鳥取県中部で起きた最大震度6弱、M6.6地震、「鹿野―吉岡断層」と「岩坪断層」

鳥取地震、北栄町で住宅2戸が倒壊 転倒した女性が骨折

21日午後2時7分ごろに発生した鳥取県を震源とする地震で、最大震度6弱を観測した同県では、北栄町で住宅2戸が倒壊したほか、各地で屋根瓦や壁が崩落するなど、広い範囲で被害が出ている。消防庁の午後5時半時点の発表では、岡山市で70代の女性が転倒して足の骨を折る重傷を負ったほか、鳥取市や鳥取県倉吉市などで計6人が軽いけがをしたという。

 中国電力によると、地震の影響で鳥取、岡山両県で延べ約7万7100戸が停電したが、午後5時40分現在ですべて復旧した。島根原発1、2号機(松江市)は運転停止中で、建設中の3号機も含め地震による影響はないという。

 高速道路では、中国自動車道(落合インター―新見インター間)と岡山自動車道(有漢インター―北房ジャンクション間)が地震直後から通行止めになっていたが、ネクスコ西日本は午後5時に規制を解除。鳥取や岡山県内などで実施していた速度制限も含め、地震の影響による規制は全て解除された。

 東海道・山陽新幹線も一時運転を見合わせたが、午後2時27分ごろから再開した。JR西日本によると、一部の在来線でも一時運転を見合わせていたが、大半の路線は夕方にまで再開。山陰線(倉吉―由良間)のみ終日運転を取りやめ、22日の始発から再開する見通し。

 また、大阪航空局によると、閉鎖していた鳥取空港(鳥取市)は午後4時半、閉鎖を解除した。

震源東方に二つの活断層=政府調査委、22日に臨時会合

鳥取県中部で起きた最大震度6弱、マグニチュード(M)6.6の地震について、気象庁の青木元・地震津波監視課長は21日の記者会見で、震源付近では、はっきりとした活断層はこれまで知られていないと説明した。しかし同県東部の比較的近い所には「鹿野―吉岡断層」と「岩坪断層」があり、政府の地震調査委員会は22日に臨時会合を開き、今回の地震との関係を検討する。

 地震調査委は今年7月、中国地方の活断層評価結果を公表。北部と東部、西部の3地域に分けた場合、鳥取県を含む北部ではM6.8以上の地震が今後30年以内に発生する確率が高く、40%としていた。2000年10月には鳥取県西部地震(M7.3、最大震度6強)が起きている。

 鹿野―吉岡断層は今回の震源の東側に位置し、鳥取市内で東西方向に延びている。長さは約26キロで、全体が活動した場合の地震の規模はM7.2程度とされる。1943年9月には鳥取地震(M7.2)が起き、死者は1000人を超えた。

 一方、この断層の南側で平行に位置する岩坪断層は長さ約10キロで、活動した場合はM6.8程度とされる。

 二つの活断層はいずれも、活動する場合は北側が東へ、南側が西へずれる「横ずれ型」とみられている。気象庁によると、21日夕方の時点では今回の震源断層の方向を特定できていないが、横にずれたと推定される。余震が続いて解析を重ねると、震源断層の方向が分かる可能性があるという。

 地震調査委は中国地方の活断層評価を公表した際、北部では地表から分かる活断層が少ないが、過去には鳥取県西部地震のような比較的大きな地震が多く起きており、これまで知られていない活断層が分布する可能性を指摘していた。

<鳥取・地震>20人が重軽傷 3000人が避難か

21日午後2時7分ごろ、鳥取県を中心に強い地震が発生し、同県倉吉市と湯梨浜(ゆりはま)町、北栄町で震度6弱を観測した。鳥取市や岡山県鏡野町などで震度5強、近畿や四国地方でも震度4を観測し、広い範囲で強い揺れに見舞われた。気象庁によると、震源は鳥取県中部で、震源の深さは11キロ。地震の規模を示すマグニチュード(M)は6.6と推測される。鳥取県三朝(みささ)町では86歳男性が行方不明になった。鳥取県のまとめでは、県内で16人が重軽傷。岡山、兵庫、大阪の3府県と合わせると、重軽傷者は約20人にのぼる。

北栄町によると、町内で住宅2棟を含む計7棟の建物が全壊し、約10棟が半壊した。倉吉市や湯梨浜町でも建物の損壊を確認。鳥取県各地に避難所が設置され、約3000人が避難しているとみられる。境港市では小学3年生の男児が避難途中に転倒して、右手の指を亀裂骨折し重傷。

 同県は倉吉市、湯梨浜町、北栄町に災害救助法適用を決めた。倉吉市では市役所庁舎が損壊したため職員らが屋外へ避難。市内の同県中部総合事務所に市の災害対策本部を置いた。三朝町で行方不明の男性は、「竹を切りに行く」と言って地震前に家を出たまま帰宅していないという。同県伯耆(ほうき)町によると、町内の県道で土砂崩れが発生したが、車などは巻き込まれていないとみられる。

 岡山市東区では地震が起きた際、机の下に潜り込もうとした女性(74)が転倒して右脚を骨折、兵庫県加古川市の女性(78)が転倒してかかとを骨折するなど、いずれも重傷だった。

 警察庁は21日午後、警備局長をトップとする災害警備本部を設置。鳥取県倉吉市に岡山県警や島根県警による広域緊急援助隊を派遣した。

 気象庁によると、震源の近くに明瞭な活断層は確認されていない。内陸で起きたため、津波はなかった。この地震後、鳥取県中部では22日午前0時までに震度1以上の地震を103回観測し、うち6回は震度4を観測した。

 鳥取県では1943年に最大震度6を観測した「鳥取地震」(M7.2)、2000年に震度6強を観測し1府8県で計182人の重軽傷者が出た「鳥取県西部地震」(M7.3)などが起きている。鳥取地震の約半年前にはM6.2の地震が2日続いて発生したことがあった。こうした経緯を踏まえ、同庁地震津波監視課の青木元課長は記者会見で「揺れの強かった地域では同規模の地震が続く可能性もある。建物が倒壊しやすくなっている危険性があり、十分注意してほしい」としている。

地震後の規制速度オーバーして走行…新幹線3本

JR西日本は21日、鳥取県中部を震源とする地震発生後、東広島―広島駅間で3本の新幹線を規制速度(時速30キロ)を超えて走行させていたと発表した。

 同社によると、山陽新幹線は停電で全線が20分間運行を見合わせた。その後、運行を再開する際、新広島地震計(広島市)が工事中で使用を停止しており、内規では気象庁発表の震度を基に同区間の走行を30キロ以下とすべきだったが、博多発東京行きなど3本に速度規制を指示していなかった。最大245キロ超過で走行したという。異常はなかったとしている。

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長周期地震動、近畿・四国・長野でも観測 鳥取地震

21日午後に最大震度6弱の地震が起きた今回の地震では、高層ビルなどをゆっくりと長時間揺らす長周期地震動が広い範囲で発生した。高い建物ほど長周期の揺れと共振しやすく、高層階ほど大きく揺れる傾向がある。

 大阪市では地震直後、高さ300メートルあるあべのハルカス、大阪府咲洲庁舎、梅田スカイビルなどの高層ビルで相次いでエレベーターが停止した。安全装置が働き、近くの階で停止するなどしたため、閉じ込められた人はいなかったという。

 長周期地震動の大きさは階級1(室内にいたほとんどの人が揺れを感じる)~階級4(はわないと動くことができない)の4段階ある。気象庁によると、兵庫県北部、鳥取県西部のほか、震源から150キロ近く離れた大阪府南部と徳島県北部で階級2を観測。長野県中部、愛知県西部、高知県東部など8地域で階級1を観測した。

 福和伸夫・名古屋大学減災連携研究センター長(地震工学)によると、軟らかい堆積(たいせき)層に厚く覆われている平野や盆地では揺れが増幅され、長周期地震動が起きやすい。大阪や徳島もこうした地盤で、2000年の鳥取県西部地震(M7・3)でも長周期地震動を観測していた。

 この揺れが注目されるようになったのは03年の十勝沖地震以降。この時は震源から約250キロ離れた石油タンクが大きく揺れ、火災が起きた。近年はビルの高層化が進んで影響を受けやすくなっている。福和さんは「長周期地震動は、震源から離れていても揺れが続く。この地震を契機に、高層ビルの免震対策をさらに進める必要がある」と話す。

企業にも影響、一時生産中止の工場も 鳥取で震度6弱

鳥取県で震度6弱を観測した地震は、企業の活動にも影響を与えた。揺れが激しかったところでは、工場の生産を止めたところもある。大手メーカーや小売業者などは従業員の安否確認や、設備や店舗の点検に追われた。停電で一部の金融機関で現金自動出入機(ATM)が使えなくなった。

 中小型液晶パネルをつくるジャパンディスプレイの鳥取工場(鳥取市)は、地震発生直後に稼働を止めた。主に車用の液晶パネルをつくっていて、約700人が働く。設備に異常がなければ、再稼働する。生産途中のパネルは、一部を廃棄しなければならない恐れがあるという。

 液晶パネルをつくるシャープの子会社「シャープ米子」の工場(鳥取県米子市、約270人)も安全確認のために一時、生産を止めた。復旧に向けて準備を進めている。

 オムロンは電子部品の製造を手がける子会社「オムロンスイッチアンドデバイス」の生産拠点が、震源に近い鳥取県倉吉市にある。自動車や産業機器向けのスイッチなどをつくっている。約500人の従業員の安全は確認した。操業を止めて、建物や設備の被害を調べている。オムロンは京都市の本社に緊急対策本部をつくり、情報収集を急いでいる。

 サントリー食品インターナショナルは、ミネラルウォーターの「奥大山の天然水」を生産する奥大山ブナの森工場(鳥取県江府町)が止まった。設備に大きな被害はないが22~24日の3日間は操業を停止し、約90人の従業員は23日まで自宅待機とする。再開は25日の見通しだ。

 サントリーは4月の熊本地震で九州熊本工場(熊本県嘉島町)が被災し、「阿蘇の天然水」の出荷はいまも止まったままだ。在庫があるため「ミネラルウォーターの出荷への影響は限定的だ」とみている。

 余震が続き交通機関も乱れたことで、生産を早めに終えた工場もある。文房具大手コクヨの鳥取市にあるグループ工場は、午後4時ごろまでに約240人の従業員全員に帰宅を指示した。スポーツ用品大手アシックスの靴を製造する鳥取県境港市の工場でも、終業時間を切り上げて従業員275人を帰宅させた。どちらの工場も週明けの操業は、余震などの状況をみて決める。

 金融機関では鳥取銀行や山陰合同銀行の倉吉市内の店舗で、停電のため一時、ATMが使えなくなった。

 小売り関連では、JR鳥取駅前にある百貨店の鳥取大丸やイオン系列のスーパーで、エレベーターやエスカレーターが停止した。

 大阪府の一部でも震度4を観測するなど、西日本の広い地域で揺れを感じた。関西電力によると発電所や配電設備を調べたところ、いまのところ問題はないという。

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