任天堂、“ゲームの映画化”はうまくいくのか?日本発3DCGアニメの可能性を検証

任天堂、“ゲームの映画化”はうまくいくのか? 日本発3DCGアニメの可能性を検証

ゲーム機大手の任天堂が映画事業に参入するため、世界の複数の制作会社と提携交渉をしていることがわかり、話題を呼んでいる。同社の君島達己社長が5月16日、朝日新聞の単独インタビューで明かした。

 「スーパーマリオ」や「ゼルダの伝説」といった同社の人気コンテンツを映画化するのかとの記者の問いに対し、君島社長は明言を避けつつも「みなさんに人気のあるIPは使っていきたい」と、その可能性を示唆している。また、ディズニーやピクサーのような3DCGのアニメーションについては、「我々はIPを持っていますから、そういったこともできると考えています。それも含めて、具体化しようと思っています」と意欲を示した。

 任天堂の新たな試みに対し、ゲームや映画などのコンテンツ・ビジネスに詳しいライターのさやわか氏は、次のような期待を寄せる。

「任天堂が映画を作るというと、93年に作られた実写映画『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』のように、単にキャラクターや世界観を流用した作品を想像しがちですが、今回のプロジェクトはまた違う可能性を持っているのではないでしょうか。任天堂がディズニーを手本としたビジネス・モデルを展開しようとしているのであれば、自社で3DCGスタジオを作り、ゲームで培った技術を投入してクオリティの高い3DCGアニメを制作できるかもしれません。任天堂は90年代より、3DCGに強い関心を寄せていて、たとえばFPSと呼ばれる一人称視点のアクションゲームにも意欲的でした。奥行きのある3DCGによる映像表現を生かしたシューティングゲームを日本向けにどうアレンジするかを長らく模索し、それが結実したのが2015年に発表されて大ヒットしたゲーム『スプラトゥーン』です。SONYのプレイステーション発表以降からそうでしたが、日本は3DCGの分野で主流となることができず、他国――特にアメリカには遅れを取ってきました。しかし、アクション性が高いリアルな一人称視点の映像では、任天堂は独自のものを生み出せる見込みがあります。IMAXや4DXといった最新の映画規格と相性の良い、新たな3DCGアニメを期待したいです」

 一方で、日本のアニメ業界においても、任天堂の試みは注目に価するという。

「日本ではセル画を使用した平面的な表現がアニメとして長らく親しまれてきて、3DCGをところどころに使用することがあっても、基本的に二次元の世界を重んじてきました。それが日本のアニメの魅力でもありましたが、世界的にはすでに3DCGが主流で、日本でも海外から続々と輸入されてきたせいで3DCG作品が浸透しつつあります。今回、任天堂が海外のパートナーと組んでアニメを制作するのであれば、従来の二次元的なアニメ産業にこだわらない映像表現ができるのでは。また、脚本や監督についても、日本の場合は一作家によるものが重視されてきましたが、ピクサーなども含めて海外の娯楽映画では何人もの作家が共同で手がけるのが基本です。任天堂には宮本茂フェローなどもいますが、彼のようなカリスマクリエイターの名前に頼りすぎない、新たな体制が敷かれるのかどうかも注目すべきポイントでしょう。君島社長はもともと任天堂米国法人で社長を務めていた方で、その辺りの機微は熟知していると思います。任天堂の試みは日本のアニメ業界にとっても良い刺激となるかもしれません」

 ゲームコンテンツの映画化は、必ずしも成功例が多いとはいえないのが現状だが、任天堂の新たな挑戦は従来とは異なる結果を生み出すのかもしれない。


うまくいくのか?thinkうまくいかないだろう。tongue-out

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