望遠ズーム、レンズキット付属品の中古が狙い目
カメラや撮影に精通した中上級者でない限り、デジタル一眼レフでもミラーレス一眼でも、まず「標準ズームレンズ」を入手して撮影を始めるのが一般的だ。標準ズームレンズは、広角域から中望遠域までの焦点距離をカバーするレンズで、スナップやちょっとした散歩などの普段使いで活躍する。多くのデジタル一眼カメラでは、カメラ本体と標準ズームレンズがセットになった「レンズキット」が売れている。
しかし、被写体や撮影シーンによっては「被写体が小さくしか撮れない。もっと大きく写したい」と思うことが少なくない。特に、運動会のようなスポーツイベントをはじめ、鉄道や航空機などの撮影は標準ズームでは物足りなく感じることが多々ある。
そこで今回は、“標準ズームの次の1本”として選ばれることの多い望遠ズームレンズを安く入手すべく、中古品の販売状況を選ぶ際のポイントを見ていきたい。中古カメラ専門店として知られるマップカメラの相浦瑞希氏に話を聞いた。
●望遠ズームレンズの中古品はキットモデルの付属品を狙え!
カメラの入門者が中古の望遠ズームレンズの購入を考える場合、もっともお薦めなのは「キットモデルに付属していたメーカー純正の望遠ズームレンズを選ぶこと」と相浦氏は即答する。手に入れやすい価格であることと、流通量が多く入手性に優れるからである。
「入門用のデジタル一眼カメラは、標準ズームレンズが付属する『レンズキット』に加え、望遠ズームレンズも付属する『ダブルズームキット』をラインアップするのが一般的。このダブルズームキットに付属していた望遠ズームレンズの中古品がお薦めなんです。もともと、デジタル一眼のキットモデルは新品でもリーズナブルな価格なのですが、レンズが中古品として市場に出るとさらにお買い得感が増すわけです」(相浦氏)
マップカメラに並んでいる中古品を見ると、キヤノンの現行モデル「EF-S55-250mm F4-5.6 IS STM」は1万7000円~1万8000円前後で購入でき、旧型の「EF-S55-250mm F4-5.6 IS II」は1万円前後とさらにお買い得だ。ニコンは、「AF-S DX NIKKOR 55-300mm F4.5-5.6G ED VR」が1万9000円~2万円前後、小型軽量の「AF-S DX NIKKOR 55-200mm F4-5.6G ED VR II」が1万3000円前後で入手できる(いずれも取材時の価格、以下同)。量販店で新品を単品で買うのと比べて半額近い価格のものもあり、価格的な魅力は大きい。
ちなみに、これら“元レンズキット”の望遠ズームレンズの中古品は、上のクラスの望遠ズームレンズを新たに買ったユーザーの下取り品であることがほとんどだという。相浦氏は「カメラの扱いに慣れた人は機材の扱いが丁寧ですから、中古品といっても基本的に程度が良好なものが多いですね。流通量は比較的多いのですが、とにかくコストパフォーマンスが高いので、入荷してもすぐに売れてしまうことが少なくありません。特に、運動会シーズンや連休などイベント時期の前は動きが早いので、余裕を持って購入するのがお薦めですね」と語る。
次の1本として望遠ズームレンズの購入を真剣に考えているのであれば、価格や状態に納得できる商品を見つけたら即買いしたほうがよさそうだ。もっとも、価格はとてもリーズナブルなので、購入はそう悩む必要はないだろう。
標準ズームレンズの次の1本としては、望遠ズームレンズ以外にどのようなレンズが選ばれているのだろうか。「やはり単焦点レンズが人気です。大口径の明るいタイプは中古でも高価ですが、手ごろな価格帯の単焦点レンズもあります」と相浦氏。
キヤノンでは「EF50mm F1.8 II」(中古品は7000円前後)、ニコンでは「AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G」(同2万2000円前後)、パナソニックでは「LUMIX G 25mm / F1.7」(同1万6000円前後)、オリンパスでは「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8」(同2万6000円前後)といったところだ。いずれも、焦点距離自体は標準ズームレンズと重複するが、開放値が明るいので大きなボケのある描写で撮れる。もちろん、単焦点レンズならではの写りのよさもあり、入門用の単焦点レンズとしては十分すぎる性能を誇る。
なかでも注目度の高い単焦点レンズは、キヤノンのEF50mm F1.8 IIだという。「小型化を図った後継モデル(EF50mm F1.8 STM)が出たことで中古相場が7000円前後で安定し、かなり買いやすくなりました。毎日といってよいほど、在庫の問い合わせの電話をいただきます」という。EOS Kissシリーズに装着すると35mm判換算で80mm相当になるので、ポートレートレンズとして使える。
撮りたい被写体によってはマクロレンズも候補に挙がる。「望遠ズームレンズや単焦点レンズに比べれば売り上げの比率は小さいですが、マクロレンズを2本目のレンズとするユーザーも少なからずいらっしゃいます」と相浦氏は語る。花や昆虫などを好んで撮影するネイチャーフォト派や、小物や料理などのテーブルフォトを楽しみたい人にとって、マクロレンズはぜひ手に入れたいレンズとなるだろう。
マクロレンズは、タムロンなどレンズメーカーの人気が高い。特に、タムロンでは定番となる90mmマクロレンズ「SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD(Model F017)」と「SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD(Model F004)」の人気が高いという。前者は、手ぶれ補正機構を強化した最新モデルなので、中古相場は5万8000円と高めだが、後者は4万円前後で入手できる。「評判を聞いた人の指名買いが少なくなく、動きはよいですね」(相浦氏)。
レンズキットの望遠ズームレンズや単焦点レンズの中古品は1万円を切るものも少なくなく、初めて買う単品レンズとして最適な存在だ。標準ズームレンズでは難しい撮影や表現が可能になり、撮影の幅が広がるだけでなく、撮影に対するモチベーションも高まるはず。ぜひ“次の1本”を入手して、カメラライフを楽しんでほしい。
大浦タケシ(おおうらたけし) プロカメラマン
宮崎県都城市生まれ。カメラ関連の媒体を中心に活動中。写真は撮るのも見るのも大好き。カメラは戦前のフィルムカメラから最新デジタルカメラまで興味は尽きない。「デジカメWatch」では毎回中古カメラ市を取材しているが、支払われるギャラよりも高いカメラやレンズをその都度買ってしまうのが悩みである。
