三浦さん「地球のてっぺんに…」 喜びにわくBCと事務所 妻「夢多く、信じたことをやる人」
「(エベレストに)行かせないと言うなら家出する」と家族に言い張った80歳7カ月の冒険家、三浦雄一郎さんが23日、見事達成した3度目のエベレスト登頂。達成の瞬間、隊員らが待機するネパールのエベレスト・ベースキャンプ(BC、5300メートル)と、東京都渋谷区の三浦さんの事務所は歓喜に包まれた。「おめでとう」「あとは無事に帰ってきて」。挑戦を支え続けた家族と隊員たちは、喜びを重ね合わせた。
この日午前2時15分(日本時間同5時半)、C5(8500メートル)。三浦さんらが頂上アタックを開始したとき、満天の星空が広がっていた。前日午後にC5に到着したときは風が強く、雪が舞っていたという。宇宙に一歩ずつ近づくような景色の中、三浦さんは快調に高度を上げた。
現地時間午前9時、BCには、三浦さんとともに山頂を目指していた次男の豪太さん(43)から「ただいま頂上に着きました!」と無線連絡が入り、待ちわびた隊員やシェルパたちがフライパンをたたいて喜んだ。
三浦さんも「シェルパ、世界最強の登山家たちが、僕をここまで引き上げてくれました。ありがとう、ありがとう」と感極まった様子。5年前の前回登頂時、高山病で途中下山した豪太さんは「チームワークでここまで来られた。とてもすばらしい景色で、雲海の上に世界の果てまで見えそう」と感激を語った。
一方、朝から100人超の報道陣が詰めかけた都内の事務所。三浦さんの長女、恵美里さん(52)や妻の朋子さん(80)ら家族が吉報を待った。
連絡があったのは午後0時20分(日本時間)ごろ。山頂からの衛星携帯電話は音声が途切れがちで、2度目の電話で三浦さんは「頑張って頑張って頑張って、とうとう地球のてっぺんにたどり着きました。応援ありがとうございました」と語った。
妻の朋子さんは「どうもご苦労さまでした。なるだけ早く下りて」と労をねぎらって無事の下山を祈った。その後、「夢の多い主人をもって幸か不幸か分かりませんが、本人が信じていることを、誰が何を言おうとやる人なので…。でもこれで、みなさんに迷惑をおかけすることもないと思います」と冒険の終わりを“期待”していた。
ただ、恵美里さんは「父はまた次のことを胸に秘め、にこにこして帰ってくると思います。90歳、100歳になってもまた新しいチャレンジがあると思う」と話し、「無事に帰ったら、母の手料理で一族集まってパーティーをしたい」と笑顔をみせた。
出身の青森からも喜びの声 「人類の可能性の扉開いた」
青森市出身で名誉市民の三浦雄一郎さんが史上最高齢で3度目のエベレスト登頂に成功したことを受け、鹿内博市長と三村申吾青森県知事は23日、それぞれコメントを発表した。
鹿内市長「エベレスト登頂成功、誠におめでとうございます。今回、けがや持病を乗り越え、登頂を達成されましたことは世界最高峰の快挙であります。己の意志と周囲のチームワークが強く結びついてなされた大偉業は人類の可能性の扉を開き、世界中の人々に夢と希望を与えるもので、青森市民にとっても大いなる誇りです」
三村知事「目標を持ち、トレーニングを重ね、80歳という年齢でエベレストに挑戦する三浦氏の姿は県民に勇気と希望を与えました。県民を代表して感謝とともに、敬意を表します」
最高齢登頂目指すネパール人男性 三浦隊「記録の正確性を」
史上最高齢の80歳で3度目のエベレスト登頂を目指しているプロスキーヤーの三浦雄一郎さん。16日にベースキャンプ(BC)を出発、頂上アタックを始めたが、最高齢登頂への挑戦を公言するもう1人の男性がいる。三浦さんが75歳で2度目に登頂した2008年5月、76歳で登頂したとしてギネス認定の最高齢記録を持つネパール人、ミン・バハドゥール・シェルチャン氏だ。
シェルチャン氏は17日、BCで取材に応じ、1931年6月20日生まれの81歳と答えた。登山目的については「世界平和や核の根絶をBCに集まる登山者を通して訴えたい」と話した。
しかし2008年、産経新聞の取材では、年齢が不自然に変更された経緯があったほか、頂上アタック時にはキャンプ1(C1、標高6050メートル)以上での目撃情報がなく、登頂後、証明写真の提示もなかった。
今回はヘリコプターでBC入り。高所登山に必要な高度順化もしていないといい、「準備が急で登山費用が集められず、訓練もしていない」と話す。各登山隊からは登頂が可能なのか疑問視する声も上がる。
シェルチャン氏はシェルパの態勢が整う21日以降、アタックを開始する可能性がある。三浦隊は「本当に頂上に立つなら祝福されることだが、記録の正確性が求められる」と指摘。登頂写真の提出や戸籍の精査など審査を厳密に行うようギネス側に求める方針だ。
三浦さんは18日、滞在中のキャンプ2(C2、6500メートル)で休養。C2に到着した17日の夜は酸素を毎分1・5~2・5リットルほど吸引した。18日昼はネパール人コックの作る味噌煮込みうどんも完食、体調は良好という。登山隊は19日にC2を出発、好天が予想される23日の登頂を目指す。
三浦さん、エベレストに登頂、史上最高齢80歳の夢実現
80歳で3度目の世界最高峰・エベレスト(標高8848メートル)登頂を目指していたプロスキーヤーの三浦雄一郎さんは23日、登頂に成功した。80歳7カ月での最高齢登頂記録となった。
登頂したのは三浦さんをはじめ、次男の豪太さん(43)、登攀(とうはん)隊長の倉岡裕之さん(51)、撮影担当の平出和也さん(33)の日本人隊員4人と、登山をサポートした6人のシェルパたち。
三浦さんらは23日午前2時15分(日本時間同5時半)ごろ、最終キャンプ(8500メートル)を出発。無風快晴の天候の中、午前6時40分には8700メートルの南峰まで到達。最後の難所の岩壁「ヒラリーステップ」を越え、“地球の頂点”にたどり着いた。
三浦さんは2003年に70歳で、08年に75歳でエベレストに登頂。その後、スキー事故による骨盤骨折や持病の不整脈を乗り越え、今年3月29日に日本を発ち、エベレスト街道でトレッキングを開始。4月16日にベースキャンプに到着、5月16日から頂上アタックを始めた。その後、6カ所のキャンプを経由して頂上を目指していた。
