AMDの新世代CPU「Ryzen」3月3日に発売、深夜販売も実施

AMDの最新CPU「Ryzen」が3月3日に発売、深夜販売も実施

40%の性能向上を実現したという「Summit Ridge」ことAMDの新世代CPU「Ryzen」がいよいよ3月3日(金)に発売される。

 発売予定のモデルは、上位から「Ryzen 7 1800X」「Ryzen 7 1700X」「Ryzen 7 1700」の3つ。Ryzen 7 1800XとRyzen 7 1700XにはCPUクーラーは付属しない。

 販売を予告しているのは、ツクモeX.パソコン館、ツクモパソコン本店、パソコン工房 秋葉原BUYMORE店で、予価(以下、税込表記)は順に64,584円、50,544円、41,904円。各ショップとも予約受け付けは行っていない。

 発売日当日は、パソコン工房 秋葉原BUYMORE店が深夜販売の実施を予定している。

■AMDの新世代コアアーキテクチャ「Zen」を採用したSocket AM4対応CPU

 Ryzenは、AMDの新世代コアアーキテクチャ「Zen」を採用したSocket AM4対応CPU。製造プロセスは14nm。

 今回の3モデルは8コア/16スレッドのCPUで、合計キャッシュ容量は20MB。クロックとTDPは、Ryzen 7 1800Xがベース3.6GHz/ブースト4GHz、95W、Ryzen 7 1700Xがベース3.4GHz/ブースト3.8GHz、95W、Ryzen 7 1700がベース3GHz/ブースト3.7GHz、65W。モデルナンバー末尾の「X」は、ブーストクロック以上にクロックアップするという「EFR」(後述)をサポートすることを示している。

 Zenアーキテクチャでは、消費電力を増やさずに前世代コアとの比較で40%の性能向上を実現したという。核となるのは「SenseMI」技術で、温度・速度・電圧を監視する「Pure Power」、負荷に応じてクロックを調節する「Precision Boost」、要求されるデータを予測して演算性能を高める「Smart Prefetch」などで構成されている。

 ユニークなのが、マニアやコアユーザーなどに向けたオーバークロック機能の「EFR(Extended Frequency Range)」。「XFR」とも約される。

 空冷、水冷、“極冷”といった冷却システムの性能を感知して、クロックを向上させるもので、冷却性能が高い場合はブーストクロックを超えるクロックでの動作も可能としている(Ryzen 7 1800Xでは4GHz超、Ryzen 7 1700Xでは3.8GHz超)。マニア向けの機能ながら、完全に自動で制御され、ユーザーが操作する必要は無いという。

 当日は、新しい「AMD X370」チップセットなどを搭載したSocket AM4マザーボードも発売される見込み。Socket AM4プラットフォームでは、2チャンネルのDDR4メモリインターフェイスのほか、PCIe Gen3、USB 3.1 Gen2、NVMe、SATA Expressなどがサポートされる。なお、複数のショップによると、「マザーボードの初回入荷数はかなり少ないかもしれない」という。

 ちなみに、Socket AM4マザー単品での発売は初となるが、マザーを採用したPCはツクモとドスパラが発売済み。CPUはRyzenではなく、ExcavatorアーキテクチャのOEM向けAPUであるA12-9800が採用されている。

AMDが次世代CPU「Ryzen 7」ファミリを3月2日から発売

Ryzen 7ファミリ3モデルを発売

 AMDは、次世代CPU「Ryzen 7」シリーズを3月2日に発売する。同社は、米サンフランシスコで開催した発表会で、Ryzenの製品概要を明らかにした。最もハイパフォーマンスな「Ryzen 7 1800X」は8コア16スレッドで、ベース3.6GHz、ブースト4GHzで価格は米499ドル、日本は59,800円、TDP(Thermal Design Power:熱設計消費電力)は95W。IntelのCore i7 6900K(8コア16スレッド、3.2GHz/3.7GHz、140W)に対抗できる高性能のCPUを、半額程度で投入する。

Ryzenは、AMDの新しいCPUマイクロアーキテクチャ「ZEN」ベースのCPU製品ブランド。今回、AMDはCPUアーキテクチャを一新すると同時に、ブランディングも一新。Intelに対応した、分かりやすいシンプルなブランドへと変更した。IntelのCore i7には、Ryzen 7で対応する。

 ZENマイクロアーキテクチャの特徴は、CPUコアを改良ではなく、ゼロから新設計したこと。シングルスレッド性能の追求と、高い電力効率、さらに低電圧駆動の全てを鼎立させる設計を実現した。AMDを率いるLisa Su(リサ・スー)氏(President and Chief Executive Officer,AMD)は、Ryzenの開発には、4年の歳月と200万エンジニアリング時間をかけたと説明する。Intelの最近のCPUマイクロアーキテクチャのように、小幅な拡張を加えただけのコアではなく、ZENはまったく新規のコアであることを強調した。

ZENファミリで、最初に投入されるRyzen 7は、コードネーム「Summit Ridge」。GLOBALFOUNDRIESの14nm FinFET 3Dトランジスタプロセス「14LPP」で製造され、8個のCPUコアを搭載する。Ryzen 7ブランドのラインナップは以下の通り。

ブランド名 コア数/スレッド数 ベース周波数 ブースト周波数 TDP 価格
Ryzen 7 1800X 8コア/16スレッド 3.6GHz 4.0GHz 95W 499ドル 59,800円
Ryzen 7 1700X 8コア/16スレッド 3.4GHz 3.8GHz 95W 399ドル 46,800円
Ryzen 7 1700 8コア/16スレッド 3.0GHz 3.7GHz 65W 329ドル 38,800円

 

比較的コンパクトなRyzen 7のダイ

 また、AMDはRyzen 7のダイ写真も初めて公開した。ZENは、4個のCPUコアとL3キャッシュで1個のCPUコアコンプレックス(CCX)を構成する。Ryzen 7ダイは、ダイ中央に2個のCPUコアコンプレックスが配置され、上下にI/OとメモリIFが配置された構成となっている。熱発生源のCCXを、低電力の非コアで囲うことで熱分散を考慮した構成だ。

CCXのダイエリアは44平方mmであることが2月のISSCC(IEEE International Solid-State Circuits Conference)で発表されている。そのため、公開されたダイの概算のダイサイズは197平方mm程度であることが計算できる。ちなみに、32nmプロセスの8コア/8スレッドのBulldozer(ブルドーザ)は315平方mmだった。Ryzen 7が、CPUコア数のわりに、相対的にコンパクトなダイであることが分かる。これは、製造コストが低いことも意味している。

Ryzen 7(Summit Ridge)に続いて、AMDはサーバー向けの36コアCPU「Naples(ネイブルズ)」、モバイルをメインターゲットとしたAPU(Accelerated Processing Unit)「Ryzen Mobile(Raven Ridge:レイヴンリッジ)」を年内に投入する。AMDは、GPUアーキテクチャも今年の「Vega(ベガ)」で大きく改良する予定で、今年(2017年)はAMDにとってCPU、GPU、APUともに新製品を投入する画期的な年となる。

IntelのBroadwellからKaby Lakeまでと対抗できるパフォーマンス

 AMDを率いるLisa Su(リサ・スー)氏(President and Chief Executive Officer,AMD)は、「ZENの開発を始めた時に、IPC(Instruction-per-Clock:クロックあたりの命令実行数)を従来コア(Excavator:エキスカベータ)」より、40%も上げる野心的なゴールを設定した。しかし、実際には52%も高いIPCを達成することができた」とRyzenの設計の成功を強調した。Ryzenでは、シングルスレッド性能は、従来のAMD CPUコアよりも、クロックあたり52%もアップする。

これは、AMDの従来のBulldozer/Steamroller系マイクロアーキテクチャCPUが、シングルスレッド性能を落としてマルチスレッド性能にフォーカスした設計であったことが影響している。AMDは、ZENではマイクロアーキテクチャ思想を根本から変えて、Intelと同様にシングルスレッド性能を追求しながら、マルチスレッドと低電力性能も上げる方向へと切り替えた。そのため、従来は2実行パイプ+2ロード/ストアパイプの構成だった整数コアを、4実行パイプ+2ロード/ストアパイプに拡張し、スレッドの並列実行機能「SMT(Simultaneous Multithreading)」を実装した。結果として、ZENマイクロアーキテクチャは、Intelの最新のSkylake/Kaby Lakeに対抗できる性能のCPUコアになった。

Intelへの対抗に自信を持ったAMDは、Ryzen 7をIntel CPUと比較したベンチマークも公開した。Cinebench R15での比較では、Ryzen 7 1800XはCore i7 6900Kを9%上回る性能を発揮するという。同じCPUで、シングルスレッドの性能で比較すると、同等になるという。つまり、Ryzen 7はシングルスレッド性能でIntelのBroadwellと同レベルとなり、マルチスレッド性能では上回ることになる。価格は、Ryzen 7 1800XがCore i7-6900Kの半額以下につけている。

同様に、Ryzen 7 1700XはCinebench R15でCore i7-6900Kを4%上回り、Core i7-6800Kを39%上回る。価格は、性能で上回るCore i7-6800Kよりも安い399ドルで、性能/価格比で優れることをAMDは強調する。Ryzen 7 1700はターゲットとするCore i7 7700KよりCinebench R15で46%優れ、価格は下回る329ドルだ。つまり、今回AMDは、ベンチマークで同等かそれ以下のIntel CPUに対して、下回る価格で対抗するという戦略を取る。“お買い得”CPU戦略だ。

予約は2月22日から開始

 AMDは、Ryzen 7ファミリの予約を、2月22日から開始する。これまで、AMDのAPU製品では、OEM出荷が先行して、チャネルに流れるまでにタイムラグがあることも多かった。しかし、今回のRyzen 7では、チャネル重視でスタートする。22日より、ワールドワイドで185のリテーラなどでオーダー可能とするという。

マザーボードベンダーも一斉にボードを発売する。AMDによると、82以上のマザーボードの発売が予定されているという。発表会でも、ASUS、GIGABYTE、MSI、BIOSTAR、ASRockなどがマザーボードの展示を行っていた。PCビルダーからもRyzen 7ローンチ時に19システムが提供され、今後1カ月のうちに200システムが登場する見込みだという。また、大手OEMからも今年(2017年)前半中にゲーミングPCの投入が見込まれるという。

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