築地市場移転「やっと声が届いた」「なぜ、いまさら」 市場関係者に歓喜と戸惑い

【築地市場移転】「やっと声が届いた」「なぜ、いまさら」 市場関係者に歓喜と戸惑い

東京都の小池百合子知事が豊洲市場(江東区)への移転延期を決断したことが判明した30日、築地市場(中央区)の水産業者などには歓喜と戸惑いの声が広がった。移転に懸念を示してきた関係者は「やっと声が届いた」と評価する一方、1年以上前から移転準備を進めてきた業者は「なぜ、いまさら…」と懸念を示した。

 現状のままでの移転に反対する“慎重派”の水産仲卸業、植田真臣(まさおみ)さんは「(知事に)声がやっと届いた」と頬を緩める。自宅にいた植田さんに同業者から連絡があり、移転延期の知らせを聞いた。

 植田さんは、移転先である豊洲の施設の使い勝手などに改善すべき点があるなどと主張。「小池知事の正式発表を心待ちにしたい」と語った。

 移転そのものに反対するまぐろ仲卸業の和知(わち)幹夫さんは「ひとまず安堵(あんど)の気持ち」と胸をなで下ろした。

 和知さんは豊洲へ移転する上で「引っ越し代だけで1000万円ぐらいかかる」など業者の負担が大きいことを指摘。小池氏に対しては、「現場で働く人の声にもっと耳を傾けてもらいたい」と述べた。

 一方、予定通りの移転を望んでいた移転賛成派で、築地東京青果物商業協同組合の泉未紀夫(みきお)理事長は「1年以上かけて準備を進めてきたのに…。心身ともにダメージが大きい」とため息をついた。

 泉氏によると、水産業者の中には、11月の開場に向け、豊洲市場で使う店舗の内装工事を既に完了。巨大な冷蔵庫の稼働を開始しているケースも多い。「開場時に冷蔵庫を冷えた状態にするには、移転の70日前に電源を入れなければならない。多額の電気代など、維持費は誰が負担するのか」と指摘。「目に見えない被害が非常に大きい」と声を落とした。移転賛成派で築地市場協会の伊藤裕康会長は「正式に小池知事がどうするか明言していないので、コメントは控えたい」と述べた。

 一方、小池氏は30日夕、築地移転に反対しながら「野党共闘」のため、知事選への出馬を断念した元日弁連会長の宇都宮健児氏と対談。「移転をいったん停止し、関係者への聞き取り調査を実施すべきだ」と要望した宇都宮氏に対し、小池氏は「私はずっと『立ち止まる』という言葉を使ってきた。今、精査している」と応じ、「一番いい方法は何なのか、明確な態度を示させていただく」と述べた。

 築地市場は都内に11ある東京都中央卸売市場の中で最も古い歴史を持ち、水産物、青果物を取り扱う総合市場。供給圏は都内だけでなく関東近県に及び、特に水産物は1日当たり約1627トン(平成27年)と世界最大級の取り扱い規模を誇る。「日本の台所」と称され、観光スポットとして外国人の人気も高い。

 昭和10年に開場。施設の老朽化や過密化が問題視されるようになり、61年に都が現地での施設再整備を決定したが、財政難などを理由に頓挫。平成11年、都と市場団体が作る築地市場再整備推進協議会で「現在地再整備は困難であり、移転整備へと方向転換すべきだ」と結論を出し、13年に東京ガスの工場跡地だった江東区の豊洲地区への移転が決定した。敷地面積は約23ヘクタールから、約1・7倍の約41ヘクタールに拡大する。

 しかし、敷地の土壌から高濃度のベンゼンなどの有害物質が検出され、地下水の汚染も確認されたため、都は汚染物質の除去など対策を実施して豊洲市場の整備を進めてきた。都は対策は万全としているが、環境面の懸念や使い勝手の悪さを訴える声が絶えない。

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