歩きスマホに注意を=ポケモンGOで専門家―教育現場でも呼び掛け
爆発的人気を博しているスマートフォン向けゲーム「ポケモンGO(ゴー)」。先行配信された米国などでは、ゲーム中の交通事故や私有地への不法侵入などのトラブルが相次いでおり、日本での配信開始を前に、教育現場などに懸念が広がっている。専門家は「ゲームに没頭するあまり、事故の被害者や加害者になる危険もある」と注意を呼び掛けている。
大阪府摂津市教育委員会は20日、公立小中学校15校の終業式でポケモンGOを念頭に置いた保護者向けの注意文書を配布。歩きながらスマホを操作する「歩きスマホ」による交通事故が海外で多発しているとし、スマホの利用方法を子供と話し合うよう呼び掛けた。
新潟市でも、弁護士でつくる自由法曹団新潟支部が市教委に対し、夏休みに合わせ歩きスマホによる事故防止を保護者らに注意喚起するよう要請した。
歩きスマホの危険性を研究する愛知工科大の小塚一宏教授(交通工学)によると、スマホでツイッターをしながら歩くと、50センチ隣をすれ違った歩行者や自転車にも気付きにくいという実験結果が出た。
小塚教授によると、普通に歩いている場合、視線は無意識に左右それぞれ3~4メートルに向かう。しかし、スマホを使いながらだと画面の左右にはほとんど注意が届かず、時折、上目遣いで前方に気を配る程度。すぐ脇を通る歩行者などは、視野には入っていても、脳が認識していなかったという。
小塚教授は「脳は二つのことを同時に行うと、一方への注意がおろそかになる。特に子供は一つのことに没頭しやすく、街中を歩いていること自体を忘れてしまいやすい」と指摘。「交通事故などの被害者になるだけでなく、加害者になってしまう危険性もある」と話した。