<格安スマホ>SIMフリー新製品 高級化の波

<格安スマホ>SIMフリー新製品 高級化の波

格安スマホと呼ばれるMVNOで使うことを前提にしたSIMフリースマホの新製品が、続々と登場し、高級化している。ケータイジャーナリストの石野純也さんが、秋冬商戦に投入されるハイエンドモデルを紹介する。

 この分野の製品は2万円から3万円程度の価格が売れ筋で、機能的にも中程度のものが多かった。大手通信事業者の販売する端末のように割引がつかず、割賦が組めない販路もあるためで、値ごろ感のある製品がヒットしている市場となっている。

 ただ、今年の秋冬商戦は、その様相が変わってくるかもしれない。SIMフリースマホ各社が、高価格帯のハイエンドモデルを多数投入するからだ。メーカーとしても、高機能モデルは商品の特徴を出しやすく、他社と差別化できる。高い商品ほど収益への貢献も大きくなる。消費者が実際に買うかどうかは未知数だが、新たな取り組みとして注目が集まる。

 ◇2眼カメラ搭載のファーウェイ

 SIMフリースマホ市場でトップ3に入り、調査結果によってはシェア1位となる中国・ファーウェイは、楽天モバイルとタッグを組み、2眼カメラを搭載した「オーナー8」を発売した。

 オーナー8は二つのカメラを背面に備え、あとからピントを合わせられるのが特徴。アップルもiPhone7 Plusでカメラを二つにしたが、ファーウェイは昨年発売されたオーナー8の前身にあたる「オーナー6プラス」で、すでに同様の技術を実現していた。カメラに加え、オーナー8はデザインにもこだわり、高級感のある見た目に仕上がっている。

 価格は税抜きで4万2800円。楽天モバイルを契約するとキャンペーンで3万5800円になり、これまでのSIMフリースマホの売れ筋より高めだ。

 ただ、楽天モバイルのチーフプロダクトオフィサー、黒住吉郎氏が「話題のスマホ(iPhone7)のちょうど半額」と語るように、性能比で見たときの安さは他メーカーに対する優位性になる。性能と安さを兼ね備えた機種として、秋冬商戦の注目モデルになりそうだ。

 ◇iPhoneに迫る価格帯、ゼンフォン

 ファーウェイとSIMフリースマホ市場で競う台湾・エイスースも、「ゼンフォン」の新機種「ゼンフォン3」と「ゼンフォン3デラックス」を発表した。

 これまでのゼンフォンはボディーがプラスチックで、チープさもあったが、ゼンフォン3、ゼンフォン3デラックスではそれを一新。ゼンフォン3はガラスを、ゼンフォン3デラックスでは金属を使い、高級感を出す路線にかじを切った。

 同社はこの2モデルを「性能怪獣」というキャッチコピーでアピール。最上位モデルのゼンフォン3デラックスは、中央演算処理装置(CPU)に「スナップドラゴン821」を搭載し、記憶領域も256ギガバイト(GB)と大容量化した。

 スナップドラゴン821は、大手通信事業者の高機能モデルに搭載されているCPUよりも性能が一段高く、精細なコンテンツもスムーズに動作する。記憶領域が多いことで、写真や動画などのコンテンツも大量に保存できる。

 一方で、価格は税別で8万9800円と、高級機種のiPhoneに迫る設定になった。もっとも安いゼンフォンでも3万9800円。低価格路線が受けていたエイスースだが、秋冬モデルはパフォーマンスの高さや、質感の高さで勝負に出た。

 ◇オプション機器取り付けが可能なモトローラ

 夏にSIMフリースマホ市場への本格参入を宣言したレノボ傘下のモトローラも、高級モデルを発売する。新機種は「モトZ」「モトZプレイ」の2機種で、どちらも背面に機能を拡張できる「モトモッズ」と呼ばれるオプション機器を取り付けられるのが特徴となる。

 モトモッズには、老舗カメラメーカーのハッセルブラッドとコラボしたものや、音響メーカーのJBLが手掛けたスピーカーなどを用意。利用シーンに合わせ、スマホの機能を簡単に拡張できることを売りにしている。

 モトZは高機能モデルで、薄型なのが特徴。対するモトZプレイは、CPUなどの性能をモトZより抑えつつ、バッテリーを3510mAhと大容量にして長時間駆動を実現した。モトモッズは共通仕様で、どちらの機種にも取り付けることができる。

 モトZは税抜きで8万5800円、モトZプレイは5万3800円と、やはり価格は一般的なSIMフリースマホより高額になる。

 各社が高機能モデルを投入できるのは、MVNOの普及に伴い、SIMフリースマホのすそ野が広がってきたことが背景にある。一方で、この価格帯がどこまで受け入れられるのかは未知数な部分もあり、各社とも手探りで製品を投入している様子がうかがえる。

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