元市場長「築地含む複数案」石原氏と食い違い
東京都の豊洲市場(江東区)への移転問題に関する都議会調査特別委員会(百条委員会)の証人喚問が11日始まり、東京ガスとの用地取得交渉を始めた1999年当時、「中央卸売市場」の市場長だった大矢実氏(74)が「当時の石原慎太郎知事には築地市場の再整備を含め複数案を提示していた」と証言した。石原氏は3日の記者会見で「99年4月に知事に就任した時には、豊洲への移転は既定路線だった」と述べており、証言の食い違いが浮き彫りになった。
証人喚問は百条委が証拠提出を求めた都と東ガスの内部資料に基づいて行われ、都側からは99年6月~2001年に市場長だった大矢氏と、99年5月~05年6月に副知事を務めた福永正通氏(75)が証人として出頭した。
大矢氏は豊洲移転決定の経緯について「内部会議や業界の意向などを総合判断し、最後に(自分が)『豊洲しかない』と話し、知事も『積極的に進めてくれ』と了解した」と述べた。福永氏は「(部下から)豊洲が大きな候補地と言われたが、知事に『豊洲で決まった』とは伝えてはいない」と説明した。
この後、東ガス側で交渉に関わった上原英治元会長(81)▽市野紀生元会長(76)▽岡本毅会長(69)▽広瀬道明社長(66)▽伊藤春野元副社長(79)ら9人の喚問があった。
資料には福永氏の交渉を引き継いだ元副知事の浜渦武生氏が提案した「水面下の交渉」についての記載もあるとされた。浜渦氏が「土壌問題が噴出して土地価格が下がる前に結論を出せ。そうすれば知事が安全宣言する」と部下を通じて東ガス側に有利な条件を示す内容といい、大矢氏は「それは承知していない」と答えた。一方、水面下の交渉の内容をただされた市野氏は「『水面下』という言葉はマスコミ報道で知った。会議ではなく実務家で議論しないと進まないと話をした記憶はある」と述べた。
また、将来的に新たな汚染が分かった場合の瑕疵(かし)担保責任(費用負担)が免除されたことに関する質問に、東ガス側は土壌汚染対策に計180億円を投じたとした上で「法的義務もなく、それ以上は負担しないことを都に了承してもらった」と説明した。
百条委は18日に元市場長4人、19日に浜渦氏、20日に石原氏の証人喚問を予定している。【芳賀竜也、柳澤一男、林田七恵】
百条委の今後の焦点◇
・中央卸売市場の市場長だった大矢実氏の「石原慎太郎知事の就任後、築地市場の再整備を含め複数案を提示した」とする証言と、石原氏の「就任時に豊洲移転は既定路線だった」とする証言の食い違い
・浜渦武生氏側が「土壌問題が噴出して土地価格が下がる前に結論を出せ。そうすれば知事が安全宣言する」と示したなどとされる「水面下の交渉」の内容
・東ガスの瑕疵(かし)担保責任(費用負担)免除が都との協定書に盛り込まれた理由
