LED信号機、県内で普及進む 全国初設置から20年、交換一度もなく

ノーベル賞:中村氏、物理学賞 LED信号機、県内で普及進む 全国初設置から20年、交換一度もなく /徳島

 徳島大と同大学院で学んだ中村修二・米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授(60)がノーベル物理学賞に選ばれて一夜明けた8日、県内では図書館に著書などを集めたコーナーが設けられるなど、関心が高まっている。受賞理由となった、日亜化学工業(阿南市)在職中に量産技術を開発した青色発光ダイオード(LED)は、信号機にも活用され、いち早く県内で普及している。

 県警は1994年、LED型信号機を全国に先駆けて採用し、20年が経過した今も一度も交換することなく、点灯し続けている。見やすさや消費電力の少なさも特徴のLED型信号機は、交通安全や省エネに役立っている。

 以前の電球型信号機は、西日などが強いと三色がすべて光って見える現象が起き、安全面で問題だった。県警は、93年に日亜化学工業が青色LEDの試作品を作ったと聞き、早速LED型信号機の開発を依頼した。

 色合いや光量、素子の配置などのバランスを変えながら、試作は約1年間にも及び、94年10月に全国で初のLED型信号機を県警本部(徳島市万代町)前に設置した。

 その後、国道192号線や県道鳴門池田線を中心に、年に約100基ずつ整備を進めた。県南部の市民からもLED型を求める声が届き、2009年には最多の805基が設置された。

 昨年7月には、県内の歩行者用信号機は、すべてLED型に交換した。自動車用のLED型の比率は、61・5%で全国4位(今年3月末現在)。県警交通規制課は「ゆくゆくは県内すべての信号機をLED化したい」と話している。【数野智史】

 ◇徳島での研究など書籍69冊 県立図書館で企画展示−−19日まで

 県立図書館(徳島市八万町)は8日、ノーベル物理学賞を受けた中村氏の著書や、量産技術を開発した青色LEDに関する書籍69冊を集めた展示「中村修二さんとLED」を始めた。19日まで。

 展示したのは、郷土資料として所蔵されている「負けてたまるか!」や「日本の子どもを幸福にする23の提言」といった中村氏の著書や、青色LEDの製法特許を巡る訴訟の弁護士との共著「真相・中村裁判」など。職員が急きょ朝から館内の本を集め、午後に展示を完成させた。

 司書の山本みちさん(53)は「せっかくの機会なので、徳島で長く続けられた研究やLEDについて関心を深めてもらえれば」と話していた。【数野智史】

 ◇若い方が挑戦を/深い感銘/仲間との成果喜ばしい 科技相、知事、阿南市長談話

 県選出衆院議員の山口俊一科学技術担当相は、中村氏らの受賞を受けた7日夜の記者会見で「中村教授は私の地元で(学び、勤務したので)、特に感慨深い。この受賞を機に、若い方が科学の新たな課題に挑戦してほしい」と述べた。

 飯泉嘉門知事は「青年期から徳島の地で続けられた研究が、時を経て大きく結実したことに深い感銘を覚える」、中村氏が勤務した日亜化学工業がある阿南市の岩浅嘉仁市長は「地元企業によって育てられた人材が企業の仲間と行った研究開発の成果に対し、ノーベル賞が贈られたことは大変喜ばしい」とそれぞれ談話を出した。

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