上海の期限切れ肉で解雇、米国系食品工場で従業員340人、生産再開メド立たず
米食品大手OSIの中国法人は22日、上海市に本社と工場を置く関連会社で、期限切れ食肉加工品を出荷した問題が7月に発覚した上海福喜食品の従業員340人を解雇する、と発表した。
公安当局による捜査が続いているほか、取引先からの契約打ち切りで、工場再稼働のメドが立たなくなった。管理部門など約160人の従業員は当局の調査への対応のため残留する。
OSI中国法人によると解雇は22日付。7月下旬に地元テレビの報道で問題が明らかになって以来、生産は停止していた。
上海市の検察当局は8月29日、上海福喜の幹部ら6人を逮捕した。6人は問題発覚後、公安当局に刑事拘束されていた。上海福喜は期限が切れた肉の加工品を中国のマクドナルドやピザハットなどに供給。一部食品は日本に輸出され、日本マクドナルドとファミリーマートが販売していた。
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中国の食汚染が再び、日本の外食産業に激震を走らせた。上海の食品会社が使用期限の切れた鶏肉を使っていたことが発覚し、取引のあった日本マクドナルドやファミリーマートが一部商品の販売を取りやめた。これまで本紙でもたびたび取り上げてきた中国産食品の危険性が、またもや明らかになった格好だ。専門家は「中国産食品への依存を見直さない限り第2、第3の事件は起きる」と警鐘を鳴らしている。
床にこぼれ落ちた肉塊を平然と調理鍋に投げ入れ、期限切れの肉を当たり前のように使い回す。
中国・上海のテレビ局が報じた工場内部の映像は衝撃的だった。
ずさんな衛生管理の実態が発覚したのは、上海の食肉加工会社「上海福喜食品」。同社では使用期限が半月過ぎた鶏肉や青カビが生えた牛肉を日常的に使っていたという。
同社から「チキンナゲット」の約2割を輸入し、国内全体の約4割に当たる約1340店で販売していた日本マクドナルドと、「ガーリックナゲット」用などに輸入し、約1万店で店頭に並べていたファミリーマートは、メニューの販売中止に追い込まれた。
ガストなどを展開するファミリーレストラン最大手「すかいらーく」は「問題になった上海の会社との取引はない。中国食品の取り扱いはあるが、厳しい検査基準をクリアしたものだけを使っている」と強調。牛丼大手「吉野家」を展開する吉野家ホールディングスは「国内外含めて問題となった会社との取引はない」とし、「中国産食品の取り扱いについては担当者不在のため回答できない」とした。
日本ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)は中国産鶏肉の使用はなく、「小麦の一部に中国産を使っているが、食品の安全管理には万全を期している」と話した。
主だった外食チェーンは安全性をアピールするが、消費者としては不安は尽きない。背景には、何度となく「食のチャイナリスク」に直面してきたことがある。
2012年には、抗生物質や成長ホルモンが過剰投与された『速成鶏』と呼ばれる鶏肉が、KFCの中国法人で使われていたことが判明した。日本では07年から08年にかけて毒ギョーザ事件が発生し、食べた10人が中毒症状を訴え、1人が一時重体に陥った。米国や欧州各国でも、中国産のペットフードによるペットの大量死が起きるなど事件が相次いでいる。