにとどまる。USB-Cの一部製品でも最大で約15Wだ。だが、Quick Charge 3.0(2.0)対応スマホと充電器の組み合わせなら、約18Wの電力で急速充電できる。「1時間で約70%充電できる」など、端末メーカーも急速充電対応をアピールすることが多い。

 この便利な急速充電だが、USB-C端子を採用した機器では2つの異なる規格が使われている。ひとつは前述の「Quick Charge 3.0」。「Xperia XZ」など多くのスマホが採用している。以前からmicroUSBのスマホで使われてきた規格なので、互換性の問題が少なく対応充電器も多い。

 もうひとつが、業界標準規格の「USB PD」(USB Power Delivery)だ。実質的にUSB-C端子専用として登場した新しい規格で、スマホなど27W以下の小型機器から最大100Wを必要とする高性能PCまで対応できる。

 現在はアップルのMacBookをはじめ、パソコンを中心にUSB PD採用機器が増えつつある。ただ、新しい規格なので対応の充電器やモバイルバッテリーが少ない。これからの普及が見込まれる規格となっている。

 この2つは異なる規格なので、急速充電を利用するなら、それぞれ別の充電方式に対応した充電器やモバイルバッテリーが必要となる。

USB PDが主流になるワケ

 だが、2017年以降はUSB PDが主流になる動きが見えてきた。というのも、グーグル社はAndroid 7.0や7.1を搭載したスマートフォンのガイドラインとして、USB PDの採用を強く要求しているからだ。同社がAndroid 7.0のリリースに合わせて米国で販売を開始したスマホ「Pixel」シリーズもUSB PD対応だ。

 この動きを受けてか、クアルコムも16年11月に急速充電の次期規格「Quick Charge 4.0」を発表。従来のQuick Chargeだけでなく、USB PDとの互換性を持たせることを発表している。

 業界を代表する企業がUSB PDへの対応を進めることで、今後はスマホ以外の機器への採用も増える可能性が見えてきた。

 また、この3月に発売された任天堂の新しいゲーム機「Nintendo Switch」もUSB-C端子による充電に対応した。実際の仕様は非公開だが、実は一部のUSB PD対応充電器やモバイルバッテリーを接続すると、付属のACアダプターと同様に急速充電できることを確認できた。詳細を見ていこう。

●モバイルバッテリーで充電できるゲーム機

 3月3日に発売された任天堂の新ゲーム機「Nintendo Switch」(ニンテンドースイッチ)はUSB-C端子を採用。また任天堂は動作保証外としながらも、モバイルバッテリーを使った充電についても案内している(関連ページ:「【Switch】市販のモバイルバッテリーを使って、本体を充電することはできますか?」)。

 任天堂が動作保証外の情報をあえて掲載したのには、Nintendo Switchを外へ持ち出して遊んで欲しいという意図がうかがえる。ニンテンドー3DSでは「モンハン」(モンスターハンター)シリーズのように、友人や家族が携帯ゲーム機を一人一台持ち寄って通信プレーするタイトルがヒットすると、ゲーム機本体の販売にも大きく寄与するからだ。

 では、Nintendo Switchにはどういった充電器やモバイルバッテリーを使えるのだろうか。

(注)ここからはメーカーの動作保証外の利用についての内容となります。メーカーや編集部では問い合わせには応じられません。また情報は2017年3月時点のもので、将来にわたる正確性は保証できません。

どんなモバイルバッテリーが急速充電できる?

 まずモバイルバッテリーの容量だが、Nintendo Switchの内蔵バッテリーが4310mAhと大容量なので、1回フル充電するには充電ロスを考えて約7000mAhぶんが必要だ。10000mAhの製品なら問題ない。

 次にNintendo Switchの付属のACアダプターが、USB-C端子に供給している電力を調べた。結果、高画質なゲームを遊びながらの充電時は18W(15V/1.2A)前後、満充電の状態でゲームを遊ぶ時は9W(15V/0.6)前後だった(携帯モードで「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」を一番明るい画面で動かした状態)。携帯ゲーム機かつ高画質なゲーム機だけに、従来の携帯ゲーム機やスマホと比べて消費電力がかなり大きい。

 だが、標準のUSB-C端子が供給できる最大電力は15Wまでだ。もし最大18Wの電力を供給するには、急速充電の仕組みが必要となる。

 そこで「USB PD」や「Quick Charge 3.0」など急速充電対応の充電器やモバイルバッテリーをいくつか接続したところ、一部のUSB PD対応製品で付属のACアダプターと同じ約18Wを供給できることを確認できた。以下がそのリストだ。

 結果を見てみると、USB PDをうたった製品でもNintendo Switchを約18Wで急速充電できる製品と、一般的なUSB充電器と同じ約7.5Wしか充電できない製品があった。

 誤解を防ぐために書いておくと、Nintendo SwitchはUSB PD準拠をうたった製品ではない。このため、USB PD対応の充電器やモバイルバッテリーから充電できなくても問題はない。

 そのうえで急速充電の可否に差が出た理由だが、Nintendo SwtichがUSB PDに準拠していないほかは、新しい規格の登場直後にありがちな相性や互換性の問題だと推測できる。

 というのも、上記リストのUSB PD対応充電器の多くはMacBookでの利用を前提に、2015年から2016年に発売された初期の製品だ。既に販売が終了したものもある。その一方で、USB PDの規格は2015年から2017年の間にも改訂されている。ここ1~2年の仕様の変化が互換性に影響を与えている可能性もある。

 例えばRAV Power製のモバイルバッテリーも、2017年1月発売の20100mAhモデルは独自の機器判別機能iSmart 3.0によるものか、Nintendo Switchを急速充電できた。 いっぽう、2016年11月発売の26800mAhモデルでは安定した急速充電を利用できなかった。

 もしこれからNintendo Switch向けにUSB PD対応の充電器やモバイルバッテリーの購入を考えているなら、なるべく新しい設計の製品かつ、メーカーがNintendo Switchでの急速充電を検証した製品を選びたい。現時点でそういった製品はほとんどないが、今後はNintendo SwitchやUSB PD対応スマホ向けの手ごろな製品も出てくるだろう。

従来の充電器やモバイルバッテリーではどうなる?

 従来のUSB充電器やモバイルバッテリーでNintendo Switchを充電した場合の充電速度を紹介しておこう。

 下記は、主なUSB充電器やモバイルバッテリーでNintendo Swtichを1時間充電した場合の充電量を比較した表だ。ゲーム中は携帯モードで「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」を一番明るい画面で動かした状態で充電した。

●従来のUSB端子の充電器:スリープ時はOK、ゲーム中の充電は不向き

 一般的なUSB充電器やモバイルバッテリーでも、USB-A端子からUSB-C端子への変換ケーブルがあればNintendo Swtichを充電できる。ただし、ゲームをしながらの充電は難しい。

 というのもNintendo Swtichを携帯モードで動かした場合の消費電力は最大で9W前後になる。だが、一般的なUSB充電器の端子を変換ケーブルでUSB-C端子に接続すると、10W(5V/2A)出力対応の製品でもUSBの仕様により約7.5W(5V/1.5A)出力に制限される。

 このため、ゲーム中の消費電力に充電が追いつかない。内蔵バッテリーの充電と放電の繰り返しでバッテリーの寿命を縮める可能性もある。

 もちろんNintendo Switchの動作時間を延長できるほか、処理の軽いゲームならプレー中に充電できることもある。だが、ゲームをしながらの充電は緊急用と考えた方がよいだろう。

 なお、スリープ中なら問題なく充電可能だ。寝ている間に充電して、一日1時間や2時間程度プレイするだけなら問題ない。

●USB-C端子の充電器:スリープ充電なら高速、ゲーム中も充電可能

 標準のUSB-C端子からの充電は約10W(5V/2A)だ。一般的なUSB端子の充電器と比べると供給電力が多く、スリープ時の充電も速い。急速充電ではないが、ゲーム中も少しずつなら充電できた。

 最近ではUSB-Cに対応した、手ごろな価格の充電器やモバイルバッテリーも増えてきた。テックの「TMBQ3C-10K(実売4200円前後)」のように、1台でQuick Charge 3.0用端子とUSB-C端子の両方を搭載した製品も出てきている。スマホとNintendo Swtichの両方をスムーズに充電できる製品を探しているなら狙い目だ。

●USB-C端子で「USB PD」対応:急速充電できるが互換性には注意

 USB-C端子のUSB PD対応にした充電器やモバイルバッテリーかつ、Nintendo Switchで急速充電が可能な製品なら、スリープ中でもゲームを遊んでいるあいだでも素早く充電できる。低価格でコンパクトな製品が登場すれば、Nintendo Swtichを持ち出したり複数人で遊ぶときに重宝するだろう。

 だが、USB PD対応の充電器やモバイルバッテリーはまだ数が少なく、Nintendo Swtichでも急速充電できるのか否かは、実際に試さないと分からない状態だ。

 今回のテストで急速充電に利用できたモバイルバッテリーも、「RAVPower 20100mAh USB-C USBハブ モバイルバッテリー」だけとなる。小型かつ低価格な製品は今のところない。

 今後、スマホでもUSB PD対応機種が増えてくると、コンパクトなUSB PD対応充電器やモバイルバッテリーが登場する可能性も出てくる。なかには、メーカーがNintendo Swtichの動作検証を実施した製品も出てくるだろう。今後の製品展開に期待したい。

 今年はUSB-C端子に加えて急速充電にUSB PDを採用した機器がある程度増えるが、充電器やモバイルバッテリーを買うときUSB-PDとQuickCharge 3.0どちらの対応製品を買えばよいのか迷う過渡期の年になりそうだ。最新のスマホやデジタル機器を買う場合、どの急速充電方式に対応しているのかをしっかり確認して、充電器やモバイルバッテリーを買うようにしたい。

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