なぜ、「プリウスの車両保険は高い」のか。事故率が高いって本当?
「なぜ、トヨタプリウスの車両保険は高いのですか?」。ファイナンシャルプランナーでもある筆者は、このような質問を受けることがある。ネット上では「プリウスのドライバーは運転が下手だから」「プリウスは事故率が高い」との意見を拝見することもあるが、これは本当なのだろうか?もちろん、車両保険は車種によっても変動するが、その中でもプリウスの自動車保険が高い理由について解説しよう。
■そもそも車両保険って何?
自動車保険は、車両保険と賠償・搭乗者の保障部分の2つで構成されている。ここでいう車両保険とは、所有者自身のクルマへの保障である。この車両保険は一般車両保険という自損事故や当て逃げも保険対象となるものと、車対車(保険会社によって呼び方は様々)という自損事故や当て逃げは対象外で、交差点など相手がいる事故で自分のクルマを修理する自己負担部分を保障するものがある。
自動車保険の保険料は過去の事故率によって料率が決まる。事故率とは入ってきた保険料に対して保険金をいくら支払ったかというものであるが、プリウスの事故率は高いのであろうか?
■プリウスの車両保険が高い理由とは?
冒頭の質問がでる背景には、プリウスのオーナーは環境問題への意識が高く、燃費向上のために安全運転を心がけているとのイメージがあるのかも知れない。実際、スポーツカーのようなクルマの車両保険の料率はとても高い。スピードをだして乗り回すイメージのないプリウスの車両保険が高いことに疑問を抱くのも、ある意味当然であろう。
まず、プリウスの車両保険が高い原因の一つとして、盗難が多いことが挙げられる。日本損害保険協会が今年3月に発表した「自動車盗難事故実態調査結果」によると、損害保険会社が2015年11月に保険金を支払った事案で、プリウスは最も被害を受けた車種となっている。この調査は2000年から実施しており、今回で17回目。前回(2014年11月)に続きプリウスがワーストとなった。ちなみに、この統計は保険金を支払った事案のみで、車両保険に加入していないケース等はカウントされていない。海外セレブにも人気のプリウスは、海外でも高く転売できるので盗難されやすい傾向にある。
また、車両保険は任意であるが、プリウス所有者は経済的に余裕のある人が多いため、車両保険の付保率が高い。加えて、人気の高いプリウスは、必然的に保有している人も多く、事故の際には保険を使って修理するケースも少なくない。さらに最先端の技術で進化を続けるエコカーの修理代は高くつくことも多い。そうした要因が重なって、プリウスの車両保険を押し上げているといえるだろう。
■自分のニーズにあった保険選びを
料率クラスは車種によって決まっているが、保険会社によって保険料にかなり開きがある点にも注意したい。たとえば、「前提条件」を40歳でブルー免許、夫婦限定、18等級、車両一般の200万円(免責なし)、対人対物無制限、人身傷害を3000万円、年間走行距離を4000?7999kmで試算してみよう。
まず、契約者が代理店を通さず直接契約する「ダイレクト型」のそんぽ24では、8万5000円(インターネットで手続きすると7万6000円)であるが、保険代理店を通して契約する代理店型の損保ジャパンでは9万2870円であった。
ダイレクト型は代理店を通さない分コストが抑えられるので保険料が安いが、面倒な契約手続き等を自分でする必要がある。この手間や安心感を安いと感じるか高いと感じるかは個人の選択となるであろう。
また、ゴールド免許の場合は、そんぽ24で7万6840円(インターネットで手続きすると6万8660円)、損保ジャパンでは8万2410円となり保険料はかなり安くなる。事故がなければ翌年度の等級は上がり、保険料もさらに安くなる。普段の運転や交通ルールに気をつけることは基本中の基本だ。
料率クラスが高いプリウスであるが、保険会社をどこにするか、条件をどうするかで保険料を抑えることもできる。保障とサービスをどこまで求めるのか、自分のニーズにあった保険選びをしたいものである。