元サラリーマン「農家への転職」を後悔。支援制度があっても現実は悲惨だった

元サラリーマン、「農家への転職」を後悔。支援制度があっても現実は悲惨だった

40男が、“前からやりたかったこと”に今さら挑戦した結果を紹介! 痛々しさもいとわず、心と体にムチ打ったあげく、散った夢の跡とは……!?

◆【田舎で農業に挑戦】支援制度で就農も不作でギブアップ寸前

 近年、1人あたり年間150万円×5年間と手厚い国の青年就農給付金制度のおかげで、農家に転職する40代が増えている。三室亮介さん(仮名・40歳)は同制度を利用した就農3年目の農家だが、「給付金目当てに安易に選んだことを後悔しています」とボヤく。

「もともと東京でサラリーマンをしていましたが、土いじりが好きで郊外に家庭菜園を借りて、趣味で野菜を育てていたんです」

 当時は老後、田舎に移住して農業をしながら暮らしたいとの夢を抱いていたとか。だが、34歳のときに青年就農給付金が創設されると知り、脱サラ就農を決意する。

「嫁もアウトドアが趣味だったこともあり、賛成してくれました。農地は2年間の農業研修の間に知人のツテで手に入れ、一昨年から果物中心の農家として始めましたが栽培していた十数品目のうち、リンゴやブドウは2年連続でほぼ全滅。想定していた量を収穫できたのはブルーベリーくらいで、利益は1年目30万円、2年目70万円といずれも事前に設定していた目標利益を大きく下回っています。給付金がなければ、親子4人の生活すらままならないのが現状です」

 しかも、「消費者の顔が見える形で売りたい」と直売や小売店・飲食店に直接卸す形にこだわり、農協には加入していない。そのため、農協からの支援もないという。

「確かに、支援が受けられるのは大きいですが栽培作物も自由に決められず、年配の農家が多いので人間関係も面倒なんです。それに移住した地域は閉鎖的なところがあり、近所の農家ともあまりいい関係ではないんです。農地を買う前にその辺をもう少しリサーチしておけばよかったんですけど」

 経営的には最初から完全につまずいてしまったが、それでも家族を養わなければならない。

「冬場は建設作業員として働いていますが、それ以上に辛いのは次男が『東京に帰りたい』とグズること。でも、今になって農家をやめるわけにもいかないので……」

 支援制度があっても数年で独り立ちできるほど甘くないようだ。

― 悲惨な40男の挑戦 ―

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