三菱自動車が燃費試験で不正、隠蔽体質再び露呈 再び不祥事に相川社長「忸怩たる思い」

<三菱自不正>隠蔽体質再び露呈 日産の指摘で発覚

三菱自動車が実際より燃費を良く見せる不正行為は自社にとどまらず、供給先の日産自動車ブランドを含む計62万5000台に及んだ。今後の調査で台数はさらに増える可能性もある。三菱自は2000年代前半の「リコール隠し」で経営危機に直面して以降、信頼回復に取り組んだ。しかし提携先の日産に指摘されるまで不正をただせず、かつての「隠蔽(いんぺい)体質」を払拭(ふっしょく)できていないことを露呈した。

 不正の手口は「走行抵抗値」と呼ばれる燃費を算出するための基礎データの改ざん。走行抵抗値とはタイヤの路面抵抗や空気抵抗などを数値化したもの。カタログに載せる燃費性能は国土交通省の審査で決まるが、その基になる走行抵抗値はメーカーの届け出数値が採用される。

 国は国の施設で行う走行試験データに、メーカーから提出された走行抵抗値を掛け合わせるなどして燃費を算出。三菱自はメーカーの言い値が採用されるこの仕組みを悪用した。走行抵抗値は通常、自社の複数回の走行実験の中央値を採用するが、燃費を良く見せられるようデータを改ざん。この結果、カタログの燃費性能は実際より5~10%高まったという。

 近年の軽自動車は維持費の安さのほか、燃費性能が魅力で自動車各社は激しい開発競争をしている。今回の不正の背景にも「良い燃費に見せようという意図があったのは確か」(相川哲郎社長)だ。三菱自は記者会見で「焦りでやったものではない」と弁明したが、同社の軽自動車の燃費性能は競合他社よりやや見劣りするだけに「現場の焦りがあったのでは」(他社)との指摘もある。

 一方、不正発覚の端緒は、軽自動車開発などで三菱自と提携する日産だった。次期車種は日産が主導で開発することが決まっており、開発の参考にと三菱自から提供を受けた車の燃費性能を計測し、カタログ上の性能に達しないことが分かった。日産は「自主的に該当車種の販売を中断する旨を販売会社に通知し、ユーザーへのサポートの検討を始めた」とのコメントを出した。

消費者「何を信じたら」 業界全体に不信感

三菱自動車が、軽自動車の燃費試験のデータを改ざんしていた。問題の車を買ったドライバーは、カタログの性能より余計にガソリン代を負担してきたことになる。「何を信じたらいいのか分からない」。ユーザーから厳しい声が上がった。【田ノ上達也、太田敦子、内橋寿明】

 軽乗用車「eKワゴン」に乗る千葉市の主婦(42)は「利益のみを追求する中で起きたのではないか。なぜ不正が行われたのか理由を知りたい」と驚いた様子を見せた。同車種では2013年6月以降の製造で不正があった。主婦は車を10年ほど前に購入。対象外だが、買い替えを検討していたところで、「何を信じたら……」と不安を口にした。

 三菱自動車やグループ会社では2000年以降、母子3人死傷事故などに絡みリコール隠しが発覚し、批判を浴びた。「燃費をごまかしてばれないと思っていたのか」「もう車を作らないでほしい」。インターネット上でも不正発表後、辛辣(しんらつ)な投稿が相次いだ。

 中には「震災報道に隠れることができるかもという考えが見え隠れ」と公表のタイミングを問題視する声や、「他のメーカーも実際の燃費はカタログと違う。当てにならない」など自動車業界への不信も書き込まれた。

 愛知県岡崎市の同社名古屋製作所では、午後5時半ごろに仕事を終え退勤する従業員たちが「何も聞いていないのでよくわからない」などと表情をこわ張らせていた。

 不正について50代の男性は「これからどうなるんだろう。うちの工場は軽自動車は作っていないけれど関係は大ありです」と頭を抱えていた。40代の男性は「帰る直前にネットニュースで知りました。詳しいことはわからないので家に帰ってチェックします」と硬い表情で話していた。

 同社の20日の記者会見では、100人以上の報道陣から「隠蔽(いんぺい)体質は変わっていないのではないか」など厳しい質問が相次いだ。

 相川哲郎社長ら役員3人が会見冒頭、深々と頭を下げたが、ユーザーへの対応を問われ相川社長は「どうすれば納得していただけるのか検討を始めたところ。今後ご案内したい」と述べるのがやっとだった。

前代未聞のずるい手口

 自動車評論家の国沢光宏さんの話 自動車メーカーが燃費性能を競争している中で前代未聞のずるい手口だ。上層部が掲げた目標を達成できず、最後に帳尻を合わそうとして不正に手を染めたのではないか。実際の燃費との差に比べ、受けるダメージは計り知れない。不正を認識した社員が指摘できなかった企業体質も大きな問題だ。

「ユーザー離れ確実」 海外向けも調査

2000年代前半に大規模なリコール(回収・無償修理)隠しで経営危機に陥った三菱自動車。再び深刻な不正を引き起こしたことで、法令順守意識の低さが改めて浮き彫りになった。国内販売の主力、軽自動車部門で起きた不祥事だけに、販売や業績へのダメージは大きく、経営に与える影響も見通せない。

「(リコール隠し問題を起こした)00年以降、法令順守第一で取り組んできたが徹底することの難しさを感じている。無念であり、じくじたる思いだ」。20日に東京都内で記者会見した相川哲郎社長は苦渋の表情で語った。

 三菱自は00、04年に発覚した大規模なリコール隠し問題が発端となり経営危機に陥った。三菱重工業や三菱商事、三菱東京UFJ銀行を中心としたグループ3社が多額の増資を引き受けて支援し、三菱商事出身の益子修氏が三菱自社長に就任。海外の不採算工場閉鎖などで再建を進めた結果、13年に累積損失を解消して経営再建に一定のめどをつけたばかりだった。14年6月には9年間社長を務めた益子氏の後任社長に生え抜きの相川氏が就任、「再建から反転攻勢に段階が変わった」(三菱自幹部)はずだった。

 今回の不正があった車種は安全性能に問題がないため、リコール対象にはならない見通しだ。しかし、「再びユーザー離れが進むのは確実」(自動車大手)で、人気2車種の生産・販売を停止したうえ、今後はユーザーへの補償も必要になる。燃費試験での不正行為の結果、本来は対象にならないエコカー減税で国や地方自治体の税収を減らすことになっていた場合には、三菱自が穴埋めする考えも示しており、業績だけでなく企業イメージに与える影響も小さくない。

 また、東南アジアでの販売強化を目指してきた三菱自は「海外市場向け車両についても調査する」としており、影響が国内だけにとどまらない可能性も出てきた。

 自動車業界の競争環境は厳しく、三菱自は販売台数でトヨタ自動車やホンダなどに引き離されているうえ、今後の生き残りのカギを握る次世代自動車の開発などでトヨタなどに後れをとっている。16年3月期は景気悪化が続くロシアなどでの販売減を受けて最終減益となる見通しだ。

 今回の不正は経営を揺るがす問題に発展する可能性もあるが、相川社長はぼうぜんとした表情で「現段階で業績への影響は見通せない」と繰り返すばかりだった。

三菱自動車が燃費試験で不正 再び不祥事に相川社長「忸怩たる思い」

三菱自動車は20日、記者会見を開き、自社製車両の燃費試験で不正行為が行われていたと発表した。国土交通省に提出した燃費試験データについて、実際よりも燃費を良く見せる数値を採用していた。また、国内法に定めのない試験方法を採用していたことも明らかになった。相川哲郎社長は「意図的な不正」だとして陳謝。2000年代初めのリコール隠し問題で批判を受けた同社だが、再び不祥事でコンプライアンス意識の不徹底ぶりを露呈したことについて「忸怩たる思い」と語った。

燃費データ不正は「意図的」

 燃費試験データの不正が分かったのは、3月末までに自社で計15万7000台を生産した「eKワゴン」と「eKスペース」、日産自動車に46万8000台を供給した「デイズ」と「デイズルークス」の計4車種・合計62万5000台。

 燃費試験は、4車種とも開発を担当した三菱自動車側が実施していたが、日産側が新製品開発にあたって、参考のために不正が行われていた車両の燃費を測定したところ、国交省への届出値とは差があったことから、三菱自動車へ確認を求めた。これを受けて、社内で調査した結果、実際よりも燃費に有利な走行抵抗値(車両が走行する際の転がり抵抗や空気抵抗)が採用されていたことがわかった。

 走行抵抗値は、車両の走行を妨げようとする力であり、この値が小さくなればなるほど、それだけ少ない燃料で長い距離を走行できる。該当4車種については現在、再試験を行っているが、実際の値と不正値とは、おおむね5~10%程度乖離している見込みだという。

 三菱自動車によると、この不正が行われたのは名古屋製作所(愛知県岡崎市)にある開発本部。関係者に対するヒアリングを行っているが、相川社長は「この操作は意図的なものであると考えている。数字を良く、いい燃費に見せるという意図があったのは確か」と述べ、過失ではなく「意図的な不正」だとの見方を示した。

 この不正について相川社長が報告を受けたのが13日で、日産には18日に報告したという。該当4車種は、20日午後に生産・販売を停止。日産側も同様の措置を取った。

 該当車種のユーザーへの対応策については検討中。また、相川社長は、「販売店の皆さんへの対応も検討をはじめたところ。急いで解決すべきだと考えており、早急に結論を出したい」とした。

「隠蔽体質変わらない」との質問も

 一方、社内調査の過程では、試験方法について、国内法規の定めとは異なる方法を、多くの車両で採用していたことも明らかになった。少なくとも2002年ごろから使われているが、なぜその方法が使われたかは不明とした。該当する車種については、あらためてデータを取り直した上で国交省に報告する。

 これらの問題についての徹底調査を行うため、三菱自動車では外部の有識者のみで構成する調査委員会を設置し、結果がまとまり次第、公表する。調査期間について、相川社長は「調査内容次第であり、現時点でまだ決まっていないが、3か月、できればもう少し早く報告できればと思う」と述べた。

 不正が行われた背景について、経営陣からのプレッシャーがあったのではないかとの指摘に対し、中尾龍吾副社長は「技術的な裏付けのない目標値の達成を求めることはない」と否定したが、社内で設定した目標値を達成するために不正が行われたのではないかとの問いに対しては、「その可能性が高いと考えている」との考えを示した。

 三菱自動車は、2000年代初めのリコール隠しで社会的に大きな非難を浴びたが、そうした隠蔽(いんぺい)体質は変わらないのではないかとの指摘に対し、相川社長は「そういう見方は重々承知している。石垣を積むように改善を図ってきたが、全社員にコンプライアンス意識を浸透させるのは難しい。無念であり忸怩たる思い」と語った。自らの進退については、「まずは問題を解決し、再発防止に道筋をつけるのが責任。これ以上のことは考えていない」と述べるにとどめた。

三菱自動車、eKワゴンなど軽自動車において燃費試験の不正認める

三菱自動車は、三菱「eKワゴン」「eKスペース」および日産「デイズ」「デイズルークス」の4車種において、燃費を実際よりも良く見せるために不正な操作を行っていたことを4/20に発表、同社社長 相川哲郎氏が記者会見を開いた。

該当する車種は、2013年6月から生産している三菱「eKワゴン」「eKスペース」15万7千台、日産「デイズ」「デイズルークス」46万8千台の合計62万5千台におよび、該当車については生産・販売を停止する。

三菱自動車からの発表は以下の通り。

三菱自動車製車両の燃費試験における不正行為について

当社製軽自動車の型式認証取得において、当社が国土交通省へ提出した燃費試験データについて、燃費を実際よりも良く見せるため、不正な操作が行われていたことが判明しました。また、国内法規で定められたものと異なる試験方法がとられていたことも判明しました。お客様はじめ全てのステークホルダーの皆様に深くお詫び申し上げます。

該当車は、2013年6月から当社で生産している「eKワゴン」「eKスペース」と、日産自動車向けに供給している「デイズ」「デイズルークス」の計4車種です。これまでに当社は計15万7千台を販売し、日産自動車向けには計46万8千台を生産しています(2016年3月末現在)。

燃費試験については、該当車のいずれについても、開発を担当し認証届出責任を持つ当社が実施していました。次期車の開発にあたり、日産自動車が該当車の燃費を参考に測定したところ、届出値との乖離があり、当社が試験で設定した走行抵抗値について確認を求められました。これを受けた社内調査の結果、実際より燃費に有利な走行抵抗値を使用した不正を把握するに至ったものです。該当車にお乗り頂いているお客様に対しては、今後、誠実に対応させて頂きます。

また、該当車については、生産・販売を停止することといたしました。日産自動車でも販売を停止して頂いており、補償についても今後、協議いたします。

その他の国内市場向け車両についても、社内調査の過程で、国内法規で定められたものと異なる試験方法がとられていたことが判明しました。

また、状況の重大性を鑑み、海外市場向け車両についても調査を行います。

これら問題につき、さらに客観的で徹底的な調査を行うため、独立性のある外部有識者のみによる調査のための委員会を設置し、調査結果がまとまり次第、公表させていただく予定です。

三菱自不正「会社に裏切られた」 倉敷・従業員に不安や戸惑い

三菱自動車が燃費試験で不正行為をしていたことが明らかになった20日、水島製作所(倉敷市水島海岸通)は対象車種の生産停止に追い込まれることになった。「これからどうなるのか」―。従業員からは不安や戸惑いの声が上がり、取引のある岡山県内の部品メーカーはブランドイメージや業績悪化を懸念した。

 水島製作所には従業員約3600人が勤務。この日は熊本地震で一部の部品が届かず、軽自動車の生産ラインが停止していることもあり、夕方の正門前は足早に帰宅する姿が目立った。

 「何でこんなことをしたのか。残念だし、怒りを覚える」と事務部門の40代男性。40代女性は「新型車の投入計画もあって職場の雰囲気は良かっただけに残念」と漏らした。

 同製作所は2015年に約30万9千台を生産。このうち、「eKワゴン」と、日産自動車向けに生産している「デイズ」など、燃費試験の不正が明るみになった4車種が6割を占める。生産部門の40代男性は「リコール隠し以降、現場で真面目に頑張ってきたのに、会社には裏切られた思いだ」と吐き捨てた。

 相川哲郎社長の会見が始まった午後5時すぎ、水島製作所と取引関係がある系列部品メーカーにも不正問題の連絡が入り、混乱が広がった。

 倉敷市内の部品会社幹部は「リコール隠しで大打撃を受けた教訓が全く生かされていない。三菱車のイメージダウンは避けられず、販売減が拡大するかもしれない」。総社市内の部品メーカーの管理職は「対応を協議しているが、三菱自から詳細の連絡はなく、困惑しているとしか言いようがない」と憤った。

 水島製作所の生産再開の見通しは今のところ立っておらず、協力会社12社でつくる協同組合「ウイングバレイ」(総社市)の昼田真三理事長は「取引先への影響は大きい。三菱自は襟を正し、きちんとした経営をしてもらいたい。事態を早期に収拾させ、一刻も早く生産を再開してほしい」と話した。

上場後「最安値」=三菱自株

21日の東京株式市場で、三菱自動車の株価が前日に続き急落した。終値は制限値幅の下限となる前日比150円安の583円。同社は2013年7月に株式併合しており、これを考慮すれば事実上の上場後の最安値になった。

 下落率は20%で、全上場銘柄の中で最も大きかった。三菱自株は大量の売り注文を残したまま、21日の取引を終えた。

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三菱自株、連日の「最安値」=燃費不正問題で大幅続落

22日の東京株式市場で、燃費のデータ不正問題に揺れる三菱自動車の株価は前日比79円安の504円と、大幅に続落して取引を終えた。一時は489円まで値下がりし、株式併合を考慮した事実上の上場来最安値を更新した。

 不正行為が伝わった20日から売り注文が殺到。20、21日は値幅制限いっぱいまで下落するストップ安となった。22日はそこまで売られなかったが、3日間の下げ幅は360円と19日終値の4割強に達した。

自治体の減収分負担を=三菱自の燃費不正で-高市総務相

高市早苗総務相は22日の閣議後の記者会見で、三菱自動車の燃費データ不正問題をめぐり、販売された車がエコカー減税などの基準を満たしていないことが明らかになった場合、「各地方自治体に該当額を振り込んでもらうくらいのことをしてもらわなければならない」と述べ、同社が自治体の減収分を負担すべきだとの認識を示した。
 エコカー減税は、燃費性能に応じ、自動車取得税(地方税)などの減税幅が定められている。同社が実際より燃費性能を良く見せる不正を行っていたことで、過剰に減税されていた可能性があり、自治体にとっては減収となる。
 総務相は、同社が既に減収分を負担する意向を示していることについて「当然のことだ。車を買った人は自動車がエコカーであることを信じて買ったので、税を負担する必要はない」と強調。国土交通省などと連携し、具体的な対応を講じる考えを示した。

三菱自動車 元部長、口頭で不正指示か

三菱自動車が燃費試験のデータを不正によくみせかけていた問題で、不正を指示したという元部長は、作業方法などを指示した書類では正しい方法での計測を記載したものの、実際には口頭などで不正を指示していたとみられることが分かった。

 関係者によると三菱自動車では、燃費を調べるための試験は通常、作業指示書に基づき行われる。しかし、不正を指示したという元部長は、作業工程を指示する書面上は、法律に基づいた正しい方法で行うよう記載する一方、口頭などでは不正を指示していたとみられることがわかった。

 また、三菱自動車では元部長が交代した以降も不正が続いていたことなどから、不正行為が習慣として続いていた可能性があるとみて詳しい背景について調べている。

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<三菱自>燃費不正、経営に打撃…グループ支援不透明

三菱自動車の燃費データ不正問題は同社の経営を揺るがす事態に発展しかねない。2000、04年の相次ぐリコール(回収・無償修理)隠し問題を受けて、倒産寸前に追い込まれた三菱自は三菱グループの全面支援を受けて再建を進めてきた。しかし、今回の不正では顧客への補償など多額の資金が必要になるうえ、販売面でのダメージも避けられない。三菱グループがどの程度支援できるかは不透明で、三菱自が再び存続の危機に立たされる可能性もある。

 「再建に協力してきた苦労は何だったのか。不正に手を染める企業体質を変えることは難しい」。三菱自の再建にかかわった三菱商事幹部は半ばあきらめ顔で語った。

 リコール隠し問題の発覚を受けて筆頭株主だった独ダイムラー・クライスラー(当時)が三菱自への支援を打ち切った04年、同社は販売不振も重なって倒産寸前まで追い込まれた。窮地を救ったのが三菱重工業、三菱商事、三菱東京UFJ銀行の御三家と呼ばれる三菱グループ主力3社だ。3社などは5400億円の金融支援を実施。三菱重工会長だった西岡喬氏が三菱自会長を兼務し、三菱商事出身の益子修氏を社長に就けるなど、グループの総力を挙げて再建を支援した。

 三菱自は金融支援で財務基盤を強化し、軽自動車などに注力した結果、13年に累積損失を解消。円安の追い風もあり、15年3月期の最終(当期)黒字は1181億円と過去最高を達成。再建が軌道に乗ったところでの今回の不正だった。

 三菱自は4000億円規模の手元資金があり、当座の資金繰りに支障を来すことはないとみられる。だが、エコカー減税の対象外だったことが判明した場合の減税分の返納など、不正の対応に多額の費用がかかる見通し。三菱重工幹部は「度重なる不正による企業イメージの失墜で販売への影響も避けられない」と懸念する。

 排ガス規制逃れ問題を起こした独フォルクスワーゲン(VW)は米国で約48万台の対象車両の買い取りや補償を決めた。三菱自で不正が発覚した62万台についてVWと同様の補償などを行えば、対応費用はさらに膨れ上がる。

 三菱グループ企業の経営環境も厳しさを増している。三菱商事は資源価格が下落した影響で、16年3月期決算は創業以来初の最終赤字を見込む。三菱重工も大型客船事業で損失が発生し、最終減益の見通しだ。

 同社の宮永俊一社長は毎日新聞などの取材に「不正は大変残念だ。さらなる支援をするかどうかなどは十分な情報を得てからでないと判断できない」と述べるにとどめた。【工藤昭久】

 ◇◇エコカー減税◇

 省エネや環境保護を目的に、排ガスや燃費の一定の基準を満たした自動車に対し税金を減免する制度で、2009年度に導入された。軽自動車の場合、購入時にかかる自動車取得税(地方税)を通常は購入価格の2%分支払うが、対象車なら0~1・6%に軽減される。購入時や車検時にかかる自動車重量税(国税)も通常7500円だが0~5600円に軽減される。軽自動車の国内販売台数に占めるエコカー減税対象車は約8割。

燃費データ不正 隠蔽体質払拭できず 提携の日産指摘、発覚

三菱自動車が実際より燃費を良く見せる不正行為は自社にとどまらず、供給先の日産自動車ブランドを含む計62万5000台に及んだ。今後の調査で台数はさらに増える可能性もある。三菱自は2000年代前半の「リコール隠し」で経営危機に直面して以降、信頼回復に取り組んだ。しかし提携先の日産に指摘されるまで不正をただせず、かつての「隠蔽(いんぺい)体質」を払拭(ふっしょく)できていないことを露呈した。 

 不正の手口は「走行抵抗値」と呼ばれる燃費を算出するための基礎データの改ざん。走行抵抗値とはタイヤの路面抵抗や空気抵抗などを数値化したもの。カタログに載せる燃費性能は国土交通省の審査で決まるが、その基になる走行抵抗値はメーカーの届け出数値が採用される。

 国は国の施設で行う走行試験データに、メーカーから提出された走行抵抗値を掛け合わせるなどして燃費を算出。三菱自はメーカーの言い値が採用されるこの仕組みを悪用した。走行抵抗値は通常、自社の複数回の走行実験の中央値を採用するが、燃費を良く見せられるようデータを改ざん。この結果、カタログの燃費性能は実際より5〜10%高まったという。

 近年の軽自動車は維持費の安さのほか、燃費性能が魅力で自動車各社は激しい開発競争をしている。今回の不正の背景にも「良い燃費に見せようという意図があったのは確か」(相川哲郎社長)だ。三菱自は記者会見で「焦りでやったものではない」と弁明したが、同社の軽自動車の燃費性能は競合他社よりやや見劣りするだけに「現場の焦りがあったのでは」(他社)との指摘もある。

 一方、不正発覚の端緒は、軽自動車開発などで三菱自と提携する日産だった。次期車種は日産が主導で開発することが決まっており、開発の参考にと三菱自から提供を受けた車の燃費性能を計測し、カタログ上の性能に達しないことが分かった。

 日産は「自主的に該当車種の販売を中断する旨を販売会社に通知し、ユーザーへのサポートの検討を始めた」とのコメントを出した。

「パジェロ」などでも判明

三菱自動車が燃費試験でデータを不正操作していた軽自動車以外に、国内法で定められた方法と異なる試験方法で測定していた車種が、スポーツタイプ多目的車(SUV)「パジェロ」や電気自動車(EV)「アイ・ミーブ」など約10車種に上ることが22日分かった。三菱自は今後、正しい方法で測定し直し、燃費に関するデータを国土交通省に提出する方針だ。

 国交省は三菱自の施設への立ち入り検査などで、不正な測定方法についても詳しく調べている。

 三菱自は燃費に関するデータの取得を、国内で定められた測定方法の「惰行法」ではなく、米国で適用されている「高速惰行法」で行っていた。

燃費データ不正 「軽」競争焦り 社内目標29キロ意識

軽自動車の燃費を良く見せる不正行為が発覚した三菱自動車は、近く有識者による第三者機関を設置して全容解明を急ぐ。不正の背景には、年々激化する燃費向上競争への「焦り」があったとの見方が業界内で根強い。

 不正が明らかになったのは「eKワゴン」など4車種。eKワゴン(供給先の日産自動車では「デイズ」)の場合、カタログの燃費はガソリン1リットル当たり25・0〜30・4キロメートルとされている。ダイハツ工業の「ムーヴ」やスズキの「ワゴンR」など、競合他社の同格の車とほぼ同水準だが、不正で燃費を5〜10%良く見せており、実態は燃費がやや劣っていた可能性がある。

 個人消費が伸び悩む中、軽自動車は燃費の良さや維持費の安さが魅力となり、国内販売に占めるシェアが上昇している。ホンダなど普通車が主軸だったメーカーも軽市場に本格参入し、2015年度は全体の37%を占めるまでになった。三菱自にとっても軽は国内販売の約6割を占める主力商品で、看板車種のeKワゴンへの期待は大きかった。

 しかし、軽市場はダイハツ工業、スズキの「2強」がそれぞれ約3割のシェアを握り、三菱自は約3%に過ぎない。燃費が良いほど販売面で有利になるだけに、上位メーカーに追いつきたい三菱自の開発部門が「販売現場のためにも少しでも燃費を良く見せたいと考えたのではないか」(他社の技術部門出身者)との見方が出ている。また、問題となった現行eKワゴンが発売された13年ごろは、原油高も相まって軽の燃費競争が激化、ダイハツとスズキは1リットル当たり0・1キロメートルの燃費向上を競い合う「頂上決戦」を繰り広げていた。

 三菱自も当時、eKワゴンで1リットル当たり29・2キロメートルという社内目標値を設定して開発に臨んでおり、経営陣は20日の記者会見で「燃費を開発目標として強く意識していた」「社内目標値をクリアするために不正が入った」との見方を示した。業界関係者は「開発部門は相当なプレッシャーを感じていたのだろう」と指摘する。

<社説>三菱自動車 繰り返された背信行為

三菱自動車が、軽自動車4車種、計62万5000台で、燃費性能を実際より良く偽っていたことがわかった。2000年と04年に明らかになったリコール(回収・無償修理)隠しに続く、3度目の背信行為だ。経営危機をようやく脱し、再建のめどがついたところでの不正である。信頼失墜は避けられず、三菱自の経営は再び瀬戸際に立たされそうだ。

 三菱自は死亡事故も引き起こした2度の大規模なリコール隠しで経営危機に陥った。三菱重工業や三菱商事、三菱東京UFJ銀行の増資などの支援を受けて再建を進めた。豪州の工場閉鎖や欧州からの撤退、車種の削減などに踏み切り、13年度に累積損失を解消した。

 燃費性能を偽った軽はこの年に発売された。再建策の一環だった日産自動車との提携・共同開発が実を結んだ「戦略車」でもあった。日産は減税の恩恵で好調な軽を販売車種に加えられ、販売網が傷ついた三菱自は生産台数を増やして収益を確保できるのが利点だった。

 軽は、国内での自動車販売の4割程度を占める人気だ。維持費の小ささと燃費の良さが魅力で、燃費がいいほど減税幅も大きく、各社は激しい開発競争を続けている。三菱自の開発部門はそうした要求を強く意識せざるを得ない中で、不正に走ったようだ。スズキやダイハツ工業に比べ、出遅れが否めない焦りもあったとみられる。

 問題の軽の中には「クラス最高水準の燃費性能」とうたった車種もあり、日産向けの約47万台を含め計62万5000台が売れた。しかし、実際はカタログに比べ5〜10%燃費が悪く、購入者は期待したより多くの燃料代を負担していたことになる。

 三菱自は購入者に何らかの補償を検討するほか、本来は対象にならないエコカー減税で国や地方自治体の税収を減らしていた場合は、穴埋めする考えだ。また、軽以外の全車種にも不正がないかを調べ、外部有識者による調査委員会を設けて全容解明に取り組む。現段階では「不正は担当部長の指示」と説明しているが、組織的な関与がなかったのか、厳しい調査が求められる。

 過去のリコール隠しは内部告発で発覚したが、今回の不正は日産に指摘されるまで把握できなかった。また、昨秋には新型車開発の担当部長2人を退職させ、新車の投入を延期する問題も起きている。「計画通りに開発が進んでいる」と上司に虚偽の報告をしていたという。

 自浄作用や社内の意思疎通が失われていたとしたら、三菱自の抱える問題の根は深い。不正はそうした組織全体に広がる問題の一端に過ぎないのかもしれない。

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なぜ三菱自動車は再び「甘えと奢り」が出たのか

同時に焦りも?軽の低燃費競争激しく

 20日発覚した三菱自動車の燃費問題が波紋を広げている。不正に手を染めた背景には競合との激しい競争があり、その不正はさらに対象が広がる可能性がある。

 不正の対象となったのは軽自動車だった。軽市場は国内で存在感を増している。比較的手頃な価格で維持費も安く、装備や性能が向上し需要を捉えてきた。少子高齢化などで国内販売が伸び悩む中、軽販売は底堅さを見せ、2013年度には全体の販売の4割を占めるまでになった。

 主なプレーヤーは、ダイハツ工業とスズキの軽2強に加え、11年から「Nシリーズ」の投入で本格攻勢を仕掛けたホンダだ。上位3社が激戦を繰り広げる中、今回問題となった燃費は消費者にとって自動車購入時の重要な判断基準で、燃費を巡る技術開発が軽の主要な競争軸となっていた。

 競争で劣勢に立った三菱自は11年、日産自動車と組むことで戦略を練り直し、協業第1弾の車種の開発を担当した。20日の会見で経営陣の不正関与を否定した上で、「技術の遅れから焦って不正をしたと言うことはないと思う」(中尾龍吾副社長)と話したが、こうした厳しい環境下で開発陣には相当のプレッシャーがかかったのは想像に難くない。

 「なぜ不正までして燃費を上げようとしたかはわからない」(相川社長)。三菱自は燃費性能を確認する「性能実験部」でデータ操作があったことを認めたが動機は調査中だ。00年前半のリコール隠し問題に続き顧客を欺く不正を働いた代償は余りに大きい。

《リコール問題時の再生当事者はこう見た》
 2004年にリコール隠し問題発覚後、独ダイムラークライスラーが手を引くと発表し経営危機に陥った際、我々はプライベートエクイティファンド(PE)としてJPモルガンと組んで2000億円の資本を投入、再生支援を行なった。

 事業再生委員会では10のクロスファンクショナルチーム(CFT)を組成し、1000人の社員からのヒアリングと100人の社員の参加を得て徹底的に問題点を洗い出した。その際に最も問題だったのが、各部署が独立し、タコツボのようで風通しが悪い社内風土、さらに「開発・製造部門が上で販売部門が下」という顧客を向いていない文化だった。

 CFTでは、「今回のくやしさを逆に生かし、品質ナンバーワンを売りにしよう」として、敢えて保証期間の延長などの新機軸を打ち出した。また指示改修で済ませていた不具合もなるべく広くリコールするようした。

 稼働率が低いという理由で銀行が主張していた岡崎工場(愛知県)というキー拠点の閉鎖を止めるために、水島工場(岡山県)の稼働率を上げようと我々が考えたのが日産とのJV(合弁会社)だ。これにも当初は三菱重工業は「日産ごときと組めるか」と否定的だったが、うまく行っていた。

 プラットフォームの統合や開発や購買の改善、さらには経営情報システムや管理会計を改善して情報が社内で共有できる仕組みも作った。

 同時に、CFTの成果を500項目もの施策に落とし込だが、途中から東京三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)が三菱グループ3社(三菱重工、三菱商事、東京三菱銀行)の支援を前面に出すことを主張し始めたので(恐らく三菱重工の持分法会社にして金融庁査定を乗り切るという理由)、我々は再建にめどがついたのを契機に手を引いた経緯にある。

 ファンドが去った後、銀行が主張したグループ内輪の支援によって自立心が失われ、甘えと驕りが出てきたのではないかと懸念する。

 今後は世界の数百万台のユーザーへの責任も考えて支援の可否が検討されるのではないか。

走行試験せず、机上データ提出…三菱自燃費偽装

三菱自動車が軽自動車の燃費を偽装していた問題で、同社が実際に車を走らせて空気抵抗などのデータを測定せず、机上の計算だけで数値を算出していた事例があったことが、23日わかった。

 国土交通省はこうした事実を問題視しており、詳しい事実関係を調べている。

 自動車メーカーは新型車の発売後、車体のデザインや内装を小幅に変更する「マイナーチェンジ」を行うことが多い。

 本来はこうした場合でも、車両の重さが変わるようなケースでは、実際に車を走らせる走行試験を行って空気抵抗やタイヤにかかる負荷など「走行抵抗」のデータを測定し、検査機関に提出する必要がある。

 走行抵抗は燃費を算出するのに必要なデータで、抵抗が小さいほど、燃費は良くなる。

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負担額1000億円超か=減税分返納、ガソリン代で―三菱自

燃費データ不正で三菱自動車は今後、問題の車種に適用されたエコカー減税の返納や顧客へのガソリン代補填(ほてん)に加え、軽自動車の供給先である日産自動車に対する補償など、多額の負担が求められる。アナリストからは、負担増は判明している分だけでも1000億円を超えるとの見方が出ており、「経営へのインパクトは非常に大きい」と懸念する声が上がっている。

 自社ブランドで販売した軽自動車について一時的に補償する日産は、三菱自に経費を全額要求する方針。三菱自はこれを含め62万5000台への補償が必要になる。日産は問題の車種の販売停止により売り上げが減少する分に関しても、補償を求める考えだ。

 三菱自の「eKワゴン」はガソリン1リットル当たりの走行距離が最高30.4キロで、ガソリン車で最高クラスのエコカーに区分された。ただ、この燃費性能は不正データで5~10%良く見せたものと判明。これまでのエコカー区分から外れれば、減税された分の返納が求められる。

 三菱自の試算によると、これまで全額免除されていた自動車取得税を3900円、自動車重量税を1800円、それぞれ追加負担しなければならない。軽自動車税も2700円増加する。減税分の返納は計数十億円になるという。

三菱自動車 25年間にわたる不正

軽自動車の燃費データ改ざん問題について、三菱自動車が調査を進めたところ、新たな不正が明らかになりました。この問題は、軽自動車4車種について、走る際のタイヤや風の抵抗などを測定した「走行抵抗」のデータを三菱自動車が改ざんしていたものです。燃費がよくなるように、抵抗の小さいデータを意図的に選んでいました。三菱自動車が詳しく調べたところ、日本では、走行抵抗のデータは「惰行法」という方法で測定するよう国が定めているのに対し、三菱自動車はアメリカで採用されている「高速惰行法」という方法を、25年間にわたって採用していました。この方法が使われた車は、現在も国内で販売されているということですが、三菱自動車は車種名についてきょうの時点では明らかにしませんでした。またすでに明らかになった軽自動車4車種の不正についても、1つの車種だけでデータを測定し、それを流用していたことがわかりました。

25年前から規定無視=社長「知らなかった」―燃費目標上方修正繰り返す・三菱自

 三菱自動車は26日、燃費不正問題に関する社内調査の状況を国土交通省に報告し、公表した。国の規定と異なる方法で燃費試験データを収集する法令違反を、25年前の1991年から行っていたことを明らかにした。記者会見した相川哲郎社長は「知らなかった」と釈明したが、2000年に発覚したリコール(回収・無償修理)隠しで社会的な批判を浴びても違反を続け、自浄作用が働かなかった同社の企業体質が厳しく問われることになる。

 法令に違反して燃費試験データを収集した対象車種は「調査中」と説明するにとどめたが、数十車種、数百万台規模に上る可能性がある。国交省は5月11日までに再度報告するよう求めた。

 道路運送車両法は91年に走行抵抗の測定法を指定したが、三菱自はこれとは違う従来方法を継続。07年には社内の試験マニュアルだけ法令に沿った測定法に改定し、実行していなかった。

 今回の報告では、燃費目標達成のため不正が行われた軽自動車「eKワゴン」と日産自動車向け「デイズ」について、燃費の最も良いタイプの開発目標燃費を、社長以下の役員が出席する会議で5回上方修正していたことも明らかにした。

 11年2月の開発当初は、ガソリン1リットル当たりの走行可能距離26.4キロを目標に設定したが、ダイハツ工業の「ムーヴ」などとの競争を意識して上方修正を繰り返し、13年2月に最終目標を29.2キロに引き上げた。同社の中尾龍吾副社長は記者会見で「結果から見れば社員にプレッシャーがかかった」と述べた。

三菱重社長「本当に残念」 三菱自への支援は「ブランドの影響など考え対応」

三菱重工業の宮永俊一社長は25日、東京都内で記者会見し、三菱自動車の支援について「三菱自が問題を調査中なので、現段階で判断できない」と述べた。その上で「第三者委員会の調査を踏まえ、三菱グループのブランドや社会的な責任、当社への業績への影響を総合的に考えて対応したい」と語った。

 宮永社長は「(2000年と04年の)リコール隠し問題を受けて、(三菱自は)透明な情報開示やさまざまな組織改革に取り組んできた。その中で、このようなことが起きたのは本当に残念だ」と述べた。

 三菱重工は、リコール隠し問題や独ダイムラー・クライスラー(当時)の支援打ち切りを受けて、05年に三菱商事や東京三菱銀行(現在は三菱東京UFJ銀行)とともに三菱自の経営再建を支援し、当時の西岡喬会長が三菱自会長を兼務した。現在も三菱自の筆頭株主で、宮永社長は社外取締役を務めている。

 三菱自は16年度が中期経営計画の最終年度となり、三菱重工と三菱商事、三菱東京UFJ銀の3社は今後の支援のあり方について今年度中に検討する予定だった。

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三菱自の客離れ深刻、1日当たりの新車受注半減

三菱自動車が軽乗用車の燃費を偽装していた問題で、同社の相川哲郎社長は27日に都内の本社で開いた決算発表記者会見で、「1日当たりの(新車の)受注台数が半減している」と述べた。

 燃費偽装が発覚した20日以降、販売が急速に落ち込んでいることを明らかにした。企業イメージの悪化で深刻な客離れが進んでいる。

 偽装問題を受け、三菱自の「eKワゴン」や日産自動車に供給している「デイズ」など4車種の生産と販売が中止されている。三菱自の国内販売の半分以上は軽が占めており、主力車を売れない状態が長引けば、業績にも影響しそうだ。

 三菱自は、燃費偽装があった4車種の購入客らに、ガソリン代などの補償を行う方針だ。生産停止で打撃を受ける部品会社への支援や、軽を供給した日産への補償なども課題になる。だが、会見した田畑豊常務は、「どれくらいの影響があるか予測が難しい」と話した。

三菱自の燃費不正、見劣る開発費が引き金か 経営危機で削減、トヨタの1割以下

三菱自動車の燃費データ不正問題で、三菱自は26日、燃費の基準になる走行抵抗の測定法について、20年以上にわたって法令と異なる方法を使用していたことを明らかにした。今後、調査委員会が原因を究明するが、三菱自は開発費が他社より少なく、開発部門が不正に至る要因になったのではないかとの見方は少なくない。

 「(車両の開発時間短縮が目的の)可能性があると思う」

 中尾龍吾副社長は26日の会見で、法令と異なる方法を使い続けていた理由について、こう説明した。

 自動車メーカーは新型車を投入する際、各国の法令に基づいた方法で燃費などを測定する必要がある。三菱自が使用していたのは米国で使われている方法だったが、日本や欧州、新興国でも展開が求められる中、開発の効率化を狙って採用を続けていた可能性がある。

 自動車各社は技術開発に巨額の投資が必要だ。各国で規制が強化される中、燃費や排ガスなどの厳しい基準をクリアし、ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)なども開発しなくてはならない。今後は自動運転技術も不可欠になる。

 ただ、2000、04年と相次いだリコール(回収・無償修理)隠しで経営危機に陥った三菱自は、三菱商事などグループの支援を受け、再建に取り組んできた。その過程で、「開発費や人員が抑えられてきた」(関係者)側面がある。15年度の国内8社の研究開発費見通しでも、トヨタ自動車が1兆円、ホンダや日産自動車も5000億円以上。富士重工業は1015億円で、販売台数は同じ100万台規模でも三菱自は820億円と見劣りしている。

 業界での生き残りには事業の“選択と集中”が必要で、三菱自も12年の欧州、15年の米国での自動車生産の撤退など、投資の効率化を進めてきた。ただ、富士重が12年に軽自動車の自社生産から撤退する一方で、三菱自は日産と提携することで軽事業を維持。結果的にピックアップトラックから軽まで手がける。富士重はトヨタからHV技術の提供を受けているが、三菱自はEVなど電動化技術を自前で開発している。

 他メーカーからは「すべて自社でまかなうには企業規模が小さい」との声も漏れる。今回の不正で、その限界が露呈した可能性があり、今後、事業の選択や再編を迫られる恐れがある。

三菱自に国交省立ち入り、不正手法など検査

 三菱自動車が軽自動車の燃費データを偽装していた問題で、国土交通省は21日、前日に続いて同社名古屋製作所・技術センター(愛知県岡崎市)に、道路運送車両法に基づく立ち入り検査を行った。

 データを意図的に操作した手法や人数、期間などを調べ、行政処分を検討する。

 燃費を実際より良く見せかける不正が行われていたのは、三菱自が2013年6月から生産・販売している「eKワゴン」「eKスペース」、日産自動車向けに生産している「デイズ」「デイズルークス」で、計4車種62万5000台。走行時の抵抗の強さなどを示すデータを意図的に低く設定していた。

 少なくとも02年から、国が定めた方法とは異なる方法で抵抗値を測定しており、対象車種は約10車種に上ることも判明している。三菱自は「明らかに法令違反の状態だった。今は通常の測定方法に戻している」と説明している。問題となった4車種以外でも意図的な不正が行われていたかどうかが今後の焦点となる。

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三菱車、国が走行試験 正しい燃費値、6月にも公表

三菱自動車の燃費偽装問題で、国土交通省は28日、燃費試験データ改ざんがあった軽自動車4車種を含め、現在販売中の同社製全13車種について、国自ら走行試験で必要なデータを測定し、燃費試験をやり直すと発表した。4車種の正しい燃費値は6月中にも公表する方針だ。

 燃費性能に影響を与えるタイヤと路面の摩擦による抵抗や空気抵抗の値は、メーカーが走行試験で測り、燃費試験を行う国交省の外郭団体「自動車技術総合機構」に報告する仕組みだ。

 しかし今回、三菱自が「eKワゴン」など4車種で、燃費値が実際よりも良くなるよう走行試験結果を改ざんして報告したことや、4車種を含む多くの車種で長年にわたり違法な方法で測定していたことがわかった。

 国自らが走行試験を行うのは極めて異例。石井啓一国交相は28日午前の会見で、「メーカーから出された走行抵抗値を信頼してきたが、三菱自はその信頼を損ねた。国自らがしっかりと測定することにした」と説明。三菱自の不正行為については「国の自動車審査の信頼性を根本から損なうもので、断じて許すことができない」と強く非難した。

 4車種については、同機構が5月2日から走行試験を始める。得られたデータを基に、台上で燃費と排ガスの測定試験をやり直し、6月中にも正しい燃費値を公表する。他の9車種も引き続いて試験をやり直す。

三菱自、「御三家」からの支援不透明 不正の影響読めず

燃費を偽る不正が発覚した三菱自動車は27日、2017年3月期決算の業績見通しの公表を見送った。生産や販売が大きく落ち込むことは確実だが、業績にどこまで深刻な影響が出るかまだ見通せないためだ。かつての経営不振時のように三菱グループ挙げての支援が実現するかどうかも不透明だ。

  • 三菱自動車の燃費偽装問題

 「非常に厳しく受け止めている。申し訳なく、わびるしかない」。三菱自の相川哲郎社長は27日、16年3月期決算を発表した会見の席で、国内販売店での1日あたりの受注台数が偽装発覚前に比べて半減したことを明らかにした。

 偽装の影響がない16年3月期決算は、営業利益が1・8%増の1384億円と過去最高益を更新。米国工場の閉鎖による損失などで純利益は24・6%減の891億円だったが、ここ数年の業績回復を受け、03年3月末に約1兆600億円あった有利子負債は、16年3月末には271億円まで減った。

 危機から完全に脱したかに見えた矢先の燃費偽装発覚で、三菱自の経営の先行きは見えなくなっている。上場企業は決算発表時に次の期の業績見通しを公表するのが通例だが、この日は「顧客への補償などの確定が先になる」(相川社長)として、公表を見送った。

 田畑豊常務は、16年3月期に約4600億円ある現預金をユーザーらへの補償に充てる考えを示したが、実際にいくらかかるかは明らかにしていない。偽装が判明した「eKワゴン」など軽4車種以外でも不正がなかったかどうかの調査が行われるほか、米国で売っている三菱車について米当局が燃費試験を命じるなど、海外でも疑念の目が向けられ始めている。

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