パナソニック、「脱家電メーカー」への決意
猛追する日本勢「有機EL」の勝算
脱家電に社内は反対、反転攻勢に出られず──沈没・日本メーカー (1/2)
1月8日。米ラスベガスで開催された世界最大の家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」で、パナソニックの津賀一宏社長が発した言葉に、国内外の記者らはどよめいた。
「将来、パナソニックは自動車メーカーになるかもしれません」
冗談を交えた発言ではあるが、米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)と自動車用情報システムの開発提携を公表した直後の会見だっただけに、その言葉は何ともいえない重みを含んでいた。
パナソニックの自動車関連事業の売上高は、平成25年3月期で7400億円(見込み)。全部門の中でも唯一伸びている成長部門で、GM以外の自動車大手との連携も模索する。
経済産業省によると、家電の製造品出荷額(22年)は約8兆円だが、自動車は約47兆円。「家電で利益を生み出せなくなったメーカーの魅力的な食いぶちになる」(証券アナリスト)と期待は大きい。自動車分野をはじめ、家電各社が注力し始めているのが製品の値崩れが少ない企業向けのビジネスだ。
高収益で、V字回復に結びつく新たな事業領域は見つからず、結果的に脱家電どころか、赤字を垂れ流すテレビからの脱却すらできていないのが現実だ。
ソニーは、CESで「4K」と呼ばれる高解像度の有機EL(エレクトロルミネッセンス)テレビを他社に先駆けて発表。平井一夫社長は「有機ELテレビで常にソニーは業界をリードしてきた」と商品化時期が決まっていないにもかかわらず、自画自賛した。シャープも「テレビ事業は捨てられない」(同社幹部)と中途半端な姿勢が浮き彫りになった。
「テレビが家電の主役ではないといっても、社内では反発の声が上がる。ましてや、脱家電など絶対に受け入れられない」。パナソニックのある幹部は、苦しい胸中を打ち明ける。最先端技術を持ちながらも、それを形にできないため「焦り」と「あきらめ」が漂う日本企業は、赤字を止めることができない。
CESの会場で、家電製品が「救世主」ではない事実を何度も訴える津賀社長はこうつぶやいた。
「うちの家電部門の売上高は社内全体の3分の1しかないんですよ」
