TV再生:放送60年/下 正念場の「放送高度化」
◇「4K」「8K」普及目指す総務省 高価格や番組不足が課題
決定的瞬間を、NHKのスーパーハイビジョンカメラは逃さなかった。昨年8月のロンドン五輪陸上100メートル決勝。「セット(用意)」の合図直後、スタンドからウサイン・ボルト選手の背後に1本の緑色のペットボトルが投げ込まれた。ボルト選手を妨害しようとした観客の仕業だった。東京やロンドンでのパブリックビューイングを通じて特ダネ映像は地球を駆け巡った。
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「究極のテレビ」と言われるスーパーハイビジョン。ハイビジョンの水平方向の画素数が約2000(2K)なのに対し、約8000あることから「8Kテレビ」とも呼ばれる。1995年ごろから開発を始めたNHKの技術は世界トップレベルだ。画質はハイビジョンの16倍。10年の東京マラソンのスタートを高所から撮った映像では、雨粒や「走る県職員」として有名になった川内優輝選手の表情まで鮮明に捉えた。
画面奥にある被写体も明確に映すことで立体感も生まれる。ねぶた祭の映像では、画面から飛び出してくるような迫力。現在の5・1チャンネルをはるかにしのぐ22・2マルチチャンネルの三次元音響がさらに臨場感を生む。
画質、音響ともに「いいとこずくめ」のようだが、受像機は「キングサイズのベッド大」と、一般家庭への普及までハードルは高い。8K対応カメラも当初80キロあったものから5キロへと小型化が進んでいるが、ロンドン五輪で使われたものは20キロの大型機材だ。
そこで、リリーフ的存在として注目されているのが「4K」だ。画質はハイビジョンの4倍。ハリウッドではすでに広がりつつあり、「スパイダーマン3」や「バイオハザード3」はフィルムで撮影後、4K用に編集、東京都内の一部映画館でも上映されている。韓国では昨年10月からKBSと民放3社が実験放送を開始した。
