<旭化成建材>データ改ざん、横行…親会社も責任認める
建物のくい打ち施工データの改ざんは、旭化成建材社内で横行していた。2日、東京都内で記者会見した同社と親会社の旭化成幹部は「会社で多くの人がそういうことをする環境にあったことを認める」と述べ、苦渋の表情を浮かべた。「上司の関与も不十分だった」。社内調査委員長の平居正仁・旭化成副社長はうなだれ、管理責任を認めた。
200人以上の報道陣が詰めかけた会見会場。午後4時ごろ、硬い表情の平居副社長ら幹部4人が姿を見せた。相次ぐ不正の発覚や国交省の立ち入り検査に「申し訳ない。厳粛に受け止める」と頭を下げた。会見中、「緊張しておりまして……」とつぶやいた平居副社長。不正があった19件のくいの本数を問われると「手元にございません」と言葉に詰まった。
報道陣から「会社ぐるみではないか」との質問も出たが、平居副社長は「上司の関与具合などは調査中で言う段階にない」と釈明。一方「不正が見逃されていたことは非常に恥ずかしい。記録のバックアップをとれない不十分な機械を使わせていたことなど我々の責任もある」と述べた。
旭化成建材が実施したくい打ちのうち、都筑区のマンションの一棟のくいは支持層(強固な地盤)に届かないなど不安定な状態だ。同社の前田富弘社長は10月16日にあった横浜市のマンションの住民説明会後、報道陣に「データの意図的な操作があったのではないか」と述べるなど、施工不良を隠ぺいした可能性を示唆していた。しかし、2日の会見では一転。平居副社長は「誤認した可能性や、報告書の体裁を整えるためだった可能性もある」と繰り返した。
今後、不正がどこまで広がるかが焦点になるが、工事の多重下請け構造が調査を難しくしている現実もある。「4次下請けで元請け業者がどこかも分からない場合や元請けが倒産している場合もある」という。3040件中、182件は元請けと連絡が取れていないといい、今後社員が出向いて調査を進める方針という。
マンション傾斜:データ改ざんの「なぜ」 社長の説明は
◇記者会見でずさんなデータ管理の実態に質問相次ぐ
日本有数の上場企業・旭化成の子会社、旭化成建材が起こしたマンションデータの改ざん。旭化成ブランドへの不信感は拡大しており、記者会見ではずさんなデータ管理の実態について質問が相次いだ。「今までの信頼に感謝し、今回のことを深く深く反省している」。旭化成の浅野敏雄社長は悔し涙を浮かべた。
なぜ、改ざんしたのか−−。旭化成によると、くいの施工データを改ざんしたとされる旭化成建材の契約社員は、体調を崩し休んだ間に代役を務めた同僚からデータを引き継げなかったり、データの記録用紙の紙切れに気づかなかったりしたことなどで一部のデータが取得できなかったと説明。工期終盤で報告書をまとめて作成したため、一部のデータを転用してしまったとも話しているという。
「支持層(強固な地盤)に届いていないという認識を持ってやった工事はない。不具合を隠すため転用したのではない」。社内調査で、契約社員は繰り返し、こう話しているという。
しかし、旭化成の幹部は「実際には傾いている。何らかの欠陥、不具合があったのではないか」と話す。
横浜市都筑区のマンションのくい打ち作業は2チームを投入。うち1チームについて、契約社員がリーダー役を務め、その下で旭化成建材の下請け企業の7人が作業に従事した。このチームが担当したくいに改ざんがあった。この点について、7人は契約社員と同様に、「支持層に当たった」と説明。ただ、旭化成の幹部は「その信ぴょう性を含め、まだまだわからない」と話し、調査が長期化する見通しを示唆した。
マンションの西棟では、8本のくいが支持層に届かないなど不安定な状態だった。8本の打ち込み作業は、工期の終盤に集中していた。工期に問題はなかったのか。旭化成は「普通のくい打ち工事の工期だった」と答えた。
旭化成はこの約10年にくい打ち作業を実施した約3000棟について、異常の有無を調査する方針だ。それ以前の分はどうなるのか。「既にデータが残っていない。同様の対応はできないが、不具合があれば対応したい」。幹部はそう釈明した。
全国に広がる不信と不安。旭化成が問題視する契約社員が工事に関与したのは何棟なのか。調査はどれほど進捗(しんちょく)しているのか。幹部は「現在、調査中ですのでお答えは控えたい」と繰り返した。
