上海交差点:薄着をめぐる熱い論戦
上海の夏はとにかく暑い。湿度が高くて蒸すし、最高気温が40度近くに達することもある。梅雨が明けると、あのうだるような暑さがやってくるのかと思うと正直うんざりする。
家の中ならエアコンがあるが、外に出れば薄着でしのぐしかない。儒教社会の中国だが、最近は女性の価値観も開放的になったから、ミニスカートや胸元の開いた薄着ファッションを楽しむ女性が増えてきた。
その薄着をめぐって、上海ではある論戦が起きている。痴漢対策に悩む上海の地下鉄会社が、中国版ツイッター「微博」で、下着が透けて見えるワンピースを着た女性の後ろ姿の写真とともに、「こんな格好で地下鉄に乗れば性的な嫌がらせをされないわけがない。痴漢は取り締まってもいたちごっこ。女性は自重を」と呼びかけたのだ。
上海の地下鉄会社はよく微博で、車内で食用のニワトリの首を切って調理する人など”迷惑客”の写真を載せて、「こんな行為はやめて」と呼びかけることがある。地下鉄会社としては「あまりにも薄着なのはやめてほしい」という意図があって流したのだろう。
だが、この書き込みには反発が広がった。数日後、覆面姿の女性2人が地下鉄の車内やホームで「必要なのは涼しさ。痴漢はいらない」などと書いたプラカードを持って服装の自由をアピールした。微博には「地下鉄会社が言う論理では、薄着なら性的暴行を受けても、その後、殺されても自業自得だということになる」と、2人の抗議に賛意を示す人が相次いだ。
中国でも、電車内における痴漢などの犯罪は相次いでいる。上海の地下鉄は、日本の事例を参考にして女性専用車両の導入を検討しているが、「乗客数が多すぎる」と実現に至っていない。痴漢対策が難しいのは、日本も中国も同じようだ。
反対意見が相次いだ地下鉄会社の書き込みだが、「今の若者の服装は何でもありだ。服装の乱れを反省する必要もあるのでは」といった意見もあった。ただ、どんな服装をするかは個人の自由だから、痴漢を正当化する理由にはならない。
地下鉄会社は激しい批判にさらされながらも「沈黙は最大の攻撃だ」として、書き込みを撤回する様子はみられない。その姿勢に対し、抗議する市民の書き込みがさらに相次いでいる。
薄着をせずにはいられない上海の夏を前に、賛否両論入り交じった熱い論戦は当分やみそうにない。(上海支局)
上海で猛暑、40度超 観測開始以来最高
上海テレビなどによると中国上海市の26日の最高気温が40・6度となり、観測が始まった1872年以来の最高を記録した。
上海では連日猛暑が続いており、市の幹部は空調向けに需要が急増している電力の安定供給などを指示。地下鉄の駅や百貨店のいすに座り込んで涼む人も、目立っている。
上海でのこれまでの最高は1934年7月に記録した40・2度。今後数日間は暑い日が続くという。



