<リニア>あっさり「500キロ」突破、揺れは…「地上最高速」体験

<リニア>あっさり「500キロ」突破、揺れは…「地上最高速」体験

JR東海のリニア中央新幹線の山梨リニア実験線(山梨県上野原市-笛吹市、42.8キロ)が22日、報道公開された。実験線を浮上走行した専用の超電導車両「L0(エルゼロ)系」(7両編成)に試乗し、「地上最高速」という未知のスピードを体験した。

座席上に設置された現在の速度を示すモニター。順調にカウントを刻んでいたその数字があっさりと「500」に達した。同乗したカメラマンらが一斉にシャッターを切る。戦後初の国産旅客機YS11の巡航速度を上回るスピード。翼が付いていれば間違いなく、空を飛べるだろう。通路に立っていると、さすがに背もたれをつかみたくなる。「割と揺れるな」。誰かのつぶやきが耳に入った……。

 乗車したL0系は、流線型の先頭車両(長さ28メートル、幅2.9メートル、高さ3.1メートル、定員24人)と中間車両(長さ24.3メートル、定員は58人、68人の2タイプ)で構成される。かまぼこ形の従来の試験車両に対し、断面は角形。4列シートの座席は現在の新幹線よりやや狭めで、特急並みという。

 この日の走行では、時速約160キロでタイヤによる地上走行から浮上走行に移行した。耳を澄ましていると、地上との摩擦で発していた雑音がかすかに弱まったのを感じる。時速270キロ(東海道)、300キロ(山陽)、320キロ(東北)……。従来の各新幹線の最高速度をやすやすと突破し、2分半ほどで500キロへと達した。

 ただし、「地上最高速」を実感できるのはほとんどモニターの数字でのみ。営業区間と同じく、実験線の8割以上がトンネル区間とあって、車窓からの眺めは闇ばかりだ。少なくともこの実験線で、流れる景色を楽しむことは難しい。乗車後のインタビューで、JR東海の遠藤泰和・山梨実験センター所長はきっぱり答えた。「(リニアの目的は)旅行時間を短くすることですから」

 やや気になった揺れは減速時に一層、感じることになった。地上走行に移行する際、着陸時の航空機のような接地によるショックもある。別の記者はツンとくる耳への空気圧を感じたそうだ。JR東海によると、約400メートルの高低差がある実験線を高速で駆け抜けたことが原因という。

 もっとも「乗り心地は新幹線の最新型N700シリーズに劣るかもしれないが、(東海道新幹線の初代車両である)0系はもちろん、その後の100、300系などよりははるかに優れる」と遠藤所長は自信をみせた。今回の試乗は「地上最高速」を実感しやすくするため、加速・減速を強めにしている。そのことも車体の揺れを大きくするのに影響しているそうだ。JR東海は今後、さらなる乗り心地の向上を目指し、研究に取り組んでいくという。

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