ソニー平井社長、業績説明会でコメント「VAIOの譲渡は苦渋の決断」

「VAIOの譲渡は苦渋の決断」……ソニー平井社長、業績説明会でコメント

ソニーは6日、同社の2013年度第3四半期の業績説明会を開催。VAIOブランドで展開するPC事業の国内投資ファンド日本産業パートナーズへの譲渡、テレビ事業の分社化など構造改革の内容に関連する発表も行った。

説明会には代表執行役社長 兼 CEOの平井一夫氏、代表取締役EVP CFOの加藤優氏、ならびに常務執行役員SVP 広報センター長の神戸司郎氏が列席した。

以下に本日の記者会見で実施された質疑応答の模様を紹介する。

――現在、市場ではPCとタブレットの境目を切り分けづらくなりつつあるが、ソニーとして中に残す部門と、収束する部門をどこで線引きしていくのか。マイクロソフトとの関係はどうなる。

平井氏:PCビジネスは収束するが、スマートフォンとタブレットはソニーモバイルコミュニケーションズで引き続きビジネスを展開する。確かに何をもってPCなのかタブレットなのか、カテゴリーの定義が難しくなってくると思うが、基本的には新しい会社はPCビジネスでスタートする。JIPと協議した上で、どういう商品をVAIOのブランドで展開していくか、ケースバイケースで判断していく。Windows関連の商品、つまりPCは新会社で展開するが、マイクロソフトもモバイル向けOSに力を入れているので、どういうプラットフォームを選択して、商品にしていくかについてはソニーの戦略として考えていく。

――ソニーでPCビジネスを継続することは困難だったのか。

平井氏:PC市場には現在、厳しい競争環境があって、ユーザーの志向も目まぐるしく変化している。様々な要因があるとは思うが、ソニーがいまエレクトロニクス事業を盛り返すためには、モバイル事業はスマートフォンとタブレットに集中することが必要と考えた。

――JIPへの譲渡にともない、PC事業の人員配置はどうかわるのか。

平井氏:いま国内でVAIOのビジネスに携わっている人員が約1100人ほど。今後はJIPと議論しながら決めていくことになるが、だいたい200~300名が新会社に移るだろう。残りをソニーの様々な事業本部に配置転換する。単純にソニーモバイルに移るということではなく、他の事業会社にもフィットするフィールドがあれば移っていただく。

――13年度の年間見通しで、スマートフォンの販売予想台数が4,200台から4,000台に下方修正されているが、その要因は何か。今後の見通しを聞かせて欲しい。

加藤氏:200万台の下方修正としたが、そもそも昨年は3,300万台の規模だったことも踏まえて、全体としてかなり成長しているカテゴリーと捉えて欲しい。若干の下方修正に至った背景としては、商品的には年初のXperia Z、フラグシップのXperia Z1などソニーの技術を結集した商品が投入されてユーザーの好評を得ているものの、中国を含むアジア、欧州の一部地域で想定を少し下回ったことがある。日本のマーケットは想定通りだし好調だった。来年以降もマーケットはまだ伸びると考えている。成長のスピードは業界全体ではスローダウンすると見られているが、依然期待の大きいカテゴリー。当社としては来年も飛躍的に伸ばしていきたい。

――平井社長にとって「VAIO」はどういう位置付けの商品だったか。

平井氏:VAIOは常にソニーらしいデザイン、機能、フォームファクターを提案しながらPC市場に一石を投じてきたブランド。同時にお客様へのサプライチェーンを構築するモデルケースを築いてきたアイテムでもあり、商品軸だけでなくオペレーションの部分でもソニーの成長に大きく貢献してきたと思っている。そのノウハウや資産はこれからもソニーで活用していかなければならない。社員、関係者が多大な努力をしてきた「VAIO」を譲渡することは、私にとって苦渋の決断だった。

神戸氏:新会社ではVAIOブランドによる製品を展開してもらうことで基本合意しているが、様々なかたちの取り組みがあると考えている。その中で今後、ソニーがVAIOのネーミングを一切使わないようになるのかについては、今後さらにJIPと協議していく。

――海外のPC事業は続けていくのか。

平井氏:JIPが決めることだが、当初は日本からスタートしてビジネスを継続することになるだろう。

――平井社長が就任されてから3つのコア事業を推し進めてきたが、今回の2つの事業改革(PCとテレビ)が何を変えていくとみている。

平井氏:エレクトロニクスについて言えば、私がCEOに就任してから3つのコア事業に選択・集中して、これをバッテリーなどのデバイス事業がサポートしていくという体制を作り上げてきた。より集中と選択が徹底されているエレクトロニクス事業を目指したい。ソニーグループとしては金融、エンターテインメントを含めて、お客様に「感動」を提供していくことが最も大切だと考えている。「感動」をキーワードに、ソニーは向かうべき方向へ進みたい。来期は構造改革費用に700億円を見込んでいるが、これも含めてエレクトロニクス事業で黒字化を目指す。

――テレビを分社化する意味が明確に見えない。分社化して何が変わるのか。

平井氏:分社化したから赤字が改善されるという単純なものではない。まずはこれまでにも成果が出ている、4Kを中心とした高付加価値路線を強化する。実際に13年4月、14年1月と当社テレビ製品の平均単価が徐々に上昇しており、高付加価値戦略が功を奏しているという結果が表れはじめている。これをさらに推進することが黒字化への道だ。同時にスピーディーな事業展開を図るために分社化が必要と考えた。例えばソニーモバイルで展開するXperiaとタブレット、SCEで展開するPlayStationはそれぞれにスピーディーな経営プラットフォームのもとで成果を上げている。このモデルをテレビにも持ち込みたい。ただ、分社化後も「One Sony」のスローガンの元に一丸になって展開しているマネージメント体制は変わらないし、一つのスピリットでビジネスを成功へ導いていきたい。

――TVビジネスは正しい方向に乗っているということだが、今後テレビ事業の売却はないと思うか。

平井氏:現時点では正しい方向に向かっていると認識しているし、分社化で経営スピードを効率化・加速化する。将来的にどうか、一般論で考えるならば「絶対にない」という答えはないが、少なくとも今は売却のプランは全くない。

――エレクトロニクスの黒字化を達成できなかったことで、平井社長の経営責任をどう捉えているのか。

平井氏:エレクトロニクスのターンアラウンドを達成し、エンターテインメント・金融など成長分野をさらに伸ばしながら、グループ全体の経営改革に寄与するという、私の使命を全うすべきと考えている。

――当期の最終損益が1,100億円の損失という見込みの数値をどう受け止めている。またテレビ事業が10期連続の赤字となり、追加で約5,000人の従業員削減を行うことについてはどう考えているか。

平井氏:そこにいたるまでの様々なオペレーションとしてみれば、テレビビジネスを含めていまは良い方向に向かっていると考えている。改革は緩めずに前に進みたい。人員減については、この規模での構造改革はここで一度打ち止めにしたい。競争が激化しているビジネス領域なので、ポートフォリオの見直し、入れ替えはこれからも常に行っていく。テレビ事業は確かに赤字が続いているが、赤字幅の縮小ペースは加速しているし、金額ベースでは回復しつつある。また4Kを中心とした高付加価値商品による成長の兆しも見られ、ソニーとして圧倒的なマーケットシェアも獲得している。今後も積極的に展開しながら黒字にしていくことが、まずは大事と考えている。

――ムーディーズがソニーの格付けを引き下げたことや、株価も下がっていることなど、市場の評価をどうみている。

平井氏:私がコメントする立場にないが、市場から色んな評価があるのは承知している。ソニーのエレクトロニクス復活へ、ユーザーが期待してくれていることも感じているし、私もそれに答えたいと思っている。商品軸の観点ではお客様に評価してもらえる製品が出てきている。攻めと守りの両方向で展開していく。

加藤氏:ムーディーズの格付け評価が下がったことは当社始まって以来のことであり、重大に受け止めている。一刻も早く戻すことを経営課題にしたい。格付け機関のレーティングに、評価を受ける側がどうこう言うべきではないと考えているが、ソニーのバランスシートを客観的にみれていただければ、けっして脆弱な経営体制ではないことが理解してもらえるはず。むしろ先行きのキャッシュフローを指摘されているのだと思う。有利子負債のある中で、キャッシュフローを生んでいく力が少し弱いという判断なのだと見ており、それは主にエレクトロニクス分野のことだろう。金融とエンターテインメントはしっかりと利益を生んでいるし、コア事業は投資の成果も生まれている。赤字を生んできたPC、テレビの各部門は止血に取り組んでいくので、来年度以降のキャッシュフローを改善しながらレーティングを戻していきたい。

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