中国は「構造不況」突入か “ゾンビ企業”の清算なければ、高成長は夢まぼろし
経済の減速傾向を強める中国では、今後の成長率目標の設定を事実上下方修正したものの、なお投資中心から消費中心への構造転換などを進め、「高成長」の夢を追い続ける方針だ。ただ、その経済構造を詳細に分析すると、依然として投資額が消費額を大幅に上回っており、政府への依存度も極めて高いことが判明。経済構造に詳しい日本の専門家は「中国の経済は、もはや“構造不況”だ」と指摘する。
投資が消費を圧倒
日本のシンクタンク「ニッセイ基礎研究所」の経済研究部上席研究員、三尾幸吉郎氏によると、中国経済を需要面(支出面)からみた場合、2014年の国内総支出は64兆697億元に上る。
このうち投資の中核をなす「総固定資本形成」が約28兆2000億元で、全体の44・0%を占める。
一方で、消費の中核をなす個人消費は約24兆3000億元(37・9%)。投資が消費を大幅に上回っている状態だ。
また、特殊なのは、政府支出が約8兆7000億元(13・5%)と最終消費の4分の1程度を占め、政府依存が極めて高いことが挙げられる。
まず投資側に焦点をあてると、「改革開放」が始まった1978年には3割弱で、89年の天安門事件で落ち込み、92年には再加速するという乱高下はあったものの、基本的には右肩上がりで上昇。世界的な金融危機を巻き起こした2008年のリーマン・ショック後の4兆元の景気対策を受けて、10年には全体に占める割合が44・6%にも達した。
その後は、上昇が止まったものの、依然、高止まりしている状態だ。
一方、消費側をみると、改革開放時点で5割前後あった比率が右肩下がりで低下。2010年には35・9%まで低下した。
ただし、第12次5カ年計画(11〜15年)で最低賃金の引き上げが加速すると底打ち、緩やかながら持ち直し始めている。
それでも投資額が消費額に比べて圧倒的に多く、政府依存度が異様に高いのが中国経済の特徴といえる。
国際的にも“異様”
三尾氏は「中国経済の特徴である『投資の多さ』と『消費の少なさ』は、G20(20カ国・地域)諸国と比較すれば実感できる」と指摘する。
三尾氏の試算によると、投資(総固定資本形成)では、中国の対GDP(国内総生産)比率は突出して高く、G7(先進7カ国)の2倍前後の水準に達している。
一方で、個人消費をみると、ロシアやインド、インドネシア、韓国にも及ばず、わずかにサウジアラビアを上回り下から2番目だが、政府支出を合わせた最終消費では最下位に低迷している。
もともと中国は投資中心から消費中心への経済転換を進めており、経済成長率への投資の寄与度は低下する一方、消費(最終消費)の寄与度は高くなる傾向にはある。
これまでに投資のピークを超えた先行工業国をみた場合、ピーク後10年で投資(総固定資本形成)の比率は12ポイント程度低下している。そのため中国の投資比率も、2013年の44・6%をピークに10年後には30%台前半まで低下する可能性がある。
その分、最終消費比率は高まりそうだが、いまのところ目下の経済減速を背景に個人消費などの伸びは著しく鈍化している。
“高成長”は夢か
中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)では、今年3月、経済成長率の目標を前年の7%から6・5〜7%に引き下げ事実上下方修正したものの、依然として成長路線の堅持はあきらめていない。
極めて採算性の悪い、いわゆる「ゾンビ企業」の清算など産業構造の改革も積極的に進める方針で、なおも高成長の“夢”を捨ててはいない。
ただ、それを達成できるかは不透明だ。
三尾氏は、中国経済の先行きについて「個人消費の比率が高まらないようだと、政府支出の比率が高まる形となり、財政負担が増すことになりそうだ」と指摘。「経済成長率もピーク時の約6割まで鈍化しており、今後の高成長の復活は期待できそうにない」と悲観的だ。
ゾンビ企業?
僵屍企業でもあるよ。![]()
