カメラマンが試用して選んだ2016年ベストデジカメ、第1位OM-D E-M1 Mark II

カメラマンが試用して選んだ2016年ベストデジカメ

016年は、デジタル一眼や高級コンパクトなど高性能モデルを中心に魅力的なデジカメが多数お目見えし、写真ファンに高く評価された。そこで、各社の新製品を試用&購入する機会の多いカメラマンに、高い評価を与えたベストデジカメ3台を厳選してもらった。2016年に発売したデジカメ、もしくは2016年にカメラマンが購入したデジカメを対象とした。今回は、落合憲弘カメラマンと吉村 永カメラマンの2名のチョイスを紹介しよう。

●【落合カメラマン:第1位】オリンパス「OM-D E-M1 Mark II」

 これは、ミラーレス機が抱えていた“弱点”を見事、克服したことに対する評価であり、賞賛であり、購買意欲の盛り上がりなのです。正直、ここまで良くなっているとは思わなかった。「期待したほどじゃなかったな……」よりも「思っていたよりよかった~♥」のほうが、いろんな意味で刺激は強いということをあらためて思い知らされたワケで、ナニはトモアレ「うわ、これ欲しいぞっ!」と直感したものをここで1位に推さないわけにはいかないのです!

 何に驚いたって、動体に対するAFの仕上がりがイチバン。掛け値ナシに「ほぼ一眼レフなみ」になったといっていい。「ほぼ」なのは、例えばニコンD500なんかと比べちゃうと、こと動体に対するピントの精度に関してはまだ半歩ほど譲るものがあると感じているからなのだけど、並みの一眼レフが相手なら、連写性能を含め、スコンと軽くノックアウトすることも不可能ではないレベルの動体対応能力を有しているのは確か。しかもファインダーは、連写時の視認性(ファインダーで捉えている動体の視認性)に関し、光線状態によってはD500以上の見やすさを感じることもあるハイレベルなEVFだ。総合力では、一眼レフと完全に肩を並べた(あるいは越えた)と判断しても差し支えない印象なのである。

 ホールディング性を増したグリップ形状や、微に入り細を穿つかのような操作系の見直しにも、E-M1後継機としてのあるべき姿を追求してきた開発陣のクソマジメ(もちろんよい意味です)な姿勢がうかがえる。とりわけ、背面のレバーに電源スイッチ機能を割り振れるところは「片手操作」の完結には欠かせない“進化”だ。まぁ、私個人としては、初代E-M1のときから同レバーには「S-AFとC-AFの切り換え」を割り当てているので、「電源を入れるときは両手操作」の呪縛から逃れることはできそうにないのだけど。

 E-M1 Mark IIの登場によって、一眼レフvsミラーレス機の勢力図は、その塗り分けラインをこれまで以上に大きく動かしたような気がする。いまは、絶対性能の高さより伸びしろの大きさが魅力的に見える時代なのかも? そんなことも思わせるE-M1 Mark IIなのである。

【落合カメラマン:第2位】ソニー「Cyber-shot DSC-RX10M3」

 これは、個人的事情が大いに絡んでの選出。昨年1位に推した先代RX10M2に対する気持ち(当時)は、昨年の記事を読んでもらえば一目瞭然なのだけど、そんな惚れに惚れまくっていたRX10M2を買って半年かそこいらでRX10M3が出てきたもんだから、まずは怒り心頭に発したワケですわ。でも、いざ使ってみたら、あんなに好きだったRX10IIM2はさておき3型に一目惚れ。図らずも私は、2016年の隠れ流行語大賞ともいえそうな「ゲス」な男に成り下がってしまったのでした~。

 だから2位。好きになっちまったもんはしょうがない。今の時代に何とはなしに物足りなさを感じていた、RX10、RX10M2のテレ端画角(35mm判換算200mm相当)が、RX10M2の高速性はそのままに600mm相当まで伸びているとあっては、クラクラッときちゃうのも道理である。だって、撮れるものがぜんぜん違うんだもん。

 しかも、600mmの開放F値F4って、そうそう簡単に得られるスペックじゃない。それが万能性に長ける1型センサー搭載レンズ一体型コンデジ(というには大柄なボディーだが)で掌中に収められることの魅力といったらアナタ、マジでハンパじゃないんスよ。

 というワケで、私の家では現在、初代RX10とRX10M2とRX10M3が仲良く同居しています。一体どうしてくれるんですかいソニーさんよぉ。しかも、最近なんだか、またしてもキナ臭くなってきてません? RX100M5のセンサーおよび処理系をそのまま搭載した「RX10M4」がもうそこまで来てるような気がしてならないんですけどっっ!? すでにモノはできてますよね? 発表のタイミングを計っているだけですよね??(←若干被害妄想気味)

 今度は、RX10M2のボディー(テレ端200mm相当)とRX10M3のボディー(テレ端600mm相当)にそれぞれRX100M5のセンサー&処理系を搭載した「RX10M4」「RX10M5」の二本立てでくるのかな? それとも、まず最初にRX10M4を出して、その8カ月後にRX10M5かな~? ホントにもう、そういうのヤメてもらえません? これ以上ワタシをゲスな男にさせないでくださいませぇ~。

【落合カメラマン:第3位】ソニー「α6500」

 α6000を所有する私は、しかしα6300の購入を見送っていた。使ってみた結果、あくまでも個人的には、動体に対するAFの対応能力に、大局においてα6000とそれほどの違いはないと判断することになったからだ。同時に、初期ファームウエアの熱に対するマネジメントの悪さが印象面で足を引っ張ってもいたということもある。この辺については、過去の連載記事「ソニー『α6300』に待ったをかけた想定外のアイツ」でも触れていたのだけど、今となってはそのときの決断というか直感というか、危険予知というかサバイバル能力というか、とにかく「α6300、やっぱり買わなくてよかった~」というのが正直なトコロだったりする。

 その理由は…あえて述べるまでもありませんね。RX10M2→RX10M3のとき、私は心に深い傷を負うとともに何かを学んでいたのかもしれません。だからこそ、ここでは痛い目を見ずに済んだ。我が家は「RX10三兄弟そろい踏み」だけで、もう十分ですから~。それに加えα6000とα6300とα6500がそろった日にゃ、ソニーストアでも開店しろってかい(笑)。

 でも、私はα6500がモーレツに欲しくなってます。ナゼって、いままでと違うから。5軸手ブレ補正がーとか、そういう話じゃない。いや、それももちろん大きな魅力ではあるけれど、もっとインパクトのある進化がα6500にはあったのだ。

 それは、動体に対する「AFの精度」。向上しているんですよ。明らかに。α6300よりも。これは事件ですぞ。「動体にしっかり追従しているAFも、あともう少しだけ精度面での追い込みがあればさらに……」という、α6000のころから抱き続けα6300でも捨てきれなかった思いと、ここにきてやっとオサラバできるようになったのだ。いままでよりバチピンで撮れる=画質そのものがワンランク向上しているようにすら感じることもあるのだから、こりゃたまらん“進化”なのであります。

 α6300からα6500に至る流れは、ソニーにとっては単にラインアップを整えるための作業に過ぎなかったのかもしれない。でも、αユーザーにはいらぬ混乱を与えてしまった。だってここに「引っかからなくてよかった~」なんて失礼な思いを抱いているユーザーがいるんですから。でも、モノはイイ。コイツなら躊躇なく買える!

落合憲弘(おちあいのりひろ) プロカメラマン

街中スナップ大好きのしがない写真撮り&物書き。生まれながらの天の邪鬼。もともと機材関係には興味がなく、そもそもカメラにもこだわりはなかったハズなのだが、デジカメ時代に突入してからは「より自分にピッタリの一台を追い求める」という都合の良いイイワケのもと、年間5~10台のデジカメを購入するハメに陥りつつ、青息吐息で現在に至る。だが、カメラ好きではなく写真好きを自認。加えて、クルマにもチトうるさいと自分では思っている。カメラグランプリ2016選考委員。

【吉村カメラマン:第1位】富士フイルム「FUJIFILM X-T2」

 2016年の1位に挙げた富士フイルムの「FUJIFILM X-T2」は、同社のミラーレス一眼「Xシリーズ」の第2世代フラッグシップモデル。同社には、いわゆるライカ型のボディーに光学&電子のハイブリッドファインダーを装備したスナップ撮影向きの「FUJIFILM X-Pro2」もあるが、同等の画質で機動性と万能性を高めた一眼レフスタイルのボディーを持つのがX-T2だ。

 クラシカルなデザインのボディーに刻印式のダイヤルを多用した操作性は、旧モデル「FUJIFILM X-T1」からの共通点だ。けれども、自分は個人的に、1/3段単位で細かく露出を設定し、素早く撮影していくスタイルにこの操作性は不向きだと感じていた。例えば、ファインダーに目をつけたままでは刻印式のダイヤルは回しにくいし、シャッター速度をダイヤルだけで1/3刻みで設定することは事実上、不可能だったからだ。

 ところが、第2世代に進化したX-T2は、見た目こそほぼ従来のままながら、フリー回転の電子ダイヤルでのシャッター速度調整や露出補正が可能になり、ぐっとスピーディーな設定が可能になったのだ。

 抜けの良い描写で好感を持っていた画質も、発色の良さや高感度時のシャープさを維持したまま画素数が2430万画素へとアップし、解像感がアップ。オートフォーカスの信頼性や全体的なレスポンスの向上もあり、とても使いやすいカメラに仕上がっていると感じられた。レンズのラインアップもかなり魅力的だと感じる。

 このカメラの画質や思想を突き詰めた上級システムとして、2017年春には中判カメラシステム「GFX」も登場する。2016年秋のフォトキナショーで試作機に触れてから、実機がリリースされるのを楽しみにしている。

【吉村カメラマン:第2位】オリンパス「OM-D E-M1 Mark II」

 早くからレンズ交換式カメラのラインアップをミラーレス一眼に集中してきたオリンパス。小型軽量を信条とするPENシリーズではなく、カメラとしての使い勝手を追求したOM-Dシリーズのフラッグシップモデルがこの「OM-D E-M1 Mark II」だ。

 スピードとパワーに注力したこのモデルの特徴は、連写の速度を挙げると分かりやすい。動く被写体を追い続けるAE/AF追従連写では、秒間最大18コマを可能にした。デジタル一眼レフで最速のキヤノン「EOS-1D X Mark II」の秒間14コマを軽く超えるわけだが、OM-D E-M1 Mark IIでは電子シャッターによりこの速度を実現している(動体ゆがみが少なくなるメカニカルシャッターを使っての連写は秒間10コマ)。だが、電子シャッター連写のポテンシャルは高く、AE/AF固定という条件であれば秒間60コマの撮影も可能。2000万画素クラスのフル画質で、テレビの表示フレームと同等速度の高速連写ができるわけだ。

 秒間18コマ撮影の連写性能が注目のモデルだが、スポーツなどを確実に追い続けるというよりは、普段の撮影にストレスを覚えなくなったのがいちばんのメリットと感じる。ブラケット撮影もテンポよくできるので、露出に神経質にならずに撮影できるシーンが増え、新しい使い方ができるなと感じられた。

 ほかにも、4K動画が撮影できるようになり、タッチパネルの操作性がこなれたなどの改良点はあるのだが、この機種で大いに感心したのが手ぶれ補正だ。これまでのボディー内補正方式の5軸手ぶれ補正はもともと強力だったのだが、手ぶれ補正機構内蔵レンズとの組み合わせによる「5軸シンクロ手ぶれ補正」では、世界最強といえる約6.5段分の補正が可能になった。

 この補正は本当に強力で、24mm相当の画角での撮影であれば2~3秒のスローシャッターであっても、ピクセル単位まで拡大をしてもブレが目立たない撮影ができるのには驚かされた。つまり、三脚を使わずに夜景が手持ちで撮影できるのだ。三脚が使えない場所での撮影で役立つことはもちろんだが、揺れる陸橋の上など三脚を立てても地面が揺れてしまうようなシーンでも有用となる。「このカメラでしか撮影できないシーンがある!」というのは、カメラを手にするものからすれば、気持ちを高揚させてくれる大きなポイントだといえるのではないだろうか。

【吉村カメラマン:第3位】キヤノン「EOS-1D X Mark II」

 キヤノンが春に発売した「EOS-1D X Mark II」は、夏期オリンピックの開催年ごとにモデルチェンジを繰り返すキヤノンの最新フラッグシップモデルだ。

 メカニカルシャッターを働かせた光学ファインダー撮影時、AE/AFを追従させての高速連写が秒間14コマに高まった。正直、先代モデル「EOS-1D X」の秒間12コマが、35mm一眼レフの行き着く最終スペックだと思っていただけに、このコマ速アップには正直なところ驚かされた。これだけの速度で可動式ミラーとサブミラー、シャッター幕が往復することまでは理解できるが、1回の運動ごとにミラーが揺れたりバタついたりすることなく完全に静止させ、止まっている間に被写体との距離を計測してフォーカスを追い続けているのだ。1/1000秒単位での動きが1/1000mm単位の精度で実現され、磨耗やずれなどを考慮しても40万回のテストに耐えているということに驚かされる。大量生産の市販製品でこれが実現できているのは、もはや現代の奇跡といえるのではないだろうか。

 さらにこのモデルでは、従来のキヤノン製デジタル一眼レフが苦手としていた「低感度時のノイズ」が激減していることに注目できる。これまで、EOS DIGITALシリーズは高感度時の画質の美しさが高く評価されていた反面、ISO100といった低感度での撮影時、暗部にむら状のカラーノイズが現れやすいという弱点を抱えていた。それがこのモデルではすっきりと影を潜め、RAWファイルの現像時などにも暗部のディテールを引き出すことが容易になった。自分としては、特にスタジオ撮影時などでの髪の毛や、衣装の影になった暗部がよりクリアに再現できるようになったことに満足している。

 一眼レフカメラがこれほどのスピードと信頼性、使いやすさ、AF性能を実現しているのは、ここ数十年で日本のカメラメーカーが積み重ねてきたノウハウの結晶といえる。数年後には、ミラーレスがこういった高速性能などを進化させる可能性が高い。ライカのレンジファインダーカメラが、一眼レフに比べて合理性を欠いていながらも一部写真ファンの強い支持を受け続けているように、一眼レフも長く愛され続けることと思う。そのなかで、このカメラは一眼レフカメラのひとつの到達点として長く記憶されるカメラになるだろうと感じている。

吉村 永(よしむらえい) カメラマン

カメラマン、ビデオカメラマン。小学5年生から写真部、高校で自主制作映画製作に目覚めてテレビ制作会社、カメラ雑誌の編集を経てフリーに。現在、年間80台以上の新型カメラ製品の評価や記事執筆、芸能誌、新聞などでの人物写真撮影、音楽PVなどのビデオ撮影を行なっている。

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