熊本益城町で震度7=倒壊10棟以上、負傷者12人―火災も、強い余震続く

熊本益城町で震度7=倒壊10棟以上、負傷者12人―火災も、強い余震続く

14日午後9時26分ごろ、九州地方を震源とする地震があり、熊本県益城町で震度7の揺れを観測した。

 気象庁によると、震源の深さは約10キロ、地震の規模(マグニチュード)は6.4と推定される。警察庁によると、この地震で12人が負傷した。震度7の揺れが記録されたのは2011年3月の東日本大震災以来。

 午後10時すぎには、熊本地方を震源とする余震とみられる震度6弱の揺れを観測した。熊本県知事は陸上自衛隊に災害派遣を要請した。

 熊本県警などによると、益城町で10軒以上の家屋が倒壊し、女性1人ががれきの下敷きになり、意識不明の重体。火災が1件発生しているとの情報があり、被害状況の確認を急いでいる。警察庁によると、益城町に被害が集中し倒壊家屋に5人が下敷きになっているとの110番があった。

 政府は首相官邸の危機管理センターに官邸対策室を設置し、情報収集を進めている。菅義偉官房長官は緊急の記者会見し「被害状況の全容把握に努めている。複数の家屋が倒壊しているとの情報がある。原子力施設については被害の情報は入っていない」と述べた。

 九州電力によると、佐賀県の玄海原発に異常はない。鹿児島県の川内原発は運転を続けている。

 JR九州によると、九州新幹線は博多―鹿児島中央駅の全線で運転を見合わせている。

 主な各地の震度は次の通り。

 震度7=熊本県益城町
 震度6弱=熊本市、熊本県玉名市、宇城市、西原村
 震度5強=熊本県菊池市
 震度5弱=宮崎県椎葉村。

「突き上げる揺れ」=本棚倒れ、書類散乱-熊本

「最初に『ドーン』と突き上げるような揺れがあり、30秒くらい続いた」。震度6弱を記録した熊本県宇城市の非常勤職員河野武義さん(62)は、当時の状況を生々しく語った。

 当直勤務中だった河野さんによると、庁舎の窓ガラスは次々と割れ、壁のタイルも剥がれて落下。棚が倒れて書類やファイルが床に散乱し、パソコンも横倒しになった。約20人の職員がおり、情報収集に追われたという。
 震度6弱だった西原村の係長米口三喜男さん(53)は、役場の中で揺れを感じた。「今まで体験したことのない激しい揺れだった。グラグラと揺れるような感じで、机から書類やパソコンが落ちた」。家屋の一部が倒壊したとの情報があり、職員が現場で避難誘導や通行規制に当たるなど対応に追われているという。
 同じく震度6弱だった玉名市の防災担当の男性職員は、グラウンドで消防団の訓練中だった。「強い揺れがグラグラと5秒くらい続き、その後また余震が来た。棚から物が落ちるなどはないが、初めての経験なのでパニック状態。職員が続々と登庁している」と話した。
 震度5強だった御船町の上益城消防組合消防本部の男性職員によると、ゆっくりとした揺れがだんだん強くなり、1分近く続いた。「転倒して頭にけがをした」などの通報が複数寄せられたという。

熊本の断層帯に関連か=名古屋大の田所准教授

熊本県益城町で最大震度7を観測した地震について、名古屋大地震火山研究センターの田所敬一准教授は14日夜、「布田川(ふたがわ)、日奈久(ひなぐ)断層帯に関連があるのではないか」との見方を示した。田所准教授は「今後1週間程度は震度5強ぐらいの余震に注意が必要」と話した。

 気象庁の観測では、14日午後9時26分ごろの地震は震源の深さが11キロで、地震の規模(マグニチュード)が6.5。震度7は益城町のみで、「地盤の揺れやすさが関係した可能性がある」という。
 政府の地震調査研究推進本部によると、布田川断層帯は熊本県の南阿蘇村から益城町付近を経て宇土半島の先端に至り、長さは64キロ以上とみられる。一方、日奈久断層帯は益城町付近から八代海南部に至り、長さは約81キロとみられる。
 布田川断層帯全体が活動した場合の地震の規模はM7.5~7.8程度、日奈久断層帯全体が活動した場合はM7.7~8.0程度と推定されていた。

〔九州電力〕熊本県の約16500軒で停電(15日00時20分現在)

九州電力によると、15日00:20現在、熊本県の約16500軒で停電が発生しています。現在、復旧作業が行われています。

■影響地域
熊本県:約16500軒(熊本市中央区、熊本市東区、熊本市南区、上益城郡御船町、上益城郡嘉島町、上益城郡益城町、上益城郡甲佐町)

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熊本地震「2つに割れたマンションは建築ミスではない」一級建築士は語る

4月14日、最大震度7の地震が熊本を襲った。その後、マンションが真っ二つに割れている画像が、Twitterで3万件を超えるリツイートを記録している。このマンションは、建築ミスだったのか。

マンションに亀裂が入る、衝撃的な画像だ。テレビ局も一斉に報じた。この現象は、地震に対するマンションの脆弱さを示すものなのか。

「建物が弱いから、ヒビが入っているのではありません」

そう話すのは、建築設計事務所勤務の一級建築士だ。

「エキスパンションジョイント」という構造で、建物が巨大だったり、重さがあったり、形がいびつな場合、建物を複数に分割し揺れに強くするのだという。

「エキスパンションジョイントには、壊れることで衝撃を吸収するもの、吸収した後に元に戻るものとありますが、写真を見る限り、ちゃんと機能を果たしたことは間違いないと思います。これを見て設計ミスや施工ミスというのは、おかしいですね」

衝撃的な写真は、「ちゃんとした建築」ゆえに生まれたものだった。

活断層近くに被害集中 益城町上空から専門家分析

地震から一夜が明けた15日、震度7を観測した熊本県益城町の上空を朝日新聞社ヘリ「はつどり」で飛んだ。

 被害が目立つのは、町役場周辺の住宅街。屋根が崩れ落ち、つぶれた家屋が至る所に見られた。駐車場や田畑には、所々に地割れがあり、空き地に広げたブルーシートの上に住民が集まっていた。

 同乗した杉戸信彦・法政大准教授(変動地形学)によると、被害が目立つ地域は台地上で、地盤は比較的安定しているという。2キロほど南の山際には、活断層の布田川(ふたがわ)断層帯が走っている。今回の地震はこの断層帯と、その南の日奈久(ひなぐ)断層帯が交わる付近で起きた。

 被害が集中する理由について「活断層に近く、局所的に強い揺れが襲ったと考えられる」と話した。

 付近の九州自動車道も大きな亀裂が走り、陥没している。側壁が崩れ落ち、止まったままの車もあった。川沿いの畑には、うっすらと水が浮き上がっており、強い揺れによって起きた液状化現象ではないかと杉戸准教授は指摘する。

 益城町の西の熊本市に移動すると、熊本城の天守閣の瓦がはがれ落ち、本丸の土台が崩れて赤茶けた土がむき出しになっていた。(北林晃治)

 防災科学技術研究所は15日未明、熊本地震で全壊した建物の分布の推定マップを公開した。被害が特に多い地域は、布田川断層帯の北側の益城町の住宅地で、北東から南西へ帯状に広がっていると推定された。

 地震計と地盤のデータから揺れの大きさを推定し、木造や鉄筋コンクリートなど建物の種類や建築年、棟数の情報と合わせ、全壊した建物の数を算出した。まだ開発中のプログラムで最も被害が多い計算式を使ったため、棟数よりも被害の傾向をとらえるのに利用してもらいたいという。

「再開見通しは立っていない」 地震・九州の大動脈寸断 新幹線、自動車道

九州自動車道が通行止めとなり、九州新幹線も全線運休となった。九州を南北に貫く二つの“大動脈”が寸断された。地震から1夜明けた15日、市民の生活に混乱が広がった。運輸安全委員会は脱線した新幹線付近に到着。調査を始める。

 九州新幹線はJR熊本駅から熊本総合車両所に向かう回送列車が脱線し、「再開見通しは立っていない」(JR九州)。JR博多駅の窓口では同日朝、切符のキャンセルや問い合わせが相次いだ。熊本県上天草市の男性(63)は14日夜、新幹線で福岡から自宅に戻ろうとした直後に地震に遭い、急きょ近くのホテルに泊まったが、15日も自宅に帰れる見通しは立たない。

 九州自動車道では南関インターチェンジ(IC)-えびのIC間の通行止めで高速バスの運休が相次いだ。福岡市・天神の西鉄天神高速バスターミナルには熊本への行き方を探す人の姿が見られた。単身赴任で福岡市中央区在住の会社員(58)は「熊本市に1人で暮らす妻が心配」と焦りをにじませた。

 青果卸売業で九州最大の福岡大同青果(福岡市)は15日分の出荷を前夜までに終え混乱はなかったが、高速道路が使えないため16日以降の出荷に影響が出る可能性があるという。

「お母さん、なんで死ぬとね」 夜通し救出、はばむ余震

暗闇の中、民家が光に照らされ、重機の音が響く。震度7を観測し、被害が特に大きい益城(ましき)町では、警察や消防、自衛隊による懸命の救出作業が進められた。

 同町安永の木造2階建て民家。地元消防によると、地震発生直後、1階がつぶれ、寝室で母親と寝ていた生後8カ月の女児が閉じ込められた。たびたび襲ってくる余震のため、救出作業は難航したという。

 15日午前3時45分ごろ、民家から女児が救出された。毛布にくるまれ、救急隊員の腕の中に、しっかりと抱きかかえられている。

 「やったー」「よかったー」。周囲の消防隊員らから拍手と歓声が上がった。

 消防によると、母親は自力で脱出できたものの、女児が屋内に取り残された。このため、屋根にドリルで穴を開け、そこから入った隊員が手作業で障害物を取り除いた。5分ほど作業をしては家屋の外に出て、余震がこないか様子を見ては再び作業を始める、という繰り返しだったという。

 女児が救出されたのは、地震発生から約6時間後。はりなどの隙間でできた空間にいたため、頭部の打撲がある以外は目立ったけがはなく、命に別条はないという。

■数十人態勢で

 「お母さん――」。同町馬水では午前0時過ぎ、2階建て住宅の前で若い女性が叫び続けていた。閉じ込められた50代の母親を助けようと、消防隊員数人が家屋にはしごをかけるなどしたが、救出作業は難航しているようだった。

 1時間近くたって機材が到着。自衛隊や警察も集まり、数十人態勢で救出にあたった。

 やがて、女性が泣き叫ぶ声が響いた。

 「お母さん、置いていかんでよ。なんで死ぬとね。なんでお母さんだけ……」

 午前4時過ぎ、母親は運び出された。

 同町寺迫では、逃げ遅れ、倒壊した木造家屋に閉じ込められた一人暮らしの高齢女性を救出するため、警察官らが救助活動を続けた。光で照らされた一軒家を、近所の人たちが心配そうに見つめる。余震の度に笛が吹かれ、作業は中断した。重機が家屋のがれきを運び出した。

 救助隊はチェーンソーで家屋の柱などを切っていった。高齢女性とみられる住民が冷たくなって見つかったのは午前5時すぎだった。

熊本大地震 脱線した九州新幹線、全線で終日運休決定

熊本県で震度7を観測した地震で、JR各社によると、14日に回送列車が脱線した九州新幹線は、全線で終日運休を決定し、復旧のめどは立っていないという。
山陽新幹線は、九州新幹線との直通運転を取りやめ、一部のダイヤを変更して、始発から、新大阪 - 博多間で運転しているという。
一方、道路では、九州自動車道などが、一部の区間で通行止めとなっていて、九州自動車道の益城熊本空港インターチェンジから、嘉島ジャンクションの間で、トラック1台が、路肩の陥没部分にはまる事故があったが、運転手は無事だという。

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熊本地震 再度襲った震度6強 「離れて! 危ないから!」悲鳴あふれる熊本市街

14日夜に最大震度7の地震に襲われた熊本県では16日午前1時25分ごろ、熊本市や阿蘇で最大震度6強の地震に見舞われた。

 熊本市中央区のホテルで休んでいた記者は、突然ダッダッダッという地鳴りを聞いた後、すさまじい揺れに襲われ、部屋にあったテレビや、ハンガーに掛けていた衣服が次々と落ち、記者を乗せたベッドは部屋の反対側まで滑っていった。

 外に出ると、ホテルや飲食店から飛び出した人があふれる一方、停電のため真っ暗な状態。その後も数分に1回程度、地鳴りとともに強い揺れが訪れ、シャッターや窓ががたがた音を立てると悲鳴が響き渡った。

 熊本の繁華街のアーケードでは、最初の揺れの際、金属が激しくきしむような異音がした直後、アーケードが激しくゆさぶられた。警備員が「離れて! 危ないから!」と大声をあげ、通行人らを誘導していた。

〔熊本震度7〕鉄道:九州新幹線 明日も見合わせ(15日22時現在)

熊本県熊本地方を震源とする地震の影響で運転を見合わせている九州新幹線は、明日16日も運転を見合わせ、在来線の博多~熊本駅間で臨時列車を運転する予定です。
なお、15日に終日運転見合わせが決定しているJR在来線は、始発から運転を行う予定ですが、余震や点検等により遅れや運休が発生する可能性があるとしています。

熊本震度7 NHKのたどたどしい中継に非難の書き込み相次ぐ

熊本県内で震度7を観測した地震の発生を受け、14日の深夜、在京のテレビ各局も地震報道で特別態勢を敷いた。なかでも全国に充実した人員を配置するNHKは現地中継を頻繁に放映したが、ネットなどではその出来が酷評されている。

 午後10時半ごろに益城町役場前からの中継は、記者のりきんだ声での状況説明で始まったが、映像に映る行政関係者らの大きな声にかき消され、さらにその様子を解説するNHKの東京のアナウンサーの声が三重にかぶさる始末。

 その後も、放送とは無関係に現地からのたどたどしいリポートが重なり非常に聞きづらい三重奏が続いた。

 間を置いて行われた、同じ記者による益城町役場前でのリポートでは、いきなり被災者に近づき、「すいません、ちょっとNHKですがお話伺ってもよろしいでしょうか」と子連れの被災者に突撃するシーンも。

被災者をねぎらう言葉もないままに「どのような揺れでしたでしょうか」という唐突な質問に、被災者も苦笑しながら、「いや、すごい、すごいゆれだったです」と返答。

 さあ、打ち解けてこれからとも思えたが、記者は答えに満足したのか、「ありがとうございます」と早々と質問を切り上げてしまった。

 熊本市内の飲食店が立ち並ぶ市街からの、別の記者による中継も放映されたが、たどたどしい映像説明に終始。ネットの掲示板には、画面に表示された熊本放送局の記者2人を応援するスレッドが立てられ、「新人かと疑う」「職業体験してる小学生みたいな出来だ」などと手厳しいコメントが相次いだ。

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〔地震〕熊本県八代市・宇城市・氷川町で震度5弱、津波の心配なし

気象庁によると、19日20:47頃、熊本県熊本地方を震源とするM4.9の地震があり、熊本県八代市・宇城市・氷川町で震度5弱の揺れを観測しました。
この地震による津波の心配はありません。

■発生事象
発生日時 :4月19日20:47頃
震源地  :熊本県熊本地方(北緯32.6度、東経130.7度)
震源の深さ:約10km
地震の規模:M4.9(推定)

■震度3以上が観測された地域
震度5弱:熊本県熊本
震度4:熊本県天草・芦北
震度3:長崎県島原半島、熊本県球磨、宮崎県北部山沿い

■震度4以上が観測された市町村
【震度5弱】
熊本県:八代市、宇城市、氷川町
【震度4】
熊本県:玉名市、宇土市、益城町、熊本市南区、上天草市

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関連死11人、死者59人に=九州新幹線は一部再開―熊本地震、不明者捜索続く

熊本県を中心に相次いでいる地震で、県は20日、避難生活中に死亡した震災関連死とみられるケースなどがこれまでに11人に上ると発表した。

 自衛隊などは、大規模な土砂崩れが起きた同県南阿蘇村で行方不明者の捜索を続け、同日午前に男性1人を発見、その後死亡が確認された。地震による死者は関連死も含め計59人。村では依然2人が行方不明となっている。

 県によると、自治体別の関連死などの数は、熊本市7人、益城町2人、阿蘇市と御船町で各1人。自宅の倒壊を恐れて車で生活する人も多いことから、エコノミークラス症候群による死者も出ている。

 一方で、運転を見合わせていた九州新幹線は20日の始発から、新水俣―鹿児島中央間で本数を減らして運転を再開した。ただ、JR熊本駅近くで脱線した回送列車の撤去作業が続いているため、博多―新水俣間は再開のめどが立っていない。

 路面の陥没など大きな被害を受けた九州自動車道は、植木―八代インターチェンジ間が通行止め。大分自動車道も土砂崩れのため一部通行不能が続いている。熊本空港もターミナルビルの損傷などにより、国内線は通常の7割程度の運航となっている。

 九州電力によると、熊本県内の停電は20日午後7時10分、崖崩れや道路の損壊などで被害を受けた箇所を除いて、復旧した。

熊本地震から1週間 被害全容徐々に判明、なお続く余震

熊本県で震度7を最初に観測した地震から21日で1週間。16日未明には、阪神大震災(1995年)級の「本震」も起き、死傷者数は一気に増え、家屋などへの被害もさらに広がった。その後も強い余震が続いており、不安な日々が続く。


■被災者 熊本県内、重軽傷1000人

 14日の前震では、熊本県益城(ましき)町を中心に9人が死亡、九州で計1千人超が負傷した。16日未明の本震で死者は増え、20日午後6時現在、計48人に。死因は家屋倒壊による圧死や窒息が多い。熊本県内では、安否不明者は2人。重傷者は計210人、軽傷者は計885人など合わせて1千人超。

 熊本県の発表では、災害関連死の可能性がある死者も11人いた。熊本市が7人と最も多く、車中泊により肺塞栓(そくせん)症(エコノミークラス症候群)で死亡した人も含まれる。

 県内の建物の被害は20日午後6時現在、全壊1454棟、半壊1324棟に上る。益城町役場と、宇土(うと)、八代(やつしろ)両市役所は崩壊の恐れがあり使えなくなった。

 避難者数は、前震後は約4万4千人で、15日にいったん減ったが、本震を受け急増。17日午前9時半には熊本県内で18万人を超えた。20日午後1時半現在、約9万2千人が避難生活を余儀なくされている。相次ぐ余震への恐れから、車中泊を続ける避難者も多い。

 20日午後7時までに震度1以上を観測した地震は707回、このうち震度4以上が90回に上る。

■ライフライン 断水なお9万戸以上

 電気や水道、ガスにも大きな影響が出た。

 16日の本震後、熊本県内だけで一時、18万戸以上が停電した。大規模な土砂崩れで阿蘇市などへの送電線が使用できなくなり、復旧に時間がかかった。九州電力は20日、最後まで残っていた阿蘇市と南阿蘇村の計約2700戸の復旧作業にあたり、全て復旧した。

 水道は、配水管が破損したり、地下水が濁って飲料水に適さなくなったりしたため、最大で39万戸が断水した。九州各県の自治体や自衛隊、海上保安部などが給水車で、給水支援をしている。被害の激しい熊本市や宇城(うき)市、益城町などで少なくとも約9万8400戸が断水したままだ(20日午後3時現在)。

 西部ガスは本震後、火災などの二次被害を防止するため、熊本市や益城町など2市5町の計約10万5千戸への供給を止めた。20日正午までに東京ガスや大阪ガスなど全国から1200人が応援に入って復旧作業を始め、計488戸のガス栓を開いた。完全復旧の見通しは立っていない。

■観光・文化施設 温泉地、連休前に打撃

 14日の前震では、瓦が落ちた程度だった熊本城(熊本市)だが、16日未明の本震により、東側の東十八間櫓(やぐら)と北十八間櫓(いずれも国指定重要文化財)が土台の石垣ごと崩れ落ちた。17世紀に加藤清正が築城した当時から残る櫓だった。

 熊本県阿蘇市の阿蘇神社も16日の本震で、国の重要文化財に指定されている2階建ての楼門が倒壊。拝殿も全壊した。

 全国有数の温泉地を抱える熊本・大分両県。本来なら多くの観光客でにぎわうはずの大型連休を前に、宿泊施設の休業や宿泊客のキャンセルが相次ぐ。

 阿蘇市にほど近い黒川温泉の黒川荘(南小国町)は客室に被害はないが、温泉が使えなくなり、2千人以上の宿泊を断らざるを得なかった。5月いっぱいは営業できないという。

 大分県由布市によると、由布院温泉は被害のない旅館が多いが、地震直後に大量にキャンセルが出た。由布院温泉旅館組合は、被害を受けた旅館も大型連休に向けて急ピッチで準備を進めている、と説明している。

■交通 新幹線脱線、高速不通

 鉄道や道路にも甚大な被害が出ている。

 九州新幹線は前震で、JR熊本駅近くに向かっていた回送列車(6両編成)が脱線。JR九州は18日、車両を線路に戻す作業を始めた。国土交通省によると、九州新幹線の線路周辺の防音壁など約150カ所で破損が確認された。

 20日には新水俣―鹿児島中央間の運転を再開した。ただ博多―新水俣間は全線で運転を見合わせており、在来線は一部区間で終日運転を見送っている。

 熊本空港は、本震で空港ターミナルビルの天井板が落下するなどの被害が出たため、閉鎖された。19日に民間旅客機の一部の運航が始まり、空港ビルも部分的に再開された。

 高速道路は熊本、大分両県を中心に、道路が陥没したり、のり面が崩落したりしており、熊本県甲佐町では跨道(こどう)橋が九州道上に崩れ落ちた。20日午後5時現在、九州、大分の両自動車道と九州中央自動車道の4区間が全線通行止めになっている。一般道も各地で寸断され阿蘇大橋は崩落した。

NHK 地震報道で「訴えるアナウンス」意識 東日本大震災の反省生かす

NHKが20日、局内で放送総局長会見を開いた。大きな被害が生じている熊本地震の報道について、板野裕爾放送総局長は、東日本大震災の教訓を生かし、アナウンサーが気象庁や各自治体からの発表をそのまま読むだけではなく、視聴者に訴えるように語りかけることを心がけていると説明した。

 NHKでは、東日本大震災の震災報道をきっかけに、アナウンスについて見直しをした。板野放送総局長は「津波が来るということについてきちんと警告を出すべきだったのではないか。強い調子で避難をするよう求めるべきだったのではないか。気象庁の発表する原稿を伝えるだけではなくて、もっと見ている人、聞いている人に訴える放送をやるべきではないか」といった反省点があったとし、今回の熊本地震でもその点を念頭に置いたと説明した。

 例えば熊本市出身の武田真一アナウンサーは16日に放送したNHKスペシャル「緊急報告 熊本地震 震度7 活断層の脅威」の最後に、「力を合わせて、この夜を乗り切りましょう。この災害を乗り越えましょう」と感情を込めて呼びかけた。これ以外にも「避難所でお互いに助け合ってほしい」「エコノミークラス症候群にかかっている人がいるかもしれない」といった一歩踏み込んで注意を促しているという。

 板野放送総局長は「東日本大震災の経験に基づいています。工夫を凝らしてやっていると聞いています」とした。

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