Windows 10はサポートポリシーも変わったことにお気付きでしょうか?

Windows 10はサポートポリシーも変わったことにお気付きでしょうか?

2017年1月、Windows 10初期リリース(バージョン1507)のサポートが「2017年3月末」に迫っているというニュースが伝えられました。IT系メディア各社が伝えたこのニュースの情報源は、全て以下のマイクロソフトの公式ブログの発表に違いありません。

 この発表は「Windows 10 バージョン1607」が2017年11月末に「Current Branch for Business(CBB:企業向け最適化モデル)」向けにリリースされ、2017年1月26日に「ボリュームライセンスセンター(VLSC)」で更新されたメディアが公開されたことを伝えるものでした。そして、この日から「60日」の猶予期間後に、Windows 10の初期リリース(バージョン1507)がCBBのサポート対象から外れることも伝えられました。

 Windows 10の最初のバージョンは、2015年7月末にリリースされました。このバージョンは「初期リリース」「ビルド10240」などと呼ばれていましたが、2015年11月の「Windows 10 November Update(バージョン1511、ビルド10586)」のリリース後からは、Windows 10 November Updateから採用された「バージョンYYMM(年月)」の表記に合わせて、「バージョン1507」と呼ばれるようにもなりました。

 2016年8月には「Windows 10 Anniversary Update」としてバージョン1607(ビルド14393)がリリースされました。そして、既にご存じのように、2017年春(時期の詳細は未発表)には「Windows 10 Creators Update」の「バージョン170X」(ウワサでは1703)のリリースが予定されています。このスケジュールは全て、Windows 10の「Current Branch(CB:最適化モデル)」に対するリリースのことです。

 「CBとCBBの違い」と「60日の猶予期間」は、常に最新のWindows 10を使っている個人ユーザーであれば気にする必要はありません。しかし、何らかの理由があって新しいバージョンにアップグレードできずにいる個人ユーザーは、Windows 10のサポートポリシーについて知っておくことが重要です。

 企業ユーザーは当然のことながら「サービスとしてのWindows(Windows as a Service:WaaS)」を理解して適切に制御しないと、Windows 10の仕様変更に振り回されて、ビジネスに影響してしまいます。既に、WaaSについては知っているという人も、あらためて確認した方がよいでしょう。

 WaaSについては、本連載でもWindows 10の最初のバージョンが出てすぐに、一通りまとめて解説しました。しかし、当時、Windows 10は1つのバージョンしかなかったので、よく分からない部分もありました。例えば、「Windows Update for Business」でCBBをさらに延期する機能は、Windows 10 バージョン1511で初めて提供されたものです。

 上記記事でも説明した次の4点については、今でも変わらず維持されています。

・CBは常に1つ:その時点でリリースされている最新バージョンが、原則としてCBの対象バージョン(ビルド)です。「原則として」と断った理由は、後で説明します。
・CBBはCB向けリリースのおおむね4カ月遅れでスタートする:CB向けに2015年11月にリリースされたバージョン1511は、2016年3月にCBB向けに提供が始まりました。CB向けに2016年8月にリリースされたバージョン1607は、2016年11月末にCBB向けに提供が始まりました。
・CBBはさらに延期できる:Windows Update for Business(グループポリシーの機能)やWindows Server Update Services(WSUS)、その他のパッチ管理ツールでCBBの配布をさらに延期できます。延期できる期間については、後で説明します。
・CBBは2バージョンをサポート:タイミングによっては3バージョン(2016年11月末から2017年1月にかけて)になることもありますが、2バージョンは常にサポートされ、「品質更新プログラム」が提供されます。

●各CBBは最低18カ月サポート、60日の猶予期間付き

 2016年年9月ごろに公開されたとみられる、WaaSに関する以下のドキュメントでは、上記のルールに加えて、重要な変更点が記されています。

 「重要な変更点」とは、あるビルドのサポートが完全に終了するまで、つまり、品質更新プログラムが提供されなくなるまで、60日の猶予期間があることと、CBBのビルドが最低18カ月間サポートされると明記されたことです。WaaSが発表された当初は、各ビルドのライフサイクルはCBが約4カ月、CBBが約8カ月とされていました。

・CBの60日の猶予期間:「WindowsのCBビルドは一度に1つだけがサポートされるため、最新ビルドがインストールされていないクライアントは、最新の機能更新プログラムがインストールされるまで品質更新プログラムを受信しません(60日の猶予期間の後)」(上記ドキュメントより抜粋)

・CBBの60日の猶予期間と最低18カ月サポート:「Microsoftは、一度に2つのCBBビルドをサポートし、60日の猶予期間もサポートします。各機能更新プログラムのリリースは、最低18カ月間サポートおよび更新されます」(上記ドキュメントより抜粋)

 ここでもう一度、「Windows 10 v1607 media now available」のブログ記事を見てほしいのですが、VLSC向けに新しいCBBビルドの更新済みメディアが提供された時点で、2つ前のCBBのサポートが終了し、60日間の猶予期間に入るらしいということです。バージョン1607の2つ前のCBBビルドが1507で、猶予期限が切れるのがメディア提供の2カ月後の2017年3月26日ということになります。

 なお、Windows Update for Businessで延期できる期間は、バージョン1511で「最大8カ月(1カ月単位)+さらに一時停止1カ月」、バージョン1607で「最大180日(1日単位)+さらに一時停止最大60日」となっていますが、これは機能のことであって、最低18カ月のサポートとは別の話になります。

●CBビルドもCBBと同じ期間、品質更新プログラムを受信できる(はず)

 さて、一部のIT系メディアでは、CBのバージョン1507は引き続きサポートされるという誤報が一時伝えられました。現在のCBはバージョン1607なので、完全な誤報です。

 ただし、CBとCBBは、CBBにリリースされた時点で同じバージョン(同じビルド番号.同じリビジョン番号)を実行しており、品質更新プログラムは共通です。CBは「原則として」、新しいCBビルドがリリースされると、60日の猶予期間後にサポートされなくなりますが、実際にはCBBと同じ品質更新プログラムを受信することができるはずです。Windows 10 HomeエディションはCBが唯一の選択肢ですが、機能更新プログラムをブロックすれば、その状況にできるでしょう。

 「原則」を崩す要素は他にもあります。Windows 10 バージョン1607からは、Windows Update for Business(Homeは対象外)において、CBBだけでなく、CBも機能更新プログラムの延期が可能になったことです(画面1)。

 詳しくは、以下のドキュメントの「Windows 10 バージョン1511とバージョン1607でのWindows Update for Businessの比較」を参照してください。ただし、バージョン1511の一時停止が「35日」になっているのは、「1カ月」の間違いだと思います。

・Windows Update for Businessを使った更新プログラムの管理[英語](Windows IT Center)

●バージョン1511は2017年内にサポート終了になる(見込み)

 Windows 10初期リリースのバージョン1507のCBBのライフサイクルの終了は、「2017年3月26日」ではありません。2017年1月26日に既に終了しています。今は、60日の猶予期間中です。2017年3月26日以降は、品質更新プログラムが提供されなくなる予定です。

 CB、CBBに関係なく、バージョン1507を使っているのであれば、早く対処しましょう。ハードウェアやソフトウェアが対応していない、アップグレードすると正常起動しないなど、理由があってバージョン1511または1607にアップグレードできないのであれば、PCの寿命と考えて、新しいPCにリプレースするか、あるいは(可能な場合)Windows 7やWindows 8.1にダウングレードして、これらのOSのサポートが終了するまで延命するのかを検討する必要があります。もう残された時間はほとんどありません。

 バージョン1507のCBBサポートは、偶然にも最低18カ月のサポートぴったりでした。Windows 10の最初のバージョンなので、バージョン1507はCBとCBBが同時にスタートしたという事情があるので、例外的なことかもしれません。

 そこで、この先1年のCBとCBBのスケジュールを図にしてみました(図1)。2017年春にバージョン170Xがリリース(図では便宜上2017年4月リリースにしています)されると、その4カ月後にはCBB向けのリリースがあり、バージョン1511の60日猶予期間が始まることになります。バージョン1511の寿命は、バージョン170XのCB向けリリースが大きく遅れない限り、2017年中には終了しそうです。

●メイン5年+延長5年の10年サポートの対象はLTSBのみ

 マイクロソフトの製品サポートといえば、メインストリームサポート5年+延長サポート5年の最低10年サポートというのがなじみ深いポリシーだと思います。しかし、Windows 10にはこのポリシーは提供されません。

 ボリュームライセンスで提供されるWindows 10の固定化バージョン「Long Term Servicing Branch(LTSB:固定化モデル)」には、引き続きこのポリシーが適用されますが、通常のWindows 10には「Microsoftモダンライフサイクルポリシー」が適用されるようです。この新しいポリシーは、“最新の状態を保っている”という条件付きで、サポートを無期限に提供するというものです。

 マイクロソフトのサポートサイトで製品のライフサイクルを検索してみても、Windows 10 バージョン1511や1607は出てきません。バージョン1507は新しいポリシーの発表前なので、一応リストには登録されていますが(製品名:Windows 10 , released in July 2015)、延長サポート終了日とされる2025年10月14日は、もはや意味のない日付です。繰り返しますが、バージョン1507のライフサイクルは、2017年1月に既に終了しました。現在は3月26日までの猶予期間中です。

🍎たったひとつの真実見抜く、見た目は大人、頭脳は子供、その名は名馬鹿ヒカル!🍏