渋滞列に次々追突…爆発音すぐに黒煙 広島トンネル事故
トンネル内で突然上がった炎と煙。逃げ惑うドライバーたち……。広島県東広島市の山陽自動車道で17日に起きた多重事故では12台が絡み、介護職員の女性ら2人が亡くなった。負傷者が67人にも上った惨事はなぜ起きたのか。
関西と九州方面を結ぶ大動脈として物流や通勤に使われる山陽道。会社員の女性(39)は午前7時すぎ、広島県東部の三原市から広島市方面へ軽乗用車を走らせていた。「速度落とせ 渋滞中」。下り線の八本松トンネル(全長844メートル)の手前に設置された電光板に表示されていた。
女性の車が2車線のトンネルに入ると、ハザードランプをつけた車が左車線に停止していた。その後ろに車を止めた女性がバックミラーを見ると、数台を挟んで後ろにいたトラックがどんどん近づいてきた。「バーン」「ガシャーン」。クラクションが鳴り響いたあと、追突の激しい衝撃が女性を襲った。
女性の車は右車線にはね飛ばされ、横転した。女性は割れた窓ガラスからはい出るようにして外へ。誰かから「大丈夫か」と声をかけられ、「(自分は)生きてる」と思ったという。
周りには同じようにはね飛ばされた4~5台の車。後ろから走ってきたトラックの前部と追突されたらしい車の後部付近から炎が上がり、トンネル内に煙が充満し始めた。「とにかく、ここから離れなきゃ」。手や足に傷を負っていた女性は事故時や保守点検の際に使われる「避難連絡坑」を通って上り線に出て、トンネルの出口をめざした。出口までの距離がどれほどあったか分からないという。
【山陽道トンネル事故】運転手、必死に出口へ…「何とか逃げ切れた」「笹子の事故を思い出した」 ツイッター上などに書き込みも相次ぐ
広島県東広島市の山陽自動車道で17日朝、発生した多重衝突炎上事故。現場の八本松トンネル内は瞬く間に黒煙が充満し、運転手らは足元も満足に見通せない中で懸命に出口を目指した。「何とか逃げ切れた」「笹子の事故を思いだした」。ツイッター上などには事故への書き込みも相次いだ。
事故は、通勤ラッシュと重なる午前7時半ごろに発生。日中よりも通行量は多かったとみられる。最初に十数台の追突事故があり、5台が炎上した。トンネルは全長約850メートルだが、黒煙はすぐに充満し、出口からあふれた。
現場は山間部に位置している。「山火事かと思った」。黒煙が上がっているのを目撃した女性はツイッター上でつぶやいた。
現場に居合わせたとみられる男性は午前9時15分ごろに、映像とともに、ツイッターに事故の様子を書き込んだ。すぐ近くの西条インターチェンジから山陽道に入り、広島市内に向け走行していた最中に事故に遭遇したという。
「トラックがトンネルの中で事故して4台ぐらい巻き込んで爆発した」「ものすごい煙で出口まで500メートルぐらいあって足元も見えん真っ暗の中なんとか逃げ切れた」。男性は大勢の死傷者が出る大惨事だと直感したとしている。
地元消防や総務省消防庁によると、事故で2人が死亡、少なくとも70人が負傷した。トンネル近くにある施設では避難者が座り込む姿がみられた。現場近くの東広島医療センターには、治療の優先順位を決めるトリアージ用の黄や緑色のタグが付けられたけが人が次々と運び込まれ、病院スタッフが対応に追われた。
「笹子トンネルの事故を思いだしてしまう」。ツイッター上では、騒然とした様子に不安の声も上がり、友人や知人らの安否を気遣う書き込みが相次いだ。
