免震偽装:「東洋ゴム元社長らに賠償を」 個人株主が請求
当時の経営陣19人に総額466億円
東洋ゴム工業(大阪市西区)による免震ゴムの性能データ改ざん問題で、個人株主が16日、山本卓司前社長ら歴代3社長を含む当時の経営陣19人に対し、総額約466億円の損害賠償を求める訴訟を起こすよう、同社に請求したことが分かった。会社法に基づき、東洋ゴムが60日以内に提訴しなければ、この株主が会社に代わって大阪地裁に株主代表訴訟を起こす。
問題発覚後、株主による経営責任追及の動きが表面化するのは初めて。
株主は関西地方に住む70代男性。弁護士らでつくる「株主の権利弁護団」(大阪市)が代理人を務め、16日に「提訴請求書」を東洋ゴムに送付した。
社外調査チームの最終報告書によると、免震ゴム性能のデータ改ざんは2000年11月〜15年2月、国土交通相の認定取得や製品出荷の際に繰り返された。国の基準を満たさない製品が、自治体庁舎や病院など全国154棟に納入された。
一方、その前の07年、東洋ゴムでは、建材用断熱パネルで性能試験データの偽装が明らかになっている。株主側は、経営陣が不正を見抜く社内システムを設ける義務を怠ったなどとして、賠償請求の対象を07〜15年の歴代役員に絞った。
歴代社長は山本氏の他、中倉健二、片岡善雄の両氏。損害額は、東洋ゴムが今年2月に公表した特別損失額と同額とした。
提訴請求書などによると、社内で問題が浮上した後の14年9月16日の会議で、国への報告や製品の出荷中止が検討されたが、この日のうちに判断が覆った。2日後、枚方寝屋川消防組合(大阪府枚方市)の新庁舎用に免震ゴム19基を納入した。
株主側は「出荷の継続を決めた経営判断に過失がある」と主張。また、役員の一人はこの数カ月前には問題を把握していたが、すぐに公表せず、会社の損害を拡大させたとしている。
代理人の由良尚文弁護士(大阪弁護士会)は「建築物の安全への深刻な不信を招いた。企業風土など改ざんにつながった問題点を明らかにしたい」と語った。東洋ゴムの広報企画部は「現時点で内容を確認できていないので、コメントできない」としている。
同消防組合への納入を巡っては、大阪地検と大阪府警が不正競争防止法違反(虚偽表示)の疑いで捜査している。
