学生代表、議場占拠継続を宣言 強制排除受け記者会見
中国との「サービス貿易協定」は台湾社会に打撃を与えると反発し、18日から台湾立法院(国会)の議場を占拠している学生の代表らは24日、馬英九政権が協定撤回要求に応じるまで「絶対撤退しない」と述べ、占拠継続を宣言した。行政院(内閣)に突入した学生らが24日に当局に強制排除されたことを受け、記者会見した。
一部学生が23日夜、議場占拠を率いた学生代表らと協議せずに行政院に突入、議場の学生らと分裂した形となったが、代表らは馬政権が直接対話に応じないことなどを批判し「非暴力」の活動を続けると強調した。
学生らに対話呼び掛け=活動「制御不能」と非難―台湾行政院長
台湾の江宜樺行政院長(首相)は24日、記者会見し、中国との「サービス貿易協定」に反対する学生らが23日夜に行政院(内閣)庁舎に突入した事件を踏まえ「(学生らの抗議活動は)既に変質し、制御できなくなっている」と非難した。一方、学生側に前提条件なしの対話を呼び掛けた。
江行政院長は「平和、非暴力を掲げていた行動が、国家機能をまひさせる運動に変わった」と主張。18日夜からの立法院(国会)の議場占拠が続く中、馬英九政権はいら立ちを強めており、学生らの行動の不当性を印象付けたい思惑もあるようだ。
台湾、行政院占拠の学生ら放水で強制排除 130人超負傷 続く議場占拠
台湾の行政院(内閣に相当)庁舎に23日夜に突入し、敷地を占拠した学生ら約千人に対し、警察当局は24日未明、強制排除に乗りだし、警官隊約2千人や放水車を投入、朝までに大部分を排除した。地元メディアによると、学生と警察双方の130人以上が負傷し、学生ら32人が現行犯逮捕された。
排除されたのは、中台が相互市場開放促進に向けて調印した「サービス貿易協定」に反対し、18日から立法院(国会)の占拠を続ける学生の一部。立法院では依然、学生が議場を占拠しており、排除された一部も再び議場に戻った。
学生らは「弱小産業に打撃を与える」として協定撤回を要求。馬英九総統が23日、早期承認を訴えたことで不満が高まった。野党、民主進歩党幹部らも24日未明、行政院前に駆けつけ、強制排除しないよう呼びかけていた。馬氏は24日の全日程を取り消し、緊急会議を開いた。強制排除は馬氏側近の江宜樺行政院長(首相)が要請し、馬氏も了承したという。
ただ、与党、中国国民党内でも協定承認の進め方で馬氏と反目する王金平立法院長(国会議長)が学生らの強制排除に消極的で、立法院の占拠は長期化の様相を呈している。
貿易より自由 台湾学生の乱 中国との協定反発 議場占拠長期化も
中国と台湾が互いの一層の市場開放に向けて昨年調印した「サービス貿易協定」に反対する台湾の学生らが立法院(国会に相当)を占拠している問題で、馬英九(ば・えいきゅう)総統(63)は23日、総統府で記者会見し、「国家発展のため、選択肢はない」と強調、協定を早期に承認する必要性を訴えて学生らに議場からの退去を呼びかけた。だが、学生らは協定撤回を求めて占拠の継続を表明。18日から続く前代未聞の議会占拠は長期化の様相を呈し、野党の思惑も錯綜(さくそう)して事態は泥沼化しつつある。台湾では「太陽花学運」と呼ばれている“ヒマワリ革命”はどこへ向かうのか。
馬総統「競争力を向上」
馬総統は会見で、地域における台湾の貿易自由化の遅れを指摘したうえで、協定は「台湾の競争力を向上させる。自由化が遅れて最も喜ぶのは競争相手の韓国だ」と述べた。報道陣から、協定をめぐって「中国からの圧力」があるかと問われると、「全くない」と否定。学生らに一定の理解を示しつつも、占拠の違法性を指摘した。
議場を占拠する学生らは23日、馬総統の発言に「単なる政権の見解表明であり、誠意がない」と強く反発。協定の撤回などを求め、抗議行動の拡大も発表した。議場を包囲する警察官と学生がもみあいになる一幕もあった。
サービス貿易協定は昨年6月に上海で調印され、電子商取引や医療、旅行業など、中国が80、台湾が64分野を相互に開放する取り決め。馬政権や与党・中国国民党は「台湾に有利な協定」(江宜樺・行政院長=首相)と主張しているが、最大野党の民主進歩党は「密室協定で台湾の弱小産業に打撃が大きい」などと反発してきた。
民進党と同調する学生らは、17日の批准に向けた委員会審議で強硬採決も辞さない構えの国民党の立法委員が時間切れを理由に審議を打ち切ったことからこれに抗議して18日夜以降、議場と議事堂周辺を占拠している。
強制排除は否定的
事態は膠着(こうちゃく)しているが、馬政権は強制排除には否定的だ。支持率が10%台に落ち込んでいることに加え、2016年次期総統選にも影響する統一地方選が今年11月に控えているため、世論の反応には敏感にならざるを得ないからだ。一方、学生らを支援する民進党も次期総統選に直結する主席選を5月に控え幹部らの思惑が錯綜している。
民進党は当初、協定審議を与党側が一方的に打ち切ったことに反発し、条文ごとの審議継続を要求した。しかし、馬政権がこれに応じる意向を示すと、協定の撤回や中台間協議のやり直しなどに要求をエスカレートさせ、議場占拠を政権打倒闘争に転化させている。
学生らがサービス貿易協定に強く反対するのは、「(台湾は)独立せず、(中国とも)統一せず」という現状維持を望む意識が強いからだ。前のめりに対中経済関係を強めると、やがて政治的にも中国にのみ込まれ、香港のように自由が制限されることを懸念している。
中国政府はコメントしていないが、人民日報系国際紙「環球時報」は「台湾の民主主義の恥部だ」と論評。一方、太陽に向かう花、ヒマワリをシンボルにしている学生らのリーダー、林飛帆氏は「これは自由と民主主義を守る戦いでもある」と力説している。
