「シーン認識システム」をデジタル一眼レフカメラ「D3」「D300」に搭載
世界初、色情報を利用し被写体の状況を認識し、より高精度なAF、AE、AWBを実現
2007年8月23日
株式会社ニコン(社長:苅谷 道郎)は、撮影前に被写体の色情報を利用して撮影シーンの解析を行い、デジタル一眼レフカメラのAF(オートフォーカス)、AE(自動露出)、AWB(オートホワイトバランス)の精度を向上させる「シーン認識システム」を開発しました。
「シーン認識システム」は、デジタル一眼レフカメラ「D3」「D300」に搭載する「1005分割RGBセンサー」から得られる被写体の色情報や輝度情報などから撮影前に被写体の状況を解析し、その結果をAF、AE、AWBの各制御に反映するものです。これにより、従来機種を上回る高精度な制御を実現しています。
これまで、「1005分割RGBセンサー」から得られる情報はAEに反映していましたが、今回の「D3」「D300」では「1005分割RGBセンサー」に回折格子を設けて、より正確に色情報が得ることで「シーン認識システム」を、AF、AWBに活用範囲を広げました。色情報を利用し得られた結果を、AF、AE、AWBに反映するシステムは、デジタル一眼レフカメラでは世界初となります。
画面内に人物が含まれるような撮影シーンでは、「シーン認識システム」が優先的に人物を認識して、人物にピントを合わせることをも可能にしています。
シーン認識システムを活用して以下の機能を実現
- オートフォーカスへの応用
- 被写体判別:空、背景、前景を抽出(背景判別)し、被写体である人物の肌の色を認識して人物部分を抽出(人物判別)します。そのため、画面内に複数の物体があるような撮影シーンでも、人物をカメラが認識して自動的にピントを合わせることができます。(オートエリアAFモード設定時)
被写体追尾:ユーザーが選択したフォーカスポイントで捕捉した被写体の色を検出し、この色情報をもとに被写体の画面内平面方向の動きを追尾して、被写体の動きに合わせて自動的にフォーカスポイントを移動させる「3D-トラッキング」モードを新たに搭載します。 - 露出コントロール、自動調光への応用
- ハイライト解析:画面内のハイライト部分をきめ細かく検出し、マルチパターン測光、i-TTL BL調光に応用します。これにより、再現すべき輝度範囲を演算し、より正確な露出制御を実現しています。
- オートホワイトバランスへの応用
- 一般的なデジタル一眼レフカメラのオートホワイトバランス機能は、撮影後カメラ内の画像処理で色調などを補正しています。「シーン認識システム」では、撮影する前に撮影シーンを解析し、撮影される画像の補正情報をあらかじめ取得します。さらに、撮影後の画像処理の補正データと合わせデータベースと参照することで、判断材料の精度が向上しオートホワイトバランスの補正結果が、これまで以上に向上しています。特に、室内競技、ステージ撮影など複雑な照明条件下でも適切に光源を判別し、良好な結果が得られます。
シーン認識システムのねらい
被写体の色調、被写体までの距離や画面内の位置、明るさ、光源の種類など、撮影に関連する多くの条件を正確に把握し、オートフォーカス、露出コントロール、オートホワイトバランスなどの向上に活用するのが「シーン認識システム」のねらいです。
ニコンは、1983年に一眼レフカメラ「FA」に撮影画面を5分割するセンサーを搭載して、複雑な光線状況でも正確な露出が可能な「マルチパターン測光」を実現しました。当時は、画面内の明るさの分布などの情報から、撮影シーンを分類して適正な露出を得ていました。この「マルチパターン測光」は、画面の分割数の増加、距離情報などの付加などで進歩を続け、1996年に発売した「F5」では、1005分割RGBセンサーを採用し撮影画面の色情報を得ることができるようになりました。今回の「D3」「D300」では回折格子を設けることで、さらに正確に色情報が得られ「シーン認識システム」は高度に進化しました。
当初、プロカメラマンなど上級者が、複雑な光線状況でも正確な露出を得る経験則や技を、カメラが代わって行う機能のために「シーン認識」という思想がスタートしました。現在では、はるかに人間の能力を超えた複雑なアルゴリズムや膨大なデータベースの活用により、極めて高度なシーン認識が可能となり、さまざまな撮影条件で美しいデジタル画像が得られるまでに進歩しました。これは、フィルムカメラ時代から続く、ニコンのカメラに関連した技術、画像解析技術などの長年の蓄積であり、他社にはない大きな特長となっています。
