損壊家屋、解体進まず=自費か、公費か―被災者二の足・熊本地震
熊本地震の被災地で、全半壊した家屋の解体が遅れている。学校再開や避難所運営などを優先し後手に回らざるを得ない自治体の対応を待たず、自ら解体を考える被災者もいるが、費用負担が二の足を踏ませる。
環境省は3日、全半壊家屋の解体・撤去費用を補助する方針を提示。これを受け熊本県益城町は、罹災(りさい)証明書で半壊以上とされた家屋の解体は、全額公費で負担することを表明した。
住民の自主解体をためらわせるのは、公費負担の対象が原則、「町が主体となる解体」に限られているためだ。生活再建を後押しし、復興を急ぎたい町は、住民が業者と直接契約した場合も補助対象にすることを国側に要望。住民は、国と町との協議を気をもみながら見守っている。
「もう一度家を建て、あと10年働く」。木工業の中路富人さん(65)は意気込むが、全壊した自宅を取り壊し、再建する資金に余裕はない。「自分で解体費用を出すと、仕事の仕入れのお金が無くなってしまう」と戸惑う。
吉原憲幸さん(54)が経営する漬物店は、県道に倒れ込むように傾いている。「危ないから早く撤去を」と町に催促したが、回答は「手が回らない。倒れたら行く」。業者への解体依頼も考えるが、「(公費で)出してくれるなら出してほしい。けちけちしていたら再建はできない」と、納得できない様子だった。
町は、東日本大震災で同様の経験をした宮城県内の自治体職員らのアドバイスを得ながら、国との交渉を急ぐ。広報担当者は「できるだけ迅速に条件が決まるよう、国にも強く訴えている」と話している。
