NHK朝ドラ&大河 2大看板になぜ同じ役者が何度も起用されるのか?

NHK朝ドラ&大河 2大看板になぜ同じ役者が何度も起用されるのか?…キーワードは「共感」

NHKの2大看板ドラマである、「連続テレビ小説(朝ドラ)」と「大河ドラマ」。この両枠に、同じ役者が起用されるケースが目立っている。朝ドラに出て話題となった役者が後に大河にも出演する、という流れが主流だが、逆のパターンも。人気の朝ドラでなじみのある出演者を大河に“再登場”させることで、視聴者からの関心や共感を集めたいという狙いがありそうだ。

 まず、放送中の大河「真田丸」の場合を見てみよう。主演の堺雅人は、平成12年の朝ドラ「オードリー」で、映画の助監督役として出演した。その後は大河「新選組!」「篤姫」に相次ぎ出演。今回の「真田丸」で、初めて主役の座を射止めた。

 「真田丸」では、徳川家康役の内野聖陽も似たルートをたどっている。内野は8年の朝ドラ「ふたりっ子」に出た後、大河「徳川慶喜」を経て、19年の大河「風林火山」で主役・山本勘助を演じた。

 この朝ドラ→大河という構図は、近年は女優で際立っている。18年の朝ドラ「純情きらり」でヒロインを務めた宮崎あおいは、2年年後の大河「篤姫」で主演。さらに、23年の朝ドラ「おひさま」で主演した井上真央も、昨年の大河「花燃ゆ」で主人公を演じた。

■ポイントは「共感」と「安心感」?

 これとは逆に、「大河」に出ていた役者が「朝ドラ」に出るケースも。1970年代の「国盗り物語」「黄金の日日」などから「真田丸」まで、多くの大河ドラマに出演している近藤正臣は、近年だと朝ドラ「ごちそうさん」や「あさが来た」に出演。すっかり「朝ドラ俳優」としても定着した。また、草笛光子も、25年の大河「八重の桜」(ナレーション)、昨年の朝ドラ「まれ」、大河「真田丸」と交互に出演している。

 なぜ、両枠で同じ役者を見る機会が多いのか。複数のNHK関係者に取材したところ、「共感」というキーワードが出てきた。以前、「朝ドラ」で見慣れた役者が、今度は「大河」で帰ってくる。視聴者からすると、どこか安心感があるうえ、若手の場合は「大きくなって帰ってきたね…」と共感が集まりやすい、との理屈だ。

 また、朝ドラの撮影はスケジュール的に過酷なことで知られる。「朝ドラを経験したのなら、大河の撮影もスムーズにいくのではないか」という、実績に基づく制作側の「安心感」も、特に主役や準主役級の配役の際にはありそうだ。

■ドラマ界は朝ドラの「1強多弱」

 テレビ番組に詳しいコラムニストの桧山珠美さんも、「近年は特に、『朝ドラ』と『大河』に出ている人が重なっている」と話す。さらに、今の朝ドラがNHK・民放の全ドラマの中で“独り勝ち”状態になっていることを指摘する。

 「今のドラマ界はまさに、朝ドラの『1強多弱』状態。人気の朝ドラで話題になった俳優は、ヒロインから脇役に至るまで、どの局も使いたがっています。以前から朝ドラは、『若手女優の登龍門』といわれていました。でも、今は男性俳優やベテランも含め、全ての俳優にとって、『俳優養成教室』のような存在になっています」

 そのうえで、桧山さんは「朝ドラとは逆に、本来は一番の看板であるはずの大河の人気が、この数年で沈むという“逆転現象”が起きています。朝ドラ役者の起用は、『大河にも目を向けてほしい』との気持ちの表れなのでは」と語った。

 このほか、「朝ドラも大河も、平たくいえば同じ制作局で作っている。朝ドラを作っていた人が、人事異動を経て大河を作ることもあるし、その逆もある」「NHKの局員は、NHKの番組しか見ていない。朝ドラと大河の役者が重なるのは当然」などと語る関係者たちも。余談だが、「あさが来た」で「五代さま」こと五代友厚を演じたディーン・フジオカに、「ぜひ大河で出てほしい」という待望論も多かった。

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